「私たち結婚しました」“3放時代”の中で生き残る方法
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写真=MBC
仮想結婚バラエティの本当の意味を問う
「2012年、韓国の20~30代の若者のことを、物価高騰、登録金、失業率増加など、経済・社会的プレッシャーにより、3つを諦めた“3放時代(3つを放棄した時代)”と呼びます。ここで20~30代が諦めた3つは何でしょうか」韓国で3日に放送されたMBC「無限に挑戦」の姉さんの誘惑クイズタイムのワンシーンである。ノ・ホンチョルの質問にユ・ジェソクは即座に「恋愛、結婚、出産」と答える。常識に少しでも興味のある人にとっては、それほど難しい問題ではなかった。結婚率も低く、出生率はOECD(経済協力開発機構)最低を記録する国で、社会の体制を維持する基本的な根幹を揺らす“3放”は、もはや珍しいことではない。
正直言って、20~30代の“3放”は昨日今日に始まった現象ではない。かなり前から若者たちは真の大人になるためには必ず通らなければならないと言われる“結婚”に懐疑心を抱いていた。もちろん、結婚をしない若者が増えた背景には、経済的な理由が最も大きな割合を占めている。しかし、勉強や仕事を理由に結婚を後回しにし、それすらも諦めてしまう例も多い。
2008年、正月特別パイロット番組としてスタートし、良い反応を得ると、レギュラーコーナーとして、再び土曜日の5時に単独編成され、現在まで放送されている「私たち結婚しました」。初回放送が当時の結婚適齢期の若者たちはもちろん、中年層にも熱い反応を得たのは、今までドラマや映画を除いたバラエティでは、一度も試みたことのない、結婚についての話をリアルに取り上げたためである。当時も例年に比べ、若い世代の結婚率が低くなる傾向にあったので「私たち結婚しました」は結婚奨励番組との評価もあった。
当時の出演者たちは、結婚を真面目に考えそうな歳の芸能人たちがほとんどだった。彼らの仮想結婚生活は、上手く構成された脚本によって徹底して動いているにも関わらず、視聴者はリアリティーを最大限に感じた。視聴者たちは「私たち結婚しました」に出演したカップルは本当に付き合っているのではないのかと疑ったりもした。
そして「私たち結婚しました」は実際のカップルであるSG WANNABE キム・ヨンジュンとファン・ジョンウムを「私たち結婚しました」の夫婦として出演させ、現実性のある仮想結婚ファンタジーを維持した。しかし、アイドルが注目を浴びるというトレンドに合わせるため「私たち結婚しました」は、全面的にアイドルカップルを出演させ始めた。チョン・ヒョンドンと少女時代のテヨン、AFTERSCHOOL ユイとパク・ジェジョンが仮想夫婦として出演したことはあるが、2AM チョグォン、Brown Eyed Girls ガインのように、夫婦共にアイドルで構成されたケースは、彼らが初めてだった。
結婚するには多少若かったチョグォン&ガインカップルは、多くの注目を浴びてスタートした以後、しばらく低迷していた「私たち結婚しました」の視聴率を回復させる役割を果たした。結婚というよりは恋愛が似合う年頃だが、20代前半という年齢に相応しく、芸能センスも抜群だった“アダムカップル”の活躍は、その後CNBLUE ジョン・ヨンファ&少女時代 ソヒョン(ヨンソカップル)、2PM ニックン&f(x) ビクトリア(クントリアカップル)など、数多くのアイドルカップルを養成するに至る。
しかし、結婚適齢期の出演者から、若いアイドル中心にコンセプトを変えた「私たち結婚しました」は、仮想結婚というより、現実では思い切り恋愛ができないアイドルの仮想のラブストーリーに焦点を当てている。しかし、話はアイドルカップル中心になったが、その中でも同番組の出演をきっかけに結婚してほしいと思わせたキム・ウォンジュン&パク・ソヒョンカップルが登場した。だが、もはや視聴者にとって「私たち結婚しました」は結婚に対して視聴者たちの共感を導き出すよりは、初々しいアイドルのままごとを見ているかのようだ。
いつの間にかシーズン4を迎えた「私たち結婚しました4」は、時のバラエティアイドルとして浮上したZE:A グァンヒ、Secret ソナ、「棚ぼたのあなた」でスターとなった女優オ・ヨンソ、MBLAQ イ・ジュンをそれぞれパートナーとして組み合わせ、「私たち結婚しました」最高のカップルとして挙げられる“アダムカップル”の名声に挑戦する。そして結婚適齢期に差し掛かっているイケメンジュリアン・カン&ユン・セアカップルをキャスティングし、「私たち結婚しました」放送スタート時に掲げていた同番組の本当の意味を回復することにも注力する。
あらゆるバラエティ番組で、バラエティアイドルとしての立場を築いたグァンヒとイ・ジュンの活躍で「私たち結婚しました4」は、「再び面白くなった」と視聴者から好評を受けている。また「私たち結婚しました」を通じて、番組に出演する3組のカップルが集まり町内会を開催する設定は、新鮮にさえ感じられる。バラエティとしての面白さを取り戻した「私たち結婚しました4」は、しばらく番組から離れていた視聴者を再び呼び戻すのに十分であった。
しかし、リアル仮想結婚からコミカルなシットコム(シチュエーションコメディ:一話完結で連続放映されるコメディドラマ)にジャンルを変えたかのような「私たち結婚しました4」は、初期の「私たち結婚しました」が見せてくれた真面目さから考えると、残念なところもある。「私たち結婚しました4」は“アダムカップル”“ヨンソカップル”で第2の全盛期を迎えた頃よりも、夫婦と恋人の間でのときめきの代わりに、バラエティ的な面白さを先に考慮した痕跡が強く感じられる。
ジュリアン・カン&ユン・セアカップルが、それなりに果敢なスキンシップをとり話題となっているが、視聴者の反応はいまいちだ。チョグォン&ガインに劣らぬ素晴らしいコンビプレイを見せるグァンヒ&ソナカップルが注目を集めているが、面白さを除くと実際のカップルのように見えないのは「私たち結婚しました4」が抱えているジレンマでもある。
しかし、逆に考えてみると、リアルさよりは笑いを強調した「私たち結婚しました」の変化は、最初の頃よりも、結婚や恋愛を諦める現象が蔓延している現実世界の中で、仮想結婚バラエティ「私たち結婚しました」が生き残るための生存の秘訣でもある。
過去に「私たち結婚しました」が、若い視聴者たちの支持を得ることのできた背景には、恋愛、結婚を後回しにした世代とはいえ、一度は考える近い将来に対する悩みに接するようにし、未だ結婚していない者たちを代理満足させるという趣旨が強かった。
しかし4年が経った2012年、韓国の若者たちの事情は更に悪化した。恋愛、結婚、出産放棄が一般的になったと言われる今の20~30代にとって、ソウルの立派な家で、経済的な混乱もなく安定した新婚生活を始める若い夫婦の話は、遠い国の話にすぎない。
20歳を過ぎたばかりの大学生夫婦が、広いキッチンが付いた部屋で住んでいる今の「私たち結婚しました4」も、新婚生活を送る家を用意できず、結婚ができないという今の若者世代から見ると、実に現実性のない話だ。しかし「私たち結婚しました4」は、これ以上過去のようなカップル同士の真摯な演技は大して重要ではない。グァンヒ&ソナカップルのように、バラエティセンスのあるアイドル同士の恋のままごととして、「私たち結婚しました4」の主な視聴層になってしまった青少年の遊戯を満たすことができれば、それで十分だ。
ある意味では、今のように“3放”する若者たちがどんどん増えている現実の中では、脚本によって動くシットコムのように、“川向こうの火事”のように映った方が良いような気もする。
背負いきれない登録金、失業問題に悩まされ、結婚どころか、恋愛さえもできないという2012年。果たして仮想結婚バラエティ「私たち結婚しました」は、我々にとってどういう意味を持つのだろうか。リアルと仮想を行き来する結婚生活を通じて、恋愛と結婚に関する現実的な悩みの答えを得るという「私たち結婚しました4」の企画意図がしっくり来ない“3放時代”にとってだ。
記者 : クォン・ジンギョン