ソン・ジェリム「CLとの演技で、足は痛いし、悪口は言われるし」

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「変わり者?『ツァラトストラかく語りき』を見ると…」

「僕らの世代にとって社会は、バラ色のことばかりではなかったと思う。88万ウォン世代(雇用不安に苦しむ韓国の20代を指す言葉)とも呼ばるし、周りのものがどんどん変わる時期だった。それで色々考えるようになったのかもしれない」

ソン・ジェリムは「太陽を抱く月」のオーディションを受ける前まで、自らに対して色々と悩んだと打ち明けた。実は、彼は売れっ子のモデルだった。数多くのトップスターと撮影をし、CMやPVにも顔を出した。しかし、一見華やかそうな生活の中でソン・ジェリムが悩んだこととは、「自分は一体誰か」ということだった。

「自分という人間はどんなものを表現できるか?自分にうまくできることは何か?自分はどんな面を持っているか?などについて深く考えていた」時期、「一人でやっていくのが精一杯だと思って、一人ぼっちで過ごしていた」時期、“ソン・ジェリム”について考え自分の中に入り込んでいた日々を経て、ソン・ジェリムは、本当にやりたいことをやるためのスタートラインに立った。「世界に向けて自分を見せていきたい」という確固たる目標とともに。


「今まで抑えられていた自分を表現しようとしている…自分をもっと出していきたい」

―質問一つにキーワード一つ、それぞれ一問一答で進めたい。まずは、“工大生”。漠然と、芸能活動に関連する大学かと思っていたが、工大生だ。もともと目指していたのだろうか?

「高校2年生まで理系だった。でも、3年生のときに意地を張って文系に変えた。実は数学2の授業についていけなくなって『逃げたい』と思っていた。そして、世の中にどんな職業があるかもよく知らなかった。今は『フリーランス』も一種の職業だと思うようになったけど、当時の自分には学校から配るチラシに書いてある職業が、世の中に存在する職業の全てだと思っていた。結局、何も分からない状態で、文系で修学能力試験(日本でいうセンター試験)を受けて、交差志願(文系は理系学科へ、理系は文系学科へ志望できる制度)可能なところを探して行ったが、大学1年を過ごしてみたら、また数学が……(笑)」

―“モデル”。そうして大学1年目を終えてモデルを始めて、今は俳優になった。以前から舞台に立つことを夢見ていたか?

「子供の頃から『謙遜が最高の美徳だ』と学び、自分の感情を無駄に出さないようにしつけを受けた。大学に入る頃に、『他の人の目には自分がどう映るのだろうか』と思い始め、自分への意識が生まれたんだと思う。その後、家を出て色々なバイトをしたけど、モデルもそのときから始めるようになった。演技がしたいとはその時から思っていたけど、モデルをやってその夢の周辺をまわりながら生きてきた。モデルをやめて、本格的に俳優になろうと決めた時にも、特に自分の中での葛藤はなかった。葛藤よりは、演技することに対する願望が強かった」

―“悪い男”。過去の話が出たついでに言いたいが、2NE1のPVで、リーダーのCLの彼氏として出演したが、当時CLを殴るシーンが話題になった。

「この場で言っておきたい(笑) もちろんあれは、ただの演技だった。CLが主役だから、自分がもっと悪くふるまって強く殴れば(CLが)同情されると思ったので。足で蹴るシーンも本当に蹴ったのではなく、アスファルトを蹴った。蹴るふりだけだとリアルではなくなるから。でも足は痛いし、悪口は言われるし。撮影の雰囲気? 本当に和気あいあいだった」

―“俳優”。俳優として生きていく以上、先ほど言ったように、作品の中の姿で誤解をされることもある。どうしてもプライベートにも制約があるだろうし、それでも俳優をやりたい理由は何か?

「ニーチェの『ツァラトストラかく語りき』を見ると、精神が、ラクダから獅子になり、最後には子供に変わる。抑圧されて自分を隠していたが、自由に自分を表現できるようになり、最後はすべてに超然するようになるという意味である。成長しながら抑圧されていた自分を世界に向けて表現するようになったと思う。ラクダから獅子の段階に変化し始めていると言ったらいいだろうか。もっと自分を出していき、表現していきたい。演技がうまくなりたいのはもちろんのこと」

―“真面目な男”。大学で哲学講座でも受けていそうなイメージがある。制作発表会の時もそうだったし、インタビューして見ると、真面目な人のようだ。ソン・ジェリムが考えるソン・ジェリムは、本当に真面目な男なのか?

「確かに内面には真面目で重々しい面があると思うが、僕もたまにはふざけるし、楽しいことも好きだ。でも、チョン・イルは『ジェリムさんが真面目な顔で冗談を言っているのが面白い』と言う(笑) それが演技にも表れる。ファンタジーのようなドラマで人々に希望を与えるよりは、現実的過ぎてかえって癒される演技をしたいと思っているのも、そのためである。(『財閥2世のような役はお断りという意味か?』という質問に対し)いや、やることはやる。『やりたいことだけをやる』俳優にはなりたくない」

―“バケットリスト”。一生のうちに必ずやってみたいことがあるとすれば?

「(しばらく悩んで)うーん……。今の夢は、国連の公用語5か国語を全部学ぶこと。英語を始めとして、フランス語・スペイン語・ロシア語・中国語があると思うが(※1973、アラブ語も国連公用語に追加された)。それで世界を回りながら、現地の人々に溶け込む生活をしてみたい。お金のあるなしは重要なことではない。コスモポリタン(地球市民)として生きていきたいというか。死ぬ前までだから、できないことはない」

―“ロマン”。最後の質問。俳優ソン・ジェリムにとっての“ロマン”は何か?

「俳優チェ・ミンスというと何を思い浮かべるか? ジェームズ・ディーンは? 彼らが“タフガイ”や“青春”の象徴のように考えられているように、自分も一つのキーワードで呼ばれたい。“ソン・ジェリム”と言った時に、あるイメージが自然に思い浮かんだらと思う。そのイメージというのはまだ正確には分からないのでこれから探していかないといけないが、いつか必ず見つかるんじゃないかと思う。限りがないながらも、はっきりとしたカラーを持つ俳優になるのが夢である」

記者 : イ・ジョンミン、イ・ミナ