ソン・ジェリム「『太陽を抱く月』で多くのものを得た」
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写真=ソン・ヒョジン記者
長身に小さい顔。忙しいスケジュールの中でも疲れているような印象はなく、明るい表情だ。写真を撮影する時にはモデル出身であるだけに様々なポーズを撮り、自ら雰囲気を盛り上げる。ソン・ジェリムは15日に最終回を迎えるMBC水木ドラマ「太陽を抱く月」で羽を得た。王の護衛武士ウン役を演じた彼は“チャグォルナム”(冷たい都会の男をパロディした言葉。冷たい宮闕(韓国語でクングォル)男を意味する)や“ブラック・ウン”などの愛称を得るなど“ウン・ブーム”を巻き起こした。彼の向かいに座ってみると、“ウン・ブーム”の理由が分かるような気がした。
「モデルは演技者になるための踏台」
―ファッション界では注目されていたトップモデルだったが、視聴者にはあまり知られていなかった新人俳優ソン・ジェリム。最初から演技に対する夢を持っていたというが。ソン・ジェリム:2009年から演技がしたいと思っていました。とても消極的な性格の自分を克服したかったからです。実はモデル界から先に連絡がきてモデル活動を始めましたが、これも演技者になるための踏台だと思っていました。“演技”というものの周りをずっと回っていたというのが、当時の僕を正しく描写する表現だと思います。
「イルも薦めてくれたが、当時の僕は『ウン』にぴったりだった」
―3回のオーディションの末、ウン役にキャスティングされたが、最初から順風満帆ではなかった。ソン・ジェリム:最初の「太陽を抱く月」の公開オーディションには参加出来ませんでした。「美男ラーメン店」の制作発表会と日が重なってしまって。それで「僕の作品ではないかも」と諦めました。ところがその後、キム・ドフン監督から連絡が来て3人が2番目のオーディションに参加しました。3回目は一人で監督に会い、最終的にキャスティングされました。
―3つの峠を無事越えてドラマに合流したソン・ジェリムに力を貸してくれた人がいた。「美男ラーメン店」で親しくなったチョン・イルである。すでにヤンミョン役にキャスティングされていたチョン・イルがキム・ドフン監督にソン・ジェリムを薦めたのだ。このような事実を「太陽を抱く月」の制作発表会で述べ、感謝の気持ちを表現した。
ソン・ジェリム:僕はオーディションを受けた当時、3ヶ月以上も仕事以外には人々と会わずに省察と反省の時間を過ごしていました。そのため、ウンというキャラクターが持つ落ち着いた感じや目線などをリアルに表現出来たと思います。運よく、監督もそんなところをよく評価してくれたと思います。
「3歳の俳優が画面に多く映りたいと思うのは傲慢」
―「太陽を抱く月」のホームページのキャラクター紹介を見ると、ウンはフォン(キム・スヒョン)への忠誠心とウォル(ハン・ガイン)への恋心の間で葛藤する人物である。しかし、実際のドラマではそれほど比重の高い配役ではなかった。原作と比べても同じである。物足りなく残念な気持ちはなかったのか?ソン・ジェリム:僕は演技を始めたばかりの人間です。成長過程に例えると3歳くらいになったでしょうか。言葉もきちんと出なかったり、表現が下手だったりする時もあります。そんな僕が画面に多く映りたいと思うこと自体が傲慢だと思います。ドラマの中心はフォン、ヤンミョン、ヨヌでした。彼らにフォーカスを合わせるのが正しいです。もし僕まで大きな比重を占めていたら、100部作になっていたかもしれません(笑)
―ソン・ジェリムは、原作のウンに対する魅力を語り、自分もウンが好きになったと打ち明けた。だからこそ、ウンのイメージに対して長い時間、監督と一緒に悩んだという。そしてその結果、今のウンが誕生した。
ソン・ジェリム:ある程度は方向が修正されたと思います。それで最後には忠誠心と友情の間で葛藤する方向に決まりました。でも忠誠心と恋心の間で悩むウンであれ、今のウンであれ、悩みはあまり変わらないと思います。ウンの魅力をアピールするには大きな変化はありませんでした。
「多くのものを得た、温かくて価値ある時間」
―新人俳優のソン・ジェリムは、今回のドラマで大きな栄光を掴んだ。視聴率40%を超える国民ドラマに出演したことはもちろん、キム・スヒョン、チョン・イル、チョン・ウンピョなど、年齢に関係なく良い同僚を得た。ソン・ジェリム:演技者としては新米の僕は、カメラの前に立つ方法から撮影現場でどうやって時間を過ごすのかまで色々な事を学びました。特に、現場でキャラクターの名前で呼ばれる嬉しさを感じました。みんなからは本名よりも劇中のウンという名前で呼ばれましたが、とても嬉しかったです。
―28歳のソン・ジェリムは25歳のキム・スヒョンと友情を深めた。撮影現場でもほぼすべてのシーンを一緒に撮影したため、色々なことがあったという。劇中でキム・スヒョン演じる王の宦官役チョン・ウンピョも同じだった。
ソン・ジェリム:撮影中、急激に親しくなりました。 宮闕に閉じこめられていたからそういう環境であったとも言えます(笑) スヒョンは動物的な感覚で演技をし、瞬発力も没頭する能力も凄いです。特に凄いなと思ったのは、自分も大変だろうと思うのに決してそれを表に出さないところでした。むしろいたずらをしながら雰囲気を明るくするスヒョンの姿からいろいろ学びました。チョン・ウンピョ先輩はベテランで、キャラクターを設定する能力も最高でした。
「スタッフへの感謝の気持ちで一杯です」
ソン・ジェリム:俳優だけでドラマを完成させることは出来ません。徹夜で苦労するスタッフの努力を忘れてはいけないと思います。体力的には大変だったけれど、ドラマの撮影現場で多くを学ぶことが出来た温かい時間でした。準備を徹底する俳優になりたいというソン・ジェリム。彼の力強い羽ばたきはすでに始まっている。
記者 : パク・グィイム