【スターコラム】ソ・イングク“ 一筋の光”演技に出会った ― Vol.2
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“韓国型オーディション番組の元祖”と呼ばれる「SUPER STAR K」の初代優勝者ソ・イングク。彼の目の前には“確かな道”が開かれるように見えた。だが、彼は笑おうとした途端、厳しい現実の壁の前で挫折するしかなかった。だが、光はあった。ステージで叶えられなかったことを演技で解消することになったのだ。歌手ソ・イングクは俳優に変身し、私たちに温かい笑顔と感動を伝えている。いつでも堂々と挑戦するソ・イングク。彼の演技への挑戦記を聞いてみよう。/編集者
こんにちは。皆さん~お久しぶりだと思います。スターコラム第2部でご挨拶することになったイングクです! では~拍手~!パチパチ!! 1部をご覧になったたくさんの方に喜んでいただき、ありがたいですが本当に身の置き場がない感じです。先日のコラムで僕の人生のメンター(良き指導者)を紹介しましたが、2部では最近夢中になっている演技の話をご紹介したいと思います。「ラブレイン」で演技を始め、“ウンチルカップル”で愛された「応答せよ1997」、そして最近の「せがれたち」に続き、映画まで撮ることになりました。ソ・イングクの“新しいチャレンジ”、演技の話! これから聞いていただけますか?
実は「SUPER STAR K」で優勝し、歌手という道が開かれたことで世の中の全てが僕のものになったような気分でした。宙に浮くような幸せな気分で、長い間出てくる笑いを耐えられませんでした。しかし、現実はそんなに甘いものではありませんでした。歌手の道はあまりにも遠く、険しかったのです。アルバムが出れば全てがうまくいくだろうと思いました。ですが、あまりにもたくさん期待されたためなのか、予想以上にステージに上がる機会は簡単に与えられませんでした。歌手になったけれど、人の前で歌えないという絶望にしばらくの間、苦しい時間を過ごしました。
たくさんの関心と愛を受けているにもかかわらず、その気持ちに答えられないということ。当時は、本当に四方が崖のように思えました。白と黒の境界につま先で立っている気分だったと言えば、少しは理解していただけますでしょうか。頭の中にいっぱいあるものを解消することもできなかったし、人が怖くてお酒も飲めませんでした。酔ったりして感情的な部分が出てトラブルでも起こすのではないかと思ったのです。夢見てきたものが一瞬で水泡のように消えてしまうということを誰よりもよく知っていたからです。人生が黒一色でいっぱいになった頃、その時一筋の光のように僕に近づいてきたものがまさに“演技”でした。
僕が演じた役は、チャンモという人物でした。実は、チャンモというキャラクターは方言を使いませんでした。ただ「田舎の僻地から来た」という書いてあっただけでした。演技が下手なのは当然目に見えるだろう。それなら、僕なりの色をどのように出すべきかという考えで、方言を使ってみたらどうかと思いました。それで監督には知らせず慶尚道(キョンサンド)方言でチャンモを準備してみました。最初のミーティングで方言を使う僕の演技を見た監督の、「一度やってみて」という言葉を聞いて、ものすごく嬉しかったです。雰囲気も和気藹々としていました。オーディションではなく、監督と共に役作りをしながら演技を始めたわけです。
大邱(テグ)でドラマを撮影することになりましたが、初めてのシーン、初めての演技で「OK、移動」という監督の言葉を聞きました。うーん…言葉では表現できないほどの気持ちですが…その間、僕の中に溜まっていたことが、全て解けていく感じでした。歌手になってからも感じなければならなかった悔しくて寂しくて残念な気持ちが、OKサイン一つで雪が解けるように消えました。本当に狂ったと言えるほどドラマに夢中になっていたと思います。そのため、わざわざ体重を増やして演技をしました。歩き方、話し方、性格までその時のソ・イングクはまさにキム・チャンモでした。他の先輩たちや監督から見れば足りない部分も多くて不自然な部分もあったと思いますが、「ラブレイン」のキム・チャンモとして過ごしたことそのものが幸せでした。
実は、最初に僕に与えられた役は、過去の回想シーンに登場するキム・チャンモだけでした。ところが、監督からいきなり電話がかかってきて、「忙しいのか」と言われて「暇です」と答えたらキム・ジョンソルというキャラクターをもう一つ作ってくれました。ギターを担いで歌う人物でした。本当に面白くて不思議だと思いました。実際、一つの作品に2回もキャスティングされる人はなかなかいないでしょう? キム・ジョンソルを演じながらも、キム・チャンモのように現場でいつも明るく、楽しく撮影しました。
グンソクに本当に感動したことがあります。彼は、自分のアイデアで周りの人々に拍手を浴びさせるタイプです。一度はドラマ撮影中、細部までこだわるため、路上で立ちションをしろと言われました。実際、練炭に立ちションをしたらどうかと話してみると、監督は本当に喜びました。アイデアが本当にいいと称賛が絶えなかったので、じっとしてはいられなくてグンソクのアイデアだと明かしました。人って欲があって、自分のアイデアならそれを話したいはずですが、グンソクはそうではありませんでした。周りの人が賞賛されるようにして支えてくれる、とても“カッコイイやつ”です。今もグンソクとはたまに連絡をとっています。心を許せる良い友達ができて、本当にありがたいです。
そして、男性方のために欠かせない人がいます。まさに少女時代のユナです。見た目は清純ですぐにでも泣いてしまいそうなイメージでしたが、実際はたくましくてしっかりしたタイプでした。ユナが綺麗な理由は、綺麗な“ふり”をしないからです。ユナは飾らず、綺麗に見られないことに対してもクールなんです。綺麗なことだけで言うと、トップなのに、計算していないからさらに魅力的に見えるわけです。また、ユナは実行力が一番強い人です。集まろうという話もユナが最初にするし、連絡も自分からします。ユナのような素敵な友人に出会えて幸せです。
初めて読んだのが…うーん…ハクチャン、ジュ二、ソンジェ、その次がユンジェというキャラクターでした。実は、僕は当然ソンジェ役を演じるだろうと思っていました。専門の役者でもなかったので、脇役で満足しようとしたのです。でも、ある日いきなり主人公のユンジェを演じるように言われました。監督がユンジェというキャラクターを大事にしていることが僕にも見えてきました。だからその時、僕は「僕が演じたら駄目になると思います。やりません」と言いました。ソ・イングクはトップスターでもなく、俳優としての知名度もなく、歌手としてのヒット曲もない曖昧な…“ぬるい人間”だったのです。こんな人がドラマでは主人公になって、視聴者が納得するのだろうか、どういうふうに見られるのだろうかと思いました。監督が作った会心の作品を僕のせいで台無しにすることはあり得ないと思いました。恩返しをしたくて来たのに、ドラマがうまくいかなければさらに申し訳なくなるかもしれません。ですが、そのような僕に、シン・ウォンホ監督は“限りない信頼”を見せてくれました。「お前に自信あるなら、僕にも自信がある」という監督の言葉に、ユンジェ役を演じると決心しました。
実際は、夢のようにユンジェというキャラクターへの反響がすごかったです。「マンナジマカ(会わないようにしようか、という意味の慶尚道方言)」という台詞が入った予告映像がネット上で公開され、信じられないほどのコメントが書き込まれた時に思ったのは、「俳優は自分自身を判断するわけではなく、視聴者の判断を受け入れる人」だということでした。僕は、他のことを考えるより、ドラマに集中しなければなりませんでした。そう思うと、なぜ僕が不安を感じたのかと思うようになりました。ソ・イングクが上手くやるかやらないかは、視聴者の判断です。そのように没頭したら、たくさんの方が賞賛してくださり、認めてくれました。
ユンジェという役を演じながら自分で役作りをする能力を得ました。もし演技を、そして作品を楽しまなかったら、その能力は得られなかったと思います。そのように楽しみながら演じる、作品に夢中になることができる、それが僕の長所だと思います。
「応答せよ1997」では、やはり僕の初恋、Apink チョン・ウンジと気が合ったと思います。演技を本当に楽しみながらしていました。実はウンジも「応答せよ1997」を撮り始めた頃は、きちんと演技を学んでプロの女優のように演じることはできない状況でした。そのように僕たちの洗練されていないところを見せたことで、「応答せよ1997」がさらに愛されたんだと思います。飾らない純粋なところをよく見ていただいたということなのでしょうか?
「せがれたち」を撮影しながら、監督に最もたくさん言われたことは、「カメラの方を向いてくれ」という言葉でした。「応答せよ1997」の時は、何も考えずユンジェが側にいるような感じで演じましたが、週末ドラマは表情や行動、口調を通じて視聴者に近づかなければならない部分が多かったんです。正直に告白すると、いまだに難しいと思っています。
そんなふうにまた違う環境に適応しようとしてみて、実は怖くなったりもしました。僕の演技が下手だったら、僕のせいでドラマが駄目になるでしょう。他の人々がドラマにかけている期待と愛情、情熱が、僕のせいで水の泡になってしまうと思うと、本当に苦しくなりました。再び始まった恐怖に、よく眠れない日が多かったです。そして、緊張するあまり、台詞を忘れることも多かったです。本当に自分がバカになったと思いました。僕も知らないうちに「すみません」という言葉ばかり言っていました。
その時、側で一番支えになってくれた人がイ・ソンジェ先輩でした。ソンジェ兄さんがうろたえる僕をしっかりと捕まえていてくれました。カリスマ性溢れる声で「戦場に行く兵士が傷跡一つも残さず、どうやって勝てるのか。お前のミスはミスでもない。ミスはどうしようもない部分だから『すみません』と言うな」と言ってくださり、本当に感動しました。“演技は戦争”という言葉が心の琴線に触れました。いまだにソンジェ兄さんの言葉が、映画の一場面のようにリアルに頭の中に浮かんできます。先輩のおかげで僕は軸をぶらさずにこのように演じられていると思います。まだ足りないことばかりですが、「せがれたち」を通じて、もう少しプロに近づいたと思います。
よくある言葉ですが、演技には終わりがないということ。それは本当に正しいと思います。その意味で、僕にとって映画は、俳優としてのもう一つの挑戦です。実は、このように映画に足を踏み入れることが危ないことかもしれませんが、全てのことを嬉しくてありがたい気持ちで受け入れたいと思います。いつの間にか誰かが僕を呼んでくれているのです。周りの人の役立てる人になったことだけで幸せです。僕は、いつも何かができなかった人間でした。でも今は、誰かの役に立つ人間に成長したわけです。バカのソ・イングクが今はこんなに成長しました。たまにこのように考えたりします。「これが人生っていうものか」皆さんの側にいるソ・イングクは、本当に幸せ者です。
もう2部を終わらせる時間になりました。僕の中にある話はとても多いのですが、それを書くことは大変ながらも面白いですね。これからは僕が描いていく未来のことを話してみたいと思います。3部が出る日をお待ちいただけますよね?
文:ソ・イングク
「NAVER スターコラム」は、注目の俳優やアイドル、アーティストたち本人がコラムを執筆。話題のスターが直接書いたコラムをお届けしています。記者 : ソ・イングク、編集 : ファン・ヨンヒ(Issue daily局長)、写真 : Issue daily、ソ・イングク、Jellyfishエンターテインメント