PSYから「建築学概論」「清潭洞アリス」まで…2012年のキーワードは“江南”

OSEN |

2012年の大衆文化をまとめるキーワードは、“江南(カンナム)”になると見られる。

映画、ドラマ、音楽、コメディなどのあらゆるジャンルで江南と他の地域の違和感および江南特有の文化を全面的に出し、貧富の格差問題などを指摘した。

映画「建築学概論」は、それぞれ江南と江北(カンブク)に住む男女のすれ違った初恋を描き、爆発的な人気を集め、お金の問題を本格的に扱ったコメディアン兼歌手の歌が音楽ランキングを総なめにし、PSY(サイ)の「江南スタイル」がピークに達したことに続き、SBSドラマ「清潭洞(チョンダムドン)アリス」がフィナーレを飾っている。これらの作品は、すべて貧富の差に伴う人々の喪失感などを見抜き、熱烈な共感を得た。

1990年代の大学生の初恋を描いた「建築学概論」で、イ・ジェフンとmiss A スジの葛藤の中心には“お金持ちの家の先輩”がいた。同じ江北地域に住んでいたが、江南に引っ越した女性とその女性に近付いた“お金持ちの家の先輩”は、主人公であるイ・ジェフンが初恋を失くした一番大きな要因となった。当時を再現する細かな小道具と名曲が目を引いたこの作品で、スジとイ・ジェフンはスターになり、恋愛物としては異例の、400万人の観客動員を突破した。

上半期の音楽チャートでは、お金の問題を真正面から取り上げたコメディアンの歌が爆発的な人気を得た。ヒョンドニとデジュニの「オリンピック大路」は、江南に向けた“普通の人”の認識をそのまま表している。この楽曲は“江南まで1時間半”もかかるオリンピック大路の事情を歌い、「兄さんの家はどこ/私は狎鴎亭(アックジョン)/私はカチ山(カチサン)/(中略)/素敵な男は新沙洞(シンサドン)に/素敵な女も新沙洞に」と貧富の格差を歌った。

これに先立ち、勇敢な奴らも厳しい経済事情を歌に昇華した。「I ドン(お金) Care」は、タクシー代がなくて困難な状況を題材にして笑いを誘うと同時に、「牛乳配達30万ウォン(約2万3千円)/コンビニエンスストアのバイト60万ウォン(約4万7千円)/だが、大学の授業料は何?2千万ウォン?(約160万円)」と歌いながら社会を風刺した。

7月に発表されたPSYの「江南スタイル」は、まさにピークだった。海外での成果は別にしても、この楽曲は発売と同時に各音楽ランキングで1位を獲得し、「江南スタイル」というタイトルが韓国人にどれほど強いインパクトを与えるのかを見せてくれた。

この曲は、江南スタイルを信じ込み、自分の虚勢に利用するマッチョな兄さんたちの身振りをあざけ笑って、今年最高のヒット曲になった。子どもの遊び場、観光バスの中、町内のサウナなどが登場する全く“江南”らしくない背景が江南という洗練されたイメージと入り混じって爆発的な皮肉を演出したミュージックビデオは、江南を羨望しながらも皮肉って下に見たい“普通の人々”の感情を正確に貫いたという分析だ。

また、SBS「清潭洞アリス」は貧しい家庭に生まれたシンデレラというありふれた題材だが、劇中でムン・グニョンは1年の契約職に命をかけなければならない20代の女性たちを鮮明に描き出している。

自身と似た境遇の彼氏が、「君と僕、合わせても月給350万ウォン(約27万円)」と言い、生活費や家賃、利子などを考えて、「一年ならマイナス2850万ウォン(約223万円)」と計算して、別れを告げるシーンはサンポ族(恋愛、結婚、出産の三つを諦めた)世代の現実をリアルに描く。また最近深刻な問題へと浮上した、大企業が中小企業のビジネスエリアを侵犯する問題とハウスプア問題などがきめ細かく描写されている。

劇中で、江南の清潭洞への進出は上流階級への進入を意味し、ムン・グニョンが演じるハン・セギョンは清潭洞に入りたいという欲望をさりげなく表現することで従来のシンデレラとは異なる姿を見せる。

貧富の格差が恋愛に及ぼす影響は、JTBC「私たち結婚できるかな?」でも如実に現れる。順調に恋愛してきた恋人が、結婚という現実的な課題の前で、どんな問題に直面するのかを詳細に描いた同ドラマは、江南に住む男性主人公の家と江北に住む女性主人公の家の激しい対立を描いている。

記者 : イ・へリン