イ・スンチョル、ヒットの公式を手放し“変化”を選ぶ「チョー・ヨンピルさんが道しるべとなった」

OSEN |

アーティストのイ・スンチョル(RUI)が、4年ぶりに新しいフルアルバムをリリースする。収録曲「愛したい日」を先行公開し、18日には11thフルアルバム「MY LOVE」を発売し、正式にカムバックする予定だ。上半期、音楽界に帰還し、突風を巻き起こした“歌王”チョー・ヨンピルが、彼のアルバムに少なからぬ影響を及ぼした。イ・スンチョル自らも「(アルバム作業中に)『HELLO』のティーザー映像を見て驚いた。チョー・ヨンピルさんから大きな刺激を受けた」と話したほどだ。

彼の新アルバムの最大のテーマは、“変化”だ。これは、チョー・ヨンピルがトレンディに融合させた新しい音楽を試み、多くの人を驚かせてK-POP市場を席巻したことにも関係している。新しいアルバムには、“イ・スンチョル流の音楽”よりも、チョン・ヘソンプロデューサーの指揮の下で誕生したヒップホップ、レゲエ音楽など様々な音楽ジャンルへの試みが盛り込まれている。

新しいスタイルを盛り込んだ新アルバムの発売を控えるイ・スンチョルに、12日午後、ソウル三成洞(サムソンドン)にあるスタジオで会った。インタビューに先立ち、イ・スンチョルは「宿題をチェクしてもらう心境」と言いながらも、自分のアルバムを全曲聞かせてくれた。タイトル曲「MY LOVE」を始め、「愛したい日」「そんな話しないでください」「Run Away」などは、バンドサウンドをベースに電子音とストリングスが加わってとても聞きやすく作られており、「甘えていたい」にはヒップホップが、「Beach Voice」にはレゲエ音楽が溶けこんで、聞く瞬間ごとに新鮮な驚きを与えてくれた。

「今回のアルバムの全体的なプランとしては、ヒットする曲を作ることよりも、トレンディで新しいイメージを与えることだった。ケーブルチャンネルMnetのオーディション番組『SUPER STAR K』の審査委員として活躍し、後輩たちや多くの人々に見守られているだけに、彼らの目と耳を意識せざるを得なかったのが正直な気持ちだ。ヒット曲の公式に従うのではなく、新しい試みを求めた。今回発売するパート1に9曲、9~10月くらい発売されるパート2に9曲というようにアルバムを2枚に分けた。これまでファンに愛されてきた『茉莉花』のようなロックバラードは、パート2に盛り込まれている」

確実にヒットする曲を手放して、音楽的に様々なことを試みた彼からは変化に対するプレッシャーは感じられなかった。イ・スンチョルは、「きっかけがなく、新しい歌を探すことが難しいだけで、変化を試みること自体に困難はない」と言い切った。ただ、歌の重要なテーマとして、“愛”を歌っていることだけはこれまでと変わらなかった。

「愛抜きでは語れないのが、現在の私たちの人生だ。ましてや、一緒に暮らすペットの犬さえも、愛を持って一緒に暮らしているではないか。男女の出会い、別れ、悲しみなどが記憶と思い出の原動力になるので、愛というテーマは永遠に不滅だと思う」

特筆すべきは、今回のアルバムにイ・スンチョル以外のボーカルが参加している点だ。これは、東亜(トンア)放送大学実用音楽科2008年入学生たちの曲で、変化に対するイ・スンチョル自らの欲と、新しい後輩ミュージシャンを牽引したいという先輩としての気持ちが合わさって実現した。

「東亜放送大学から曲を40曲くらい送ってもらった。(今回のアルバムに)すぐ入れてもヒットできる曲が多いと感じた。『甘えていたい』は、荒削りなところもあるがアイデアが際立った曲だった。フィーチャリングも新しい試みの一部である。耳慣れた曲ではなかったが、私にも合ったヒップホップ調の曲で、最近の弘大(ホンデ)シーンの音楽(韓国のインディーズ音楽業界)や『SUPER STAR K』出身者たちの音楽を聞いていると、アイデア的に学ぶ所が多く、新鮮さが感じられる」

自身に大きな“刺激”を与えてくれた先輩歌手チョー・ヨンピルについての話も欠かさなかった。

「年齢で言うと16歳離れていて、デビューした年から数えるとさらに大きな差がある。チョー・ヨンピルさんと私の音楽は明らかに違う。音楽的な面で影響を受けたというより、カムバック自体に大きな衝撃を受けた。あのような新しい試みをして、人々がそれを認め、歓呼すること自体が大きな衝撃だった。個人的に最も好きなアルバム『ソウル・ソウル・ソウル』以来、最高のクオリティだった。私たちに道しるべを与えてくれた気がした」

多くのアーティストがアルバムをリリースして、「後悔が残る」「残念なところがある」とインタビューで話しながら、まだ100%完成していないかようなコメントで謙遜するのとは全く別の姿だった。アルバムの曲を一曲一曲説明しながら興奮した表情で話し続けるのは、それだけ自信を持っているからだ。彼は今回のアルバムを“達成感”という言葉で説明した。

「後悔よりも達成感の方が大きいアルバムだ。11から前の10を引けば、1に戻る。だから、また一からスタートするという気持ちで作った。1~2回で録音した曲を、10度に渡ってアレンジを加えて完成させた。変化と新しい試みを盛り込み、何度でも再スタートするという刺激になったアルバムだ」

記者 : パク・ヒョンミン