「カクシタル」パク・ギウン“シュンジとガントの状況を考えると涙が……”

MYDAILY |

※この記事にはドラマ「カクシタル」の結末に関する内容が含まれています。
大好評のうちに最終回を迎えたKBS 2TV水木ドラマ「カクシタル」は意味深いものを多く残した。俳優チュウォンが主演を務め、物語の舞台として描かれた暗く重々しい日本統治時代の朝鮮を、カクシタルという仮想のヒーローを通じて少しでも復讐の痛快さを感じられるようにした。

「カクシタル」でもう一人発掘された宝石がある。すでにデビューして10年目を迎える俳優パク・ギウンだ。パク・ギウンは「カクシタル」で朝鮮人より朝鮮を愛した小学校の教師から鍾路(チョンノ)警察署のあくどい巡査に変貌する木村シュンジ役を熱演した。

「シュンジとガントの状況が悲しくて涙が出ました」

パク・ギウンは今まで順調に役者としての道を歩んできた。最初から彼の演技力に対する批判はなく、デビューして10年間、20作以上に出演した。ドラマ「チュノ~推奴~」と映画「神弓 KAMIYUMI」で世の中でもっともひどい悪役を演じ、作品のヒットを牽引した。彼の演技力は疑いの余地がない。

彼のそのような演技力は「カクシタル」で爆発した。カクシタル(チュウォン)の逮捕に失敗し怒りながら「カクシタル!」と叫ぶときは「倒れるのではないか」と思えるほどシュンジ役に入り込んでいた。まるで本当にカクシタルを逮捕したがる日本人のように……。

「シュンジは僕がこれまで演じたキャラクターの中でも特に難しかったです。演技を通じて学んだものが多かった作品です。演技においてたくさん悩み、多くのことを学びました。演技以外の部分でも今までと同じく一生懸命取り組んだ作品です」

「カクシタル」の撮影現場はパク・ギウンとチュウォンの涙によって撮影がよく中断された。感情を調節しなければならないシーンにも関わらず、抑えきれない感情のせいで涙が溢れたようだ。最近「カクシタル」の公式サイトにもパク・ギウンがチュウォンを拷問するシーンで涙を流し、撮影が中断された映像が公開されて注目を集めたこともある。ドラマで日本の巡査役を演じていたパク・ギウンは、絶対に涙を流してはいけない状況であった。

「本当に涙がたくさん出ました。シュンジとイ・ガントは親友だったのに、お互いに敵にならざるを得ない状況になってしまいました。ガントはシュンジの兄と父親を、またシュンジの兄である木村ケンジはガントの兄と母親を、シュンジの父親はガントの父親を殺しました。そんな状況が本当に悲しかったです。台詞が悲しいというよりはその状況自体が悲しくて涙が出ました。最終回でガントとシュンジが二人でお酒を飲むシーンや、シュンジが自殺するシーンでも、涙のせいで、撮影が中断されました」

「時代が生んだ悪人シュンジ、悩みました」

「カクシタル」でパク・ギウンは善人と悪人の二重の演技をした。本来は善良だが、時代的な背景によって悪人にならざるを得なかったシュンジ役のパク・ギウンは、そんなシュンジのために悩まされた。

「善良なシュンジと悪人シュンジ、二重の演技について悩みました。とても善良でありながらもまたとても悪人になる部分だけを表現すれば済む問題ではありませんでした。危機にさらされた状況で変化する真の悪人の様子を表現してこそ、ガントのカクシタルの活動に正当性が与えられるからです」

元々ガントとシュンジは親友だった。しかし日本統治時代という背景のせいで敵になるしかなかった。シュンジはすなわち時代が生んだ悪人なのだ。

「シュンジは絶対的な悪というよりは変貌した人物です。善人から悪人になる過程を表現しました。時代背景が生んだ苦しみを表現しなければならない部分がありました。国籍は異なりますが、ガントとシュンジは友達です。しかし敵視あるいは、その間の感情を表現することが難しかったです。あくどすぎる様子だけ、または善良すぎる様子だけを表現するのではなく、その間を表現しなければならなかったためです」

「僕が悪役を演じると人気ドラマになると言います」

パク・ギウンはいつからか“悪役専門俳優”という別名ができた。実際パク・ギウンが悪役で出演した作品はたった4作品しかない。ただ、その作品が世間から多くの関心を受けたおかげでパク・ギウンを悪役として記憶している人々が多いだけだ。

「多くの人々が“悪役専門”と言いますが、実際悪役での出演は映画『二人だ』『神弓 KAMIYUMI」』、ドラマ『チュノ~推奴~』『カクシタル』がすべてです。その作品が人気だったので僕のことを“悪役専門”だと思っている方が多いみたいです。人々が僕を見て『君が悪役を演じると作品が人気になる』というぐらいです。悪役より明るい役をより多く演じました。視聴率があまりよくなかっただけです(笑)」

パク・ギウンの話によると彼は明るいキャラクターを多く演じてきたという。それにも関わらず悪役が頻繁に入ってきた。まだ放送されていない作品だがドラマ「フルハウス TAKE2」でもまた明るいキャラクターだ。パク・ギウンは「今まで個性のあるイメージがなかったことがむしろ上手く作用したようです」と述べた。

「今は悪役を数多く演じて悪役のイメージができました。今まで特別なイメージがなかったことが上手く作用したようです。他の俳優の方々に比べて様々なキャラクターをたくさん演じてきました。実際『カクシタル』が終わった後『悪役だけ入ってくるのではないか』と心配しましたが、幸いにもまた他のキャラクターが入ってきています。本当にありがたいことです」

記者 : イ・ウンジ