Vol.2 ― カン・ジファン「イ・ミンホみたいな子たちを見て叫んだこともある」

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―それに比べて、ファンカフェではプライベートな経験も共有して、さらなる努力を注ぐ感じがする。韓国での受賞の挨拶をする際にも“カンハムサ(カン・ジファンと一緒にする人たち)”に気を遣ったが。

カン・ジファン:どうやら僕はファンたちには他の俳優さんのファンたちが感じるより、もっと満足できる何かを与えたいみたいだ。

―しかし、彼らは積極的な真のファンであると同時に、閉鎖的なコミュニティでもある。変わらないファンがいるということは長所だが、人気が広がっている近頃のような時期には短所になるかもしれない。

カン・ジファン:閉鎖的ではある。カフェにアップされた書き込みや画像などは、普通は流出しない。時々カッコよく撮られた写真はちょっと流出してほしいけど。ハハハッ。サラリーマンもやってみて、ミュージカルもやってみて、今のように俳優として過ごして感じたことは、百人のどうでもいい友達よりは一人の真の友達が大事だということだ。一人が百人に代わることができたら、百人の友達は要らないだろう。ある作品が話題になった時、ちょっとだけ来て喜んでくれて、すぐにいなくなる人が問題だと言っている訳じゃない。かえってそれが当然な反応かもしれない。ただ、俳優としては上手い下手に関係なく、絶えず守り続けてくれるファンに愛着が湧いて当然ではないか。

「ファンたちが僕のことを気に入ってくれた理由は、最初から上手かったからではない」

―そのためか、今回の日本でのファンミーティングでも、家族という表現を多く使っていた。

カン・ジファン:家族だから。ハハッ。でも、その方々に充実した内容の出会いを与えられなくて、少し残念だ。正直、今思うと身の縮む思いだ。

―内容が気に入らなかったようだ。

カン・ジファン:そうだ。東京のファンミーティングに来て頂いた方々には申し訳ないが、3日前の神戸のファンミーティングですべてを注いでしまった。それから、まるで何もかも終わったかのように飲み会も激しくやってコンディションの調節も上手く出来なかったし、5000人の前に立つとすごく緊張した。特に、登場する時、5000人もの人々のすごい歓喜を期待していたのに、神戸よりむしろ静かだったから少し戸惑った。都会の人々なので、雰囲気が落ち着いているかもしれないという話は聞いたけど、思ったより非常に落ち着いていた。そこから何か上手くいかなかったと思う。それで、ただ横になって歓声を誘おうとも思ったけど、上手くいかなかった。プログラムも1部はあまりにもトーク中心だったため、雰囲気が沈んでいた。

―しかし、ファンミーティングが終わってから取材してみたら、1部がつまらなかったと指摘するファンも2部は楽しかったと言っていた。

カン・ジファン:僕が日本で乗っていた自転車を景品として出したゲームもあったし、ギターのセッションに伴う歌もあったので、2部ではある程度の反応があると期待していた。観客の歓声を誘う時も、ただの拍手ではなくて、10代のアイドルスターに接するようにキャッキャと叫んで欲しいと頼んだりもした。その時から雰囲気が盛り上がるのが感じられた。また、客席巡回のフォトタイムでは、なるべくファンたちと目を合わせようとした。

―現場でも感じたが、自らアイデアを出すことが好なようだ。

カン・ジファン:少しずつ成長する姿を見せなければならないから。日本で真っ先に名を知らせた作品が「がんばれ!クムスン」だったけど、ファンたちが僕のことを気に入ってくれた理由は僕が最初から上手かったからではない。カン・ジファンの演技が不器用で、ク・ジェヒという人物も何か不器用だけど、その二人が共に成長していく姿が愛おしかったらしい。その成長を見守りながら、自分が応援する俳優だと思えたのだ。だから、僕も少しずつ発展する姿を見せながら、ファンたちに恩返ししようとしている。

「カン・ジファンの演技はまあまあだな、とか言われるとおしまいだ」

―確かにこれまでの過程は発展的だったと思う。最近の映画等でいきなりブレイクした傾向はあるが。

カン・ジファン:それは違う。きっと少しずつ上ってきたのだ。非常に大きな反応ではないけれど、一つの作品が終わる度にそのドラマでのキャラクターや演技を気に入ってくれる方が少しずつ増えることを感じた。もちろん、僕だってジャンプもしたいし、エレベーターにも乗りたい。「花より男子」のイ・ミンホみたいに、あっという間にスターになる子たちを見て自分の後頭部を掻きむしって“ああっ”と言ったりして。ハハハッ。でも、少しずつ僕が俳優として成長して、周りが好きになってくれるのも感じるから、手放せずに作品を休まずに続けるようになるようだ。

―そうやってある程度丈夫な基盤を整えるのではないか?簡単に落ちたり崩れたりしないような。

カン・ジファン:そうだと思うけど、実は落ちてもあまり怪我はしないと思う。あまり高くない。ハハハッ。だから、落ちてもまたすぐ上ることができる。

―口ではそう言っても、もう日本で観客5000人を動員できる韓流スターとなった。

カン・ジファン:だからこそ今が大事だと思う。韓流俳優というタイトルを持って、もうちょっと成長するか、そのまま止まるかという岐路に立っている。今回、Mnet Japanと一緒に進める旅行記やテレシネマ「私の目に豆の殻」のような番組が用意されているが、その結果が大事だと思う。

―実は、テレシネマの場合、韓国を代表する監督と日本を代表する脚本家が参加する超大型プロジェクトだ。

カン・ジファン:プロジェクトとしてみると大きいが、僕が参加する作品だけを見ると一つの劇でしかない。それだけを見た。ただ「天国の階段」のイ・ジャンス監督と「First Love」の大石静作家と一緒にやることだけを考えた。プレッシャーよりは最初に台本を見た時「おお、僕の女神よ」みたいなセリフを見て鳥肌が立ったことを覚えている。ハハッ。それでも、今回のテレシネマがすべて正統派の恋愛物だけど、僕のものだけはラブコメディなので競争力がありそうだ。

―もう確実にもっと高く上っていくべき時なのに、スターパワーについて悩んでいた俳優として、それに対する不安はないか。

カン・ジファン:高いところに上ることより、ある作品に入って台本をもらった時、上手くできるかどうかの方が不安だ。台本をもらって日程が決まると、不眠症になるくらいストレスが溜まる。事務所の代表とも一番多く争う部分がそれだ。作品に出演する時、ちょっとだけ他のことをやろうと言われると、僕はできないと答える。周りから見ると、俳優は本来演技をする職業だから、当り前で大したことないと思うかもしれないけど、僕には非常に重要な作業なのだ。心理的には取り憑いたことと同じなので、他のことはできないと代表に意地を張る。

―興行より「カン・ジファン、今回の演技まあまあだな?」という反応が一番不安か

カン・ジファン:当り前だろう。メイン俳優としてそんなことを言われたら終わりだ。それが一番不安だ。いや、恐ろしい。その表現がもっと正しいだろう。

【カン・ジファン出演 『がんばれ!クムスン』情報】
「がんばれ!クムスン」無料動画 GyaO![ギャオ]にて配信中 (~2012年11月5日)

記者 : ウィ・グヌ、翻訳:ハン・アルム、写真:イ・ウォヌ、編集:イ・ジヘ