「ザ・タワー 超高層ビル大火災」キム・ジフン監督“自分でもCGと実写の区別がつかない時も…”

OSEN |

「光州5・18」「第7鉱区」のキム・ジフン監督が「ザ・タワー 超高層ビル大火災」で戻ってきた。「ザ・タワー 超高層ビル大火災」は2013年初めに観客動員数400万人を突破し上映を続けているが、彼がインタビュー中に最も多く口にした言葉は「もっと勉強しなくては」だった。

「興行成績が良かったことは、嬉しいというよりはほっとしている。(『第7鉱区』で)スタッフや俳優、観客をがっかりさせた。映画の興行成績とは関係なく、身近にいる大切な人々を傷つけたので、今回は傷つけてはならないという強迫観念があった。今回はたくさん見ていただいているので、その点ではまず安心している」

周りの人の反応を聞くと「今は褒め言葉よりは残念な部分について話してくれている。批判されるのは辛いが、役に立つ。もっと勉強して成長しなければならないと思う」と話し、謙遜した。

キム・ジフン監督は、パニック映画の特性上、ドラマをジャンルものに合わせて撮影しようとした。しかし、ドラマをもっと強化すべきだったという指摘も受けている。それに対して彼は「パニック映画というジャンルの特性上、事件やアクションの役割が大きくて、そう思われたのではないかと思うが、それでもドラマに対する要求について、これからもっと勉強しなければならないと思った」とさらに自分にムチを打つ。

もちろん、個人的に残念なところもある。上映時間もその1つだ。映画の中でドラマをより豊富に盛り込むには2時間半から3時間は必要だが、そうなるとCGの量が増え、制作費が大きく膨らんだ。作る側としては残念な部分だ。

また、上映時間を削るための演技の編集もある。俳優たちが残念に思わなかったかという質問に、彼は頷きながら「アクションシーンがたくさんカットされた。最初は困惑していたが、全体を見て監督として悩んだポイントを全て理解してくれたと思う。ある俳優は『これくらいどうってことない。僕は5シーンの中で2シーンがカットされた』という方もいた。実はそういうところが俳優と監督の埋まらない溝になると思うが、みんなベテランで全体図を見ようとしてくれた。そういう点が有難い」と俳優たちに感謝と申し訳ない気持ちを表現した。

大作映画を相次いで撮影したキム・ジフン監督の本当の好みが気になった。彼は「好きなことと得意なことは違う。40歳を超えると、様々なストーリーを作るよりは、1つのストーリーを掘り下げたいが、僕は徹底的な商業映画監督なので観客に合わせたい。しかし『第7鉱区』ではコミュニケーションができなかったし、今回はそれでもたくさんの方に理解して見ていただいて、コミュニケーションを再開できたと思う」と率直に話した。最近印象深かった大作パニック映画としては「2012」を選んだ。

彼は、映画というものは産業と共に成長しており、巨大資本が監督の権限の幅を狭めるという面があることは事実だが、監督としてそのような状況でもバランスを取ることが重要だと強調した。そして再び「もっと勉強をしなくては」と付け加えた。

実際に彼の好きな映画は「リトル・ダンサー」「ライフ・イズ・ビューティフル」「ニュー・シネマ・パラダイス」等だという。自ら“優しい映画”が好きだというキム・ジフン監督は「妻は興行面で成功するためには悪い映画も撮らなければならないが、優しい映画ばかりやろうとしているのではないかと心配している。しかし、今の映画界で優しい映画を撮ることも意味があるのではないかと思う」というのが監督の考えだ。

撮影現場でもスタッフに優しい監督なのかと聞けば「15年間映画制作をしてきたが、自分でも気付かないうちにたくさん傷つけられたと言われた。監督である前にまっとうな人間にならなければと思った」と答える。「第7鉱区」に続いて「ザ・タワー 超高層ビル大火災」を撮影し、成長痛を経験したようだという彼は「僕が幸せに映画を撮影すれば、スタッフ、俳優、観客もみんな幸せだろうと思っていたが、ある人は不幸になった。今は少し成長したと思う。他の人を傷つけずにどうすれば俳優たちを笑わせられるかという思いで撮影現場に向かう。“来たい現場”を作りたい」とし、撮影現場に対する自身の希望を伝えた。

話題を変え、今回の映画のCGについて話した。ドラマ的な部分では異論があっても「ザ・タワー 超高層ビル大火災」が一段階発展した韓国映画の技術力を見せたということについてはほとんど意見が一致する。「実写とCGの区別がつかない」と言うと、「僕でも紛らわしかった時があった。CGを指摘した部分があったが、スタッフから『監督、あれは俳優と本当に撮影した実写ですけど』と言われた」と答えながら笑った。

「CGが良すぎて他のことは見えないという話も聞いた(笑) 今回の映画の価値はテクノロジーに置いた。子供の時から『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『スター・ウォーズ』のようなハリウッド映画のファンタジー・テクノロジーが好きで興味を持っていた。だから3D映画も制作した。韓国の映画監督とハリウッドが競争しても絶対に負けないことをお見せしたかった。ハリウッドに挑戦状を叩きつけたのが無謀な挑戦なのか無限な挑戦なのかは分からない。しかし、すべての監督には自分なりの旅程表があり、この時期、『ザ・タワー 超高層ビル大火災』は僕のロードマップになったと思う」

また、韓国でCGを実現した映画を作ることについてのエピソードを話してくれた。「最初は『ザ・タワー 超高層ビル大火災』のCG制作のためにアメリカに行ったが、あちらの関係者がこの予算であのような技術は“ミッション・インポッシブル(不可能な任務)”だと言われた。そう言われたから負けん気が生まれてきた。うちのCG技術チームがアメリカに行って『アベンジャーズ』の制作に参加したことがあるが、6ヶ月で2カットの制作をするそうだ。しかし、私たちは6ヶ月で一人が200カットを制作しなければならない。アメリカの資本力やインフラを物語る部分だが、僕たちは資本が少なく人数も足りないけど情熱がある」

彼が最も大変だったシーンとして選んだのは貨物エレベーターのシーンだった。「俳優たちを2日間閉じ込めた。水もロープで吊るして上げたし、エレベーターは本当にクレーンを利用して落とした。俳優たちの表情を見るたびに本当に怖かった。もう一度撮れと言われても、できないと思う。他のシーンが肉体的な恐怖だったとすれば、そのシーンは精神的な面で大変だった」

「光州5・18」で良い興行成績を収めた後、「第7鉱区」で痛い経験をし、「ザ・タワー 超高層ビル大火災」で再起に成功した彼は、自ら「執行猶予期間を終えなければならない」と話す。

「商業映画の監督が自粛して反省するのと、後悔するのは違うと思う。初期が後悔だったとすれば、今は反省だ。観客とうまくコミュニケーションする監督になりたいし、僕なりに映画を制作しながら積み上げたノウハウをすべて出したい気持ちもある。僕は流行を追う監督ではあるが、“キム・ジフン流の根性”を見せたいという意欲もある。もちろん、簡単ではないと思う」

記者 : チェ・ナヨン