「カイロス」ナム・ギュリ“役に没頭しすぎて…救急病院に3回も行った”

OSEN |

写真=ナム・ギュリ
ナム・ギュリが、ドラマ「カイロス」放送終了を迎え感想を語った。

ナム・ギュリは、MBC月火ドラマ「カイロス」放送終了を記念する書面インタビューで「最終回という実感が湧きません。数日後には撮影現場にまた呼ばれそうな気がします。終わりだと思ったらとても残念で、寂しくなると思います。もう一人の友人だと思って、見たい時にまた見ようと思います」と伝えた。

「カイロス」は、幼い娘が誘拐され、絶望に落ちた“1ヶ月後の男性”キム・ソジンン(シン・ソンロク)と、失踪した母親を見つけなければならない“1ヶ月前の過去を生きる女性”ハン・エリ(イ・セヨン)が、愛する人を救うために“時間を横切って”奮闘する物語だ。

劇中、ナム・ギュリは醜くて暗い過去を隠し、偽りの人生を生きるバイオリニストのカン・ヒョンチェ役を演じた。カン・ヒョンチェはキム・ソジンの自慢の妻でありキム・ダビン(シム・ヘヨン)の優しい母親で、欠点が何一つ見当たらない人物だ。しかし、スピーディーな展開の中で現われた彼女の正体はソシオパス(反社会的な行動や思考を特徴とする精神疾患を抱えた人)だった。

ナム・ギュリは「カイロス」を通じて子供を失った母親で、ソシオパスという珍しい人物を演じた。「自分だけにできる演技がしたい」と思っていたナム・ギュリにとって、「カイロス」は言葉通りチャンスの神様のように訪れた作品だった。

「選択ではなく、挑戦でした。『私が女優として、視聴者を説得することができるだろうか?』と思いながらも、複雑な人物であるカン・ヒョンチェに魅了されました。ドラマで初めて登場する女性ソシオパスは、新鮮でした。そして、悪役に妙に惹かれました。“タイムクロス”という題材も心に突き刺さりました。チャンスの神様を意味する『カイロス』という単語を見て、私の女優人生にチャンスの神様がいれば、力を貸してほしいという気持ちも大きかったです」

ナム・ギュリはソシオパスであるカン・ヒョンチェを理解するためにキャラクターのストーリーを自ら作り、プライドを高めるなど、様々な努力をした。

「まず自らヒョンチェというキャラクターを正当化し、説得することが優先でした。ヒョンチェは愛を知らず育った人物です。なので愛も分からないし、悪いことが悪いことなのか分からない……。ヒョンチェになるために、ヒョンチェの生い立ちを作りました。あんなふうに生きることになった理由、かわいそうな女性、人への接し方も何が正しいのか分からない女性です」と、カン・ヒョンチェについて説明した。

また、「誰よりも自分のことを信じなければなりませんでした。プライドが高くなってこそ、恐れることなくカン・ヒョンチェとして生きることができると思いました。そして目的がはっきりしたキャラクターでしたので、『私の様々な部分を取り出して、やりたい演技の70%だけしよう』と思いました。正常に見える女性が悪事を働くから、本当に悪い悪役に近づいたのだと思います」と明かした。

しかし、ソシオパスの演技は簡単ではなかった。特に、役に深く没頭した後、再び自分に戻る過程は精神的にも肉体的にも大変だった。

「ヒョンチェの狂気に、時には快感を感じたり、良心の呵責を感じたりもしました。そんな日は泣きながら家に帰りました。ヒョンチェ役にハマりすぎてナム・ギュリに戻ることが大変でした。結局、救急病院に3回も行きましたし、体重もとても落ちました。体力的に大変でした。それでも私には大切で価値のある作品でした。全ての感情を丁寧に表現しました」

カン・ヒョンチェは事情があったため、魅力的な悪役だった。善悪だけで分けると限りなく悪に近い人物だ。それでもナム・ギュリは「カン・ヒョンチェを通じて学んだことがあった」と話した。

「私にとってカン・ヒョンチェのプライドは少し違う感じでした。私は、自分にプレッシャーをかけて自責する方ですが、見えないところでたくさん緊張するし、たくさん心配します。カン・ヒョンチェを演じながら、ソシオパス的な面よりも女性の主体的な強さに魅力を感じました。私が出会ったカン・ヒョンチェは、私の中の世界でストーリーが多いキャラクターです。ヒョンチェを演じながら色々なことを学んだと思います」

ナム・ギュリはこれまで一緒に泣いたり笑ったりしてきたカン・ヒョンチェを見送り、愛情をこめて励ました。

「最初からあなたが選んだ人生じゃなかったけれど、これからでも新しい人生を生きてほしい。どこかで本当に愛されたらいいね。本心に勝てるものはない。あなたの心が温かくなってほしい」

記者 : シム・オンギョン