【ドラマレビュー】「ゆれながら咲く花」現実の学校をリアルに描写

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写真=KBS

揺れ動く青春には決まった答えがない

KBS 2TVドラマ「ゆれながら咲く花」にはピンク色の恋も世界を変えるヒーローもいない。ただ学校が世界の全てになった18歳の生徒たちがいる。彼らにとって学校は教育という偉大な教えを受けるところではなく、大学進学のために仕方なく通う一種の通過儀礼として認識されている。しかし大学進学にも勉強にも興味のない子にとって学校は、毎日出席をとられることで“自分のいるべき場所”にいると感じたり、自らの存在を認めてもらったりできる唯一の場所でもある。この時代が「ゆれながら咲く花」に熱狂する理由は、このドラマが大人と子供の欲望溢れる学校をそのまま表現しているからである。ここで繰り広げられるストーリーは誰かの過去、現在、そして未来である。

学校では毎時限ごとに何かが発生する。1時間単位で数学、英語、文学等々の授業を受けるように、次から次へと起こる事件に、時には戸惑いを感じる。「今日も1日一所懸命勉強しているだろう」と安心していた親たちは、このドラマを不快に思うかもしれない。学校内にイルチャン(一番ケンカが強い子)、イチャン(2番目にケンカが強い子)など不良生徒が存在しているからだけではない。授業中ずっと居眠りをしたり、他の科目の教科書を開いて勉強している子、授業に全然ついていけずぼーっとしている子。最もショッキングな瞬間はそのような生徒たちに巻き込まれながら勉強している自分の子供の姿を見た時だろう。

このドラマを表すキーワードは2つである。大学と友達。コ・ナムスン(イ・ジョンソク)とパク・フンス(キム・ウビン)による男の友情がドラマの序盤を引っ張っていたキーワードであったが、中盤以降からは2年2組の一人ひとりの問題にフォーカスを当てている。それぞれ少しずつ違いはあるが、生徒みんなが抱えている悩みは受験である。だがその多くは特別な理由があって大学に進学するわけではない。社会的に決まっているから誰もが大学を卒業しなければならなくなっている。そうでなければ“負け犬”に思われるため、みんな大学進学を希望する。クラスで30位の子もいわゆる“良い大学”に進みたいと話す。その中には家族の期待通り、合格が当たり前な“S大”に進学するために焦っているソン・ハギョン(パク・セヨン)もいる。

平均3等級のナム・ギョンミン(ソ・ジウン)は内申等級、大学修学能力試験(略称は「修能」・日本でいう大学入試センター試験)の模擬テストの両方とも成績が良くないため、入学の条件を満たすために、論述大会に出ようとするが、それを反対したのはカン・セチャン先生(チェ・ダニエル)だった。「今更入試のために論述大会に出ようとしているのか、受験の準備は1年生の時からしないと駄目だ」という冷たい彼のセリフに、ナム・ギョンミンが言い返す。「先生は1年生の時から何になりたいのか決めていたんですか? そんなことをどうやってそんなに簡単に決められるんですか?」と。それに対するカン・セチャン先生の答えはいかにも現実的なものだった。「だから難しいものだ」。しかしカン・セチャンとは正反対の教育思想を持っているチョン・インジェ(チャン・ナラ)の答えは違う。「学校が人生の全てになってしまった子は、点数で人生全体を評価されていると感じます。点数が少しでも落ちると、その分自分も価値のない人間になったと考えるかもしれません」

しかしこのドラマは学校と生徒の表現にあたって、チョン・インジェのように遠回しに表現しない。むしろできることとできないことが明確で、生徒に現実的に大学を選択して非現実的な希望は諦めることを薦めるカン・セチャン先生のように、あるがままを表現している。論述塾の人気講師出身のカン・セチャンは、父兄のすべての期待を背負って学校に来たが、“修能型”よりは“内申等級型”で、勉強のできる生徒に集中するよりは、みんなが参加できるような授業を続け、生徒から“実力のない教師”だと言われていた期間制教師(臨時職)チョン・インジェは自ら担任を辞めてしまう。子どもたちは、毎日のように登下校を送迎し、どこからかテストの予想問題まで探してくるキム・ミンギ(チェ・チャンヨプ)の母親のことを「ロード・オブ・ザ・リング」にちなんで“旅の仲間の隊長”と名付けて皮肉を言うが、自分にはいない“教育ママ”な母親を持つキム・ミンギのことを羨ましがっている。なぜならそれも“受験”に役に立つからだ。大学を出ないといけないという社会構造のため、特別な理由もなく受験勉強を強いられている彼らにとって、誰も“理由”を教えてくれないまま、環境を変えるべきだというのは夢に過ぎない。それこそ残酷なのだ。

これからどうなるのだろうか。論述大会の日、夕食の弁当を持ってきた母親とキム・ミンギの会話。母親の言うことはいつも一緒だ。「私は全部経験してきたことよ。この世の中にあなたを一人で出かけさせることはできない。私がドン底まで落ちても構わない。あなただけは怪我をしないようにちゃんと保護するからね」。10年ほど過ぎると分かるだろう。ロースクールを出て裁判官や検察官になると、きっと母親に感謝するであろう。しかし18年間母親から正解をもらってきたキム・ミンギの答えは違った。「お母さん、でも僕はその正解を望んでいません」。戦場に向かう子供の“人間の盾”になりたいという母親のことを、誰が非難できるであろうか。

学校には5択問題の正解も論述テストの模範解答も存在するが、親や先生の知らない世界にいる子供たちの悩みが分かる人も答えも存在しない。なかなか分からない子供たちの本音のように、最終回まで残り3話の「ゆれながら咲く花」の結末も想像できない。ソン・ハギョンは志望していた“S大”に合格できるだろうか。なかなか成績が上がらないナム・ギョンミンの夢は叶うだろうか。コ・ナムスンとパク・フンスは無事卒業できるだろうか。上がらない成績や今の選択でこれからの人生が決まるという不安に悩まされるが、彼らには他の道がない。だから今日も学校に行く。

記者 : パク・ダヨン