【ドラマレビュー】「会いたい」大人役者たちへのバトンタッチ成功

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ロマンスと推理を適切に混ぜ、ドラマへの没入度をアップ

「会いたい」が中盤に差し掛かり、次第に密度が高くなっている。“実力派子役”の素晴らしい演技で、放送初期から視聴者を圧倒した他のドラマと同様、MBC「会いたい」もまた、大人役者たちは負担を抱えることになった。視聴者もまた、彼らの違和感を共有せざるを得なかった。第5話と6話の多少粗末な構成で懸念されたのも事実だ。キム刑事(チョン・グァンリョル)の死の過程がいい加減に描かれたことと、主人公たちを取り巻く環境があまりにも変わったのがその原因だ。

更に、ハン・ジョンウ(JYJ ユチョン)の感情を表すことに過度な時間を割愛し、その状態によって周りの人物の行動が決まるなど、在り来たりなロマンスドラマの典型を見せた。しかし、今はその緩衝の時間を乗り越え、ドラマが安定感を取り戻している。

写真=MBC

視聴者は知っていて、彼らは知らないこと、そこがポイントだ

噛んで噛まれる関係ほど、心を焦がすものはないだろう。ハン・ジョンウとイ・スヨン(ユン・ウネ)、そしてカン・ヒョンジュン(ユ・スンホ)の3人は、謎めいた本音を隠している。

ハン・ジョンウはCCTV(監視をするためのビデオカメラ、及び監視システム)を通じてジョイがイ・スヨンであることを確信しているようだった。イ・スヨンはハン・ジョンウに対する長年の恨みを抱き、身分を隠しており、カン・ヒョンジュンはドラマで起きた複数の事件に介入しているように見られるが、2重の態度で徹底している。

ドラマを見る理由には次のようなものかある。大体全知の立場に立つ視聴者が、あらゆる誤解と周りからの干渉、錯覚で別れる主人公たちに感情移入してしまうことだ。その過程を全部知っているからこそ、残念な気持ちは倍増する。

現実ではなかなか見当たらない、あらゆることで企まれた個々の事件、事故が蓋然性を失わず展開され、そこに濃いロマンスが加わると、更に視聴者の没入を導きやすい。それこそ“ドラマチック”だということだろう。

写真=MBC、以前イ・スヨンが使っていた傘に付いていた名札。ハン・ジョンウとイ・スヨンの二人に、淡い昔の思い出を思い浮かばせるもの

ロマンスと推理、適切なテンポで上手くリードしている。

しかし「会いたい」の長所はロマンスだけではない。視聴者をあらゆる事件の推理に参加させることも長所の一つだ。性的暴行犯カン・サンドォクを殺害した犯人の足跡、そして状況だけで犯人を推理していく過程、カン・ヒョンジュンの叔母チョン・ヘミ(キム・ソンギョン)の死をめぐる疑問などにより、ドラマは更にしっかりした構成になる。

またキム・ウンジュ(チャン・ミイネ)の片思い、ハン・テジュン(ハン・ジニ)とカン・ヒョンジュンの劇的な出会い、手首に怪我を負ったボラの母に抱く疑問、そして母親(ソン・オクスク)を訪ねたイ・スヨンが、自分を忘れてしまったかのような姿に失望し、踵を返すなどの設定は、果たしてどう解いていくかに対する疑問を抱かせる。

このドラマの人物は立体的だ。“出生の秘密”のような物々しいものではないが、大体過去にトラウマを持っていて、現在も謎めいた状況におかれており、善悪がはっきりと分かれる人物ではない、上手く混ざった人間的な姿が垣間見える。

残念なところは、ロマンスを展開するにおいては、イ・スヨンのハン・ジョンウへの感情があまり表れていない。15歳の記憶の中、彼に対する恨みを克服できていないせいかも知れない。しかし、結局ドラマの大きな柱は、二人の恋だ。その濃厚な愛憎をもう少し描写する必要がある。ただし、ハン・ジョンウはそれに気づかず、視聴者にはそれがはっきりと分かるのがポイントだ。

前の4話までの設定があまりにも暗く、時には残酷だったため、現在のドラマの構造が多少は明るく、軽いと感じられるかも知れない。しかし、それぞれの状況で偶然を乱発せず、適切に整理していくこと、主人公が自己憐憫に陥り過ぎないように調節していくことなどは、今まで見られたこのドラマの美徳だ。その呼吸を失わず、維持していくことを期待する。

記者 : ハン・ギョンヒ