カン・ハヌル「韓国版『花ざかりの君たちへ』から多くを学んだ」

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最近最終回を終えたSBSドラマ「花ざかりの君たちへ」の中で、カン・ハヌル(22)が演じたミン・ヒョンジェは、他のキャラクターに比べて少し落ち着いている。彼は終始一貫してふざけながら遊ぶキャラクターたちの間で、真剣に高飛びだけに熱中している。ライバルであるカン・テジュン(SHINe ミンホ)ほどスポットライトは浴びないが、代わりに着実に練習することでそれを乗り越えようと努力する人物である。

カン・ハヌルもそのような面ではミン・ヒョンジェと似ている。目の前の人気を気にするよりは、演技に対する情熱で黙って真剣に俳優の道を歩んでいる。そのため、ドラマの低い視聴率が気になるのではないかという質問にも、逆に学ぶことが多く感謝していると言えるほどの余裕がある。

「もちろん、視聴率が良かったらという気持ちはありました。しかし、残念とは思わなかったです。学ぶために始めた作品であり、十分に学びました。今まで主に舞台で演技をしましたが、作品が演劇的な傾向が強かったため、(カメラの前では)ちょっと抑えようという考えで演技をしました。繊細に演技するという部分について学びました」

実は、カン・ハヌルの主な舞台はミュージカルと演劇である。中学生のとき、興味を持って入った演劇クラスで演劇の面白さを知って以来、ずっと演劇とミュージカルに出演してきた。特にミュージカル「スプリング・アウェイクニング」「スリル・ミー」「皇太子失踪事件」「ブラック・メリー・ポピンズ」など、ミュージカル界で有名な作品に出演し、彼の存在を世間に知らせた。20代前半という若い年齢にも関わらず、しっかりとしたフィルモグラフィーを誇るスターである。

「運が良かったと周りから言われます。年齢に比べて多くの作品に出演したと。自らそれに関する質問を自分自身に多く投げかけました。しかし、本当に実力が優れているとは思いません。実力よりは運でしょう。その一方ではこれがいつまで続くのかが分からないため不安です。だからもっと努力します。少しでも運があるときにより多くのことを学びたいです」

彼の話のようにカン・ハヌルの人生は他の俳優に比べ波が少なかった。最初に俳優を選んだときも、家族の反対が強い友達とは違って、演劇俳優出身である親のおかげで比較的に簡単に夢を選ぶことができた。演技者たちの名門といわれる中央大学校の演劇学科も一回で合格した。2007年にはKBS 2TVドラマ「最強!うちのママ」で800分の1という競争率を切り抜け、ハンサムな優等生で人気のある高校生、チェ・フン役に選ばれた。しかし、波のない道を歩いてきただけに、それに対する悩みも多かった。

「『最強!うちのママ』のときが過渡期でした。演技に対する準備が足りていない状況でドラマを通じて自分が(視聴者に)知られるのがイヤでした。演劇からより多くのことを学びたかったです。それで『最強!うちのママ』のオーディションに参加しながらも演劇を続けたいと思いました。結局オーディション後、プロデューサーに丁寧にやりたくないから選ばないでくださいと話しました」

ともすれば生意気にも見える新人のこのような態度にも関わらず、プロデューサーたちは逆にカン・ハヌルを説得した。結局カン・ハヌルもジャンルではなく俳優の問題だと思い、自分のせいで選ばれなかった人々に対する責任感で出演を決心した。始めた仕事に対して欲が生まれ、自分の限界を乗り越えてみようと考えたという。しかし、ドラマを終えて再び戻ってきたのは演劇だった。

「僕は俳優においてもっとも重要なことはフィルモグラフィーだと思います。僕がやった作品は僕を代弁してくれると思うからです。実は、テレビドラマは僕がオーディションに参加して選ばれる立場だから、ミュージカルで蓄積してきたイメージとは違う方向に流れました。しかし(演劇やミュージカルは)ある程度自分で選べます。演劇とミュージカルで積み重ねてきた重くて暗いイメージを維持したかったんです。だから『花ざかりの君たちへ』はやってみたいと思いました。ミン・ヒョンジェが真剣なキャラクターだから。話し声も小さく、暗くて真剣な部分が気に入りました」

このように「花ざかりの君たちへ」の最終回を迎えた後、選んだ作品はミュージカルの「アサシン」である。「アサシン」はアメリカ大統領を暗殺したり、暗殺を企てた9人の暗殺者に関するストーリーで、アメリカ社会にあるアメリカンドリームの闇について扱った作品である。この作品でカンハヌルはジョン・F・ケネディを暗殺した暗殺者役を演じ、また暗いキャラクターに挑戦する。それで、実際の性格も暗い方ではないのかという質問に“4次元(人並み外れて風変わりな魅力の意味)”というとんでもない答えを返した。

「4次元と言われます。自由奔放なことが好きだから。僕は普段は自分に結構厳しいです。こういう人であるほど一度甘くなるとその限界がありません。一度ストレスを受けると携帯電話の電源を切り、連絡も切ります。ですのでLeessang(リッサン)の曲が好きです。歌詞が気に入りました。飾り気もなく、自由奔放な姿が好きです。それを通じて満足すると言うか……(笑)」

そのためか、カン・ハヌルと本当に親しい知り合いは、彼が自分自身に厳しい姿が気の毒に見えるという。それもそのはずだが、カン・ハヌルは俳優という職業に対し自らとても高い基準を持っている。彼にとって俳優という言葉は神聖なものだと思われる。

「演技を始めるときから話していましたが『こんにちは、俳優のカン・ハヌルです』と紹介することが僕の夢です。今は叶えられない話のように思えますが。俳優は僕にとって不可能なことがない存在です。あらゆることに対し万全に準備ができている人。10分前にスクリプトを見て演技するのは不可能であると言う方もいらっしゃいますが、僕は俳優だからそうしなければならないと思います。僕も上手ではありませんが。だから僕はこの夢を叶えることができないと思います。しかし、これが不可能なことだから引き続き試みることができると思います。ずっと努力する人でいたいです」

インタビューで会ったカン・ハヌルはこれから歩む道は遠いが、その道がどこにあるかを明確に知っている人物だった。そして、その道に進むためにどのぐらいの努力が必要であるかも知っている。そのためカン・ハヌルは、現在より10年後、20年後がより期待される俳優なのだ。今後、彼が自身を俳優と紹介するようになったころに再会できることを期待している。

記者 : チョン・ヒョンジン