「ヨンガシ」キム・ミョンミン“うわべだけの形式的なインタビューはしたくない”

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「率直な話し合いと、“縁”を大事にする」

殺人寄生虫を題材にした映画「ヨンガシ 変種増殖」が破竹の勢いでヒットしている。観客の口コミも広がっており、出演キャストもひとまず安心できそうだ。

映画に関連した話はずいぶん話題になっている。もう少しすれば、“ウィンダジョル”(映画に登場する唯一の駆虫薬)の製造法が登場するかもしれない。実は、映画「ヨンガシ 変種増殖」は映画配給会社もそれほど期待してなかった作品であったため、キャストも公開直後は緊張を強いられただろう。

主役のキム・ミョンミンは想像以上のプレッシャーを感じていたはずだ。本人は前作の興行結果は気にしていないと言っていたが、主役である以上、ヒットへのプレッシャーを感じないわけがない。作品が公開されるたびに、欠かさずメディアとインタビューを行っているのもその理由からではないだろうか。


「僕は率直なタイプ。記者さんが気を使うほど」

「ペースメーカー」以来のキム・ミョンミンとのインタビューである。「ヨンガシ 変種増殖」を終え、次回作の「スパイ」を撮影中の彼の声は少しかすれていた。そのため、昨夜、家では一言もしゃべらなかったという。殺人的なスケジュールをこなしているのだ。

キム・ミョンミンを取材して驚いたことが一つある。前作のときもそうだったが、今回も彼は数十のメディアにインタビューされているにも関わらず、今年の初めに行ったOhmyStarとのインタビュー内容をすべて覚えていた。

キム・ミョンミンほどのスターなら、複数のメディアとのインタビューで答えた内容を繰り返したとしても仕方がない。俳優もあえて違う表現を使うよりは、自分が使い慣れた表現を使うのが一般的だろう。

そのことを尋ねてみると、表現はインタビュアーによって違うらしい。それは当然のことなのかもしれないが、彼は“縁”を大事にしているため、どんな質問にも丁寧に答えるタイプであるという。

「僕に会った記者さんはみんな意外だと言っている。案外口数も多くて、おしゃべりだと。先日の飲み会でも最後まで残っていた。うわべだけの形式的なインタビューができるほど頭もよくない。記者さんたちと飲んだら、翌日の記事のことを心配するのが普通らしいけど、僕の場合は記者さんに心配されるほどだから」


何気なく話した内容が記事に……彼の反応は?

それもそのはずである。映画「ヨンガシ 変種増殖」の公開直前、記者とキャストが話し合う“メディアデー”があった。当時、キム・ミョンミンは家族の話からプライベートなことまで何でも記者に話した。もちろん、オフレコ(記録や公表をしないことを条件に発言すること)で。決まり文句ばかり言うのは仕事の延長のようでつまらないと彼自身も思っていたそうだ。

「キム・ミョンミンと世間話をしたと思っていただきたい。久しぶりに会った地元の友達みたいに話したい。でもこういうのはお互いマナーを守ってこそできるのではないかと。初対面の記者さんが一番怖い(笑) でも何でも話す。後で相手へのマナーを振り返ることもできるし」

こういう性格のせいで、記事にならずに済むことが記事になったこともあった。彼自身も関係者も困ったことだろう。彼はそれでも記者のことを理解できると言い、しかし「こういうことに傷ついて、心を閉ざしてしまう俳優の気持ちも理解して欲しい。辛い思いをするその気持ちも尊重して欲しい」と付け加えた。

今年の初めのインタビューでキム・ミョンミンは「近頃の記事は真実や誠意に欠けている」と残念がっていた。その考えに変わりはないのか聞いてみた。

「デビュー当時はインタビューを受けると、日刊紙でけっこうしっかり記事を書いてくれた。当時は一度記事を新聞に載せると、書き直しができなかったんだろう。でも最近は記事に対する責任感が薄れているのではないかと。数多く存在するインターネットメディアの中で、目立ちたい気持ちはわかるけど」

彼は自分の記事以外はあまり読まないほうなので、メディアに対して言いたいことはさほど多くないそうだ。そこで、この続きは次のインタビューですることを約束し、ついでにOhmyStarについてどう評価しているかについても、次回作の「スパイ」の時にまた尋ねてみることにした。


役者としての心構えは“誠意”

やはり、キム・ミョンミンには“誠意”が何より重要なようだった。うわべだけの形式的なインタビューは自分自身にも大きなストレスになるようだ。

「昔『ベートーベン・ウィルス~愛と情熱のシンフォニー~』を撮影した時のことだけど、ドラマのスケジュールってすごく過密で、寝る時間もないくらいだった。なのに、現場で記者さんが何人かずっと待っていた。10時間も待っていたので彼らにこう言った。

僕は向き合って、腹を割って話したいけれど、アポを取らずにいらしたので、残念だと。撮影の前の5分か10分でよければ、インタビューはできるけど、ごくありきたりなものになってしまう。それでも構いませんかと聞いたら、またにすると言って帰られた。

それが僕のやり方だ。人と人が会って、お互いあんなふうに向き合いたくはないと思う。今このインタビューもやらなきゃならない仕事だと思ったら、たぶんその瞬間から疲れると思うし。医者からは、撮影を続けるなら、のどはできるだけ使わないほうがいいと言われたし」

これが俳優キム・ミョンミンの本当の魅力だろう。冷静で硬質な容貌の裏には誠意を尽くす心がある。彼にも「ヨンガシ 変種増殖」以降、リフレッシュの時間が必要だ。幸い、「スパイ」の撮影が7月中旬に終わると、休みをもらえるそうだ。ストレスから逃れて、ひと夏を家族と一緒に過ごす彼を応援したい。

映画「ヨンガシ 変種増殖」もヒット中で、映画のメッセージも家族の大切さである。観客動員数400万人を超えたらお酒をおごると言う彼に、僕も、400万人を超えたら本を一冊プレゼントすると約束した。本好きな自然人、キム・ミョンミンへの小さな応援のつもりで。

記者 : イ・ジョンミン、イ・ソンピル