「紳士の品格」どこまでがセクハラでどこからが恋なんだろう

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キム・ドジンのアプローチの仕方がどうも受け付けない

「紳士の品格」の始まり、プロローグはいつも軽快である。

キム・ドジン(チャン・ドンゴン)がソ・イス(キム・ハヌル)に「色気を使うな」とひどいことを言った深刻なシーンで終わっても、その次の話は、4人の男同士でスタークラフト(コンピューターゲーム)に夢中になっているシーンからスタートする。タイトルは「紳士の品格」だが、“男”は歳をとっても“子供っぽい”と言わんばかりに、毎回歳をとった少年らの年甲斐のない行動でドラマがスタートする。

そして、まるでハリーポッターの魔法の世界にはまるように、彼らの視線から描いた40代のラブストーリーに落ちる。「セックス・アンド・ザ・シティ」で30代の女性4人がカフェに集まってコーヒーを飲みながら、おしゃべりをするシーンにはまり、彼女たちのストーリーを自分の物のように感じてしまったように。

キム・ドジンら4人の男の大人気ないオープニングのお陰で、視聴者は、X世代(1960~1974年の間に生まれた世代)と呼ばれたが、もはや体も心も若くない、ある程度の社会的な地位もあって、プライドもあるお洒落な男性の目線から「紳士の品格」というドラマを観ることができる。

だが、「紳士の品格」の4人のメリハリのある愉快なエピソードをみていると、時々不快に感じる時がある。多分私が遠い昔、恋をやめたせいかもしれないが、記憶の向こうには「あの時はああだった」と、思い浮かぶものがある。

ドラマでキム・ドジンがソ・イスにアプローチする仕方は、どうも苦手だ。彼はいきなりソ・イスに一目ぼれしたといいながら近づく。

隠れようとドジンがいる浴室に駆け込んだイスに、シャツの前を開けた自分の体を密着させたり、釘を持たせて後ろ抱きするのは普通。スキンシップだけではない。言葉でもしばしばソ・イスの潜在意識の中を覗くような、性的な連想をさせる冗談を飛ばす。さらにはイム・テサン(キム・スロ)とキム・ドジンの間で迷う彼女に「色気を使うな」とずばりとひどいことを言ってしまう。


制作発表会の当初から脚本家キム・ウンスクさんも公言したように、40代の恋を語る「紳士の品格」でセックスネタが登場するのは予想されていた。「セックス・アンド・ザ・シティ」のように、韓国版40代の性と恋を題材にしたシットコム(シチュエーションコメディ:一話完結で連続放映されるコメディドラマ)のようなこのドラマで、セックスネタに触れないことは尚更ないだろう。

だが問題はその方法である。もちろん「紳士の品格」が40代男性の視線から見た性、恋、結婚についての話であり、「知ってるのに知らないふりをしているの?こういうの好きでしょ」というキム・ドジン流のアプローチは、韓国の男性にはよくあることかもしれない。

ところがソ・イスが本当にキム・ドジンのことが好きでないなら?苦手な相手にキム・ドジンのようなアプローチをされたらどうなんだろう。ドラマではキム・ドジンの「こういうの好きでしょ」という一方的なジョークに、ソ・イスがうんざりするシーンが何回か登場する。それでもキム・ドジンはそれを恋愛の駆け引きだと思う。

どこまでがセクハラで、どこからが恋なんだろうか。その境界を迷っているのが、私なのかこのドラマなのか分からない。

キム・ウンスクさんの脚本は、現在の韓国の人々がどのように考えて、生きていくのか、うまくキャッチしていると評価されている。その面から見ると、「紳士の品格」のキム・ドジンの恋愛はリアリティがあるかもしれない。しかし、そのリアリティは彼或いは彼らのマジックにかかっていない、正気の人から見ると、不快なわけだ。まるで自分がセクハラをされたみたいに。

セックスネタはみんなそうではないかと?キム・ドジンも恋をする人だからそうではないかと?さあ、私が覚えている「セックス・アンド・ザ・シティ」のセックスネタはそうでなかった。むしろキム・ドジンみたいな男が登場すると、結局痛い目にあったのでは?

まだまだ韓国の男性は身勝手な恋をする。それが悲しい。なのに、視聴者はそれをリアルだと思う。この投稿に共感する人もさほどないだろうと思うと、それも悲しい。

記者 : イ・ジョンヒ