Vol.3 ― BIGBANGのT.O.P「今のこの青春が色褪せるのは見たくない」

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悪い男に出会った女の子は、彼が“普通の男とは違って”とても辛いと話した。しかし、BIGBANGは普通の歌手とは違うおかげで魅力的なグループになった。ラッパーがブレイクダンスを踊らないし、ぴったりと息の合ったダンスや曲の中にはっきりしたリフレイン(繰り返す部分)をあえて入れたりはしないが、それでも人々はBIGBANGの曲を覚えて彼らのステージを待つ。彼らは他人よりも上手にやるために頑張るというより、他人とは関係なく自分たちが願うことを上手にやり遂げようと頑張ったために、鮮やかな彼らならではの世界を築くことができた。

彼らのこのような態度が現れるのは、音楽だけではない。インタビューで出会ったBIGBANGのメンバーたちはファンのために大げさに答えたり、人々の反応を予測した答えを出したりはしなかった。皆が聞きたがる話を聞かせるより、自分たちが言いたい話、しなければならない話を素直に打ち明けた。そのため、そんな彼らが非常に大人っぽく見えると同時にとても純粋に見えたりもした。普通の男と違って大変な時は素直に大変と言うT.O.Pも同じだ。アイドル独自の楽天主義を捨てた悪い男は、決して簡単に「大丈夫」と言わなかった。しかし、彼は自分の中で固く確信することがあると話した。次のインタビューは、信じるほかない彼のストーリーである。

「“バカっぽいけどかっこいい”そんな感じを与えたかった」

―今回のアルバムで再び多くの人から注目されましたね。活動を終える感想は?

T.O.P:BIGBANGの活動の中で最も気を使ったアルバムでした。一つ一つが完璧に見えるようにするため、かなり気を使ったので、デビュー以来、一番大変なアルバムでもありました。活動をしながら精神的にも肉体的にも大変でした。

―他のメンバーたちは皆、大変さより楽しさが大きかったと言っていましたが、意外な答えでした。

T.O.P:より多くのものを盛り込もうとしたせいで、僕には楽しむ余力がありませんでした。多分、活動期間が今より長かったら、これ以上耐えられなかったと思います。コンセプトやステージでのキャラクターが現実と少し離れている雰囲気があったため、気を使わなくてはならない部分が非常に多すぎたと感じます。

―ステージを見る時、表情や動作の一つ一つから完璧な演技を見せようとしていると感じたりもしたのは、そのせいでしょうか?

T.O.P:時間が経てば経つほど、責任感を持つようになると思います。隙間を見せないように頑張ったりもしますが、それはステージ上での完成度を徐々に上げて完璧に近付きたいという渇望が生じるからだと思います。だから、目つきや出せるパワーを頭の中で綿密に計算し、精神面でそれに集中しようとしました。

―GD&TOPの活動をする時は非常に自信に溢れているように見えましたが、BIGBANGの活動を再開して観点が少し変わったように見えます。

T.O.P:自分自身や状況を一歩下がって見る目ができたと思います。僕という人間と、BIGBANGというチームを前より少し現実的に見るようになったということです。なぜなら、僕たちの職業は自分を経営する仕事だからです。すべての人々から“新しくかっこいい”と言われるステージを見せるために、もう少し賢くならなければならないと考えました。僕たちが洗練されたものだと思って進む方向も、人々から“度が過ぎている”という評価を受けてはいけないのです。

―ラップの時、本能的な感じを守り、理性的な判断を下すことは簡単ではないはずなのに、秘訣はあるんですか?

T.O.P:それは……秘密です。僕だけのノウハウだから(笑)

―そしたら、理性的な目で見た時(笑) BIGBANGの中でT.O.Pの役割は何だと思いますか?

T.O.P:みんなが望むのはT.O.Pという人物が残すインパクトだと思っています。そのため、記憶に残るジェスチャーや目つき、ラップ、歌詞にかなり気を使っています。他の人がやるジェスチャーを同じようにする時は控えめにやろうとしたり、みんなに、なぜあんな動きをするのかと思われることをしたかった。非常に変だし良くない表現だけれど、他に説明できる方法がなくて、あえて荒い表現を使ってこれを話すとしたら、いわゆる“バカっぽいけどかっこいい”というような感じを与えたかったんです。

―他の言葉に変えるのが難しい表現ではありますね。そんな雰囲気を演出するため、ステージではどんなことを考えるんですか?

T.O.P:理性を手放します。今はステージ上でみんなの顔色を見ずに自分をただそのステージに投げつけるようにして、自分をコントロールすることができるようになりました。表現したいことがその日の気分によっていつも変わりますが、そんな考えだけを持ったままステージに上がります。以前はみんなを盛り上げたり夢中にさせる方法だけを考え悩んでいたとしたら、今は動く自分を上から見る感じで、むしろ少し離脱して雰囲気を捉えようとしています。

―ステージ上での状況はリアルタイムで繰り広げられるのに、そんなふうに自分を客観視することが可能でしょうか?

T.O.P:確信が強くなり、ステージや音楽に対する勘が研ぎ澄まされ、自信が付くほど、自分自身に対して客観視できるようになるんだと思います。自分をモニタリングしながら、冷静に見ることができると思うし。以前はつまらないことを悩んだりみんなの視線を恐れたりもしたけれど、もうステージ以外のものは欲張らないから、むしろ気楽になったのもあります。仕事と恋愛の両立ができる時期になったと思います。

「最近は心の中がだんだん単純になって来ている」

―仕事と恋愛をしたおかげか、今回のアルバムで見せてくれたラップは特に印象的でした。中でも「FANTASTIC BABY」で見せた空気はこれまでとかなり違うように感じます。どんどん展開される曲調も非常に新しかったし。

T.O.P:そういうのは本能的に作られる部分です。ただ、ラップを18ビートに割るとか、よく使わないライム(韻を踏むこと)とフロウ(ラップの節回し、節の上げ下げ)を使おうとする努力はしました。特に「FANTASTIC BABY」では、ザ・ローリング・ストーンズのミック・ジャガーを想像しながらラップをしましたが、彼独特の奇抜なダンスを踊る時に感じられる新鮮さを演出したかったからだと思います。色んな面でカッコいいラッパーたちが多いけれど、もはや強がったりカッコつけたりすることがカッコよく見える時代は過ぎたと思います。単純だけどユニークなラップを作ることが目的でした。

―「人気歌謡」(SBS)で披露した「BAD BOY」のステージの中で、導入部ににっこりと笑う姿を一度見せたことがあるんですが、それが面白かったです。従来の枠とはまた違うユニークさを確保しようとしたと思うのですが。

T.O.P:本当に悪い男はいつも笑いますよ。感情を隠さなければならないから(笑)

―歌詞を書く時、個性を守ろうと悩む方ですか?

T.O.P:実際、作詞をする時は別に何も考えずその時その時作るタイプです。今回のアルバムのラップはほとんど収録当日に書いたものだし。ほとんど僕の経験を書くから記憶とラップの感じが似ているように作られていると思います。

―アルバム作業の時も時間が十分あったというわけではなかったはずなのに、どのようにインスピレーションを引き出すんですか?

T.O.P:完成品のフィギュアを見たり、よくデザインされた家具を見に行ったり、誰かが作り上げた完成品を見る時、心が落ち着くけれど、そんな時に自分の中からストーリーが出るんだと思います。たくさん考えていた時に比べ、最近は心の中がだんだん単純になって来ました。それで良くなった部分もありますが、反抗的だった昔の性格が柔らかくなり、より幅広く人々を観察したりして感じるようになりました。

―そんな変化が音楽だけでなく、他の部分にも影響を与えたりするんですか?バラエティ番組で前より積極的に撮影に参加する姿に、デビュー初期のやんちゃな姿を見るようだったというファンたちがいました。

T.O.P:これまで僕が少し重く見えたとすれば、それは僕が出演した作品の影響だと思います。戦争映画を撮って学徒兵役で出演し、トラウマのようなものに非常に長くとらわれました。演じた役から抜け出すことがなかなかできずにいて暗かったし、自分の姿を隠したいとも思いました。これからもどんな役に扮するかによって性格はまた変わると思います。ステージでもそうですし。

―心の中に課題が残っているのに、ステージで自分の最大限の力を見せるためには相当な緊張感が必要だと思いますが。それに、今は海外でも見守るファンが多いですし。

T.O.P:いつも緊張感を持とうとしています。そうしないと怠惰になる性格だから常に気を引き締めています。そして、詳細部分にまで気を使って完成した姿を見せようとしますし。見ている人々の趣向はそれぞれ違うけれど、それらを超えるためにはうまくやっているように見えるより、かっこよく見える必要があります。そのため、時には限界を感じるほど疲れたりもするけれど、責任感があるし負けず嫌いだからやめるわけにはいきません。

―責任感というのはチェ・スンヒョン(T.O.Pの本名)ではなくBIGBANGのメンバーだから持つ感情なのですか?

T.O.P:正直、チェ・スンヒョンでのソロ活動をまだしていない理由もそこにあります。意欲もあるし自分自身で手に負えない時もありますが、チームの一員じゃない時はそんな部分を諦めてしまうんじゃないかなと思います。個人として特にこれになりたいということもないですし。

―たくさんの人々から関心を受ける人なのに、本人は世間事に関心がないように見えますが。

T.O.P:観点が少し変わったけれど、昔はこんなふうに、あんなふうに見られたいと思う姿があったとしたら、今は僕の前に人々を呼び集めたいと考えるようになりました。ステージに立つ時も僕がファンやテレビの方に近づくんじゃなく、僕に向かう視線を受け取ることに目的が変わりました。

―ステージでもそんな姿が見られますね。以前はまっすぐに視線を向けるから目を引いたんだとすれば、今は少し違う方向を見て注目させるようにしてますね。

T.O.P:そういうことは無意識的な行動だけれど、考えが180度変わってそんな差が生まれたんだと思います。大事だと思うのは、僕自身が常に新しくなるべきだという点です。いつも同じようにカメラに向かって目を凝らしたりするのではなく、違う姿を研究し続けなければなりません。ただ、まったく違う方向に行かないために、基本的な枠と伝統を考えたりはします。

「心理的にアンバランスな状態になってしまったが、それを受け入れる年月も経た」

―常に新しい状況を迎えることができるという点から、演技に対して愛着を持つしかないと思います。演技を通じて見せたい新しい姿がありますか?

T.O.P:特に演じてみたい役はないです。いい作品をやることだけが重要だと思います。

―いい作品の基準というものは人によって違うと思いますが。

T.O.P:僕の場合は、自分の時間とエネルギーを注ぎ込んでもいい程の価値がある作品を意味します。もし自分が俳優だとすれば、たくさん見てたくさん演じたらその分自分にプラスになります。しかし、僕の本当の職業は俳優ではないため多くを演じることはできないし、俳優よりは観客の立場から作品を見る目を持っていると思います。そのため、自分より演技力が優れている俳優が演じればいいと思える作品より、自分が演じて似合うと思う作品を選ぼうとします。そんな中でも幼いファンたちがいるという位置も考えなければならないから、芸術映画に出演していきなり服を脱いだりすることは避けるべきだし(笑)

―ステージも演技も、選択から細かい部分までかなりのエネルギーを消費しながら仕事をしていますが、もう大人になったという証拠ではないでしょうか。

T.O.P:精神年齢は12歳の時と同じなのに、仕事に対する精神年齢だけ高くなっているみたいです。逆に映画の場合は、昔は白黒映画をたくさん見ましたが、最近は気軽に楽しめる映画を見ます。心理的にアンバランスな状態になったけれど、それを受け入れる年月を経たと思います。

―本質は変わらず内面では成長したと言えますが、デビューの頃を振り返ってみたらどれほど変わったと思いますか?

T.O.P:考えることは今と同じですが、その時はより多くのことを隠そうとしたと思います。今は自分でも分からない自分自身を10個の中でふたつくらいは見せた感じがします。10年ほど過ぎたら、その中からまたいくつか外に出すんじゃないでしょうか。

―これからステージを通じてさらに様々な面を見せていくと思いますが。

T.O.P:実を言うと、僕は、みんながこれ以上BIGBANGを望まなくなったら活動を中止するんじゃないかと思っています。そんな時が来たら、ステージに立たなくても構わないです。色々大変だけど、やりたい音楽をやりながら幸せな時間を過ごしています。だけど、今のこの美しい青春が色褪せるのは見たくありません。BIGBANGとしての気持ちはいつも美しいもので残したいです。他の人の記憶の中でもそうであって欲しいですし。

―未来の心配なんか置いといて、今のBIGBANGを見たらどんなチームだと思いますか?

T.O.P:非常にたくさんの注目を集めていて、遠くからも注目されているチームというのは間違いありません。しかし、自分がいるチームだから錯覚したり自慢したりして言う話ではありません。確かに、以前よりたくさんの関心を集めていますが、それを十分楽しみながらも新しいものを見せることができるチームだと思います。

記者 : ユン・ヒソン、カン・ミョンソク、写真:チェ・ギウォン、編集:チャン・ギョンジン、翻訳:ナ・ウンジョン