【コラム】f(x)、少女の動きはどのように成長してきたのか? ― カン・ミョンソク
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セクシー、または清楚なイメージという言葉ではたやすく説明できないf(x)に、最も重要なのはステージが伝える感情だ。彼女らは、ステージを通じてどのカテゴリーにも属さないf(x)ならではのアイデンティティを堅実に作り上げている。特にストーリーを持たない歌詞、そして曲のリズムと流れをできるだけ生かしたり歌詞を形状化した振り付けは、f(x)のキャラクターとイメージを作っている。デビュー曲「LA chA TA」から、最近リリースした「初めての親知らず(Rum Pum Pum Pum)」まで、彼女らの歌と振り付けを分析した。これまでf(x)が成長してきた方式と進むべき方向に対する、小さなヒントになりますように。
LA chA TA:アジアポップダンスグループのパフォーマンス
f(x)のデビュー曲「LA chA TA」は、聞いた瞬間頭の中にクラブやショーがちょうど始まった劇場の風景を思い浮かばせる。発音しやすい音節だけを選んで作った感嘆詞「LA chA TA」のように、曲の雰囲気も終始軽快で、「よし、いいよ、そう、私に従って、もう一度行こう」と話し聞き手を盛り上げる。特に「LA LA このように、chA~ chA chAでAH~」というフレーズでは、脚で軽くステップを踏み、片手を左右にスライドさせながら腰を振る簡単なダンスで「明るく人生を楽しもう」という歌のテーマを鮮明に表現した。一方、“アジアポップダンスグループ”を標榜しデビューしただけに、f(x)は「LA chA TA」で強烈なパフォーマンスを強調したりもした。デビュー前に公開された予告映像でビクトリアは2連続タンブリングを、「LA chA TA」の導入部でメンバー全員が片足を高く上げる高難度の動作を披露したのだ。まさに、それまでになかったユニークなガールズグループの誕生だった。
Chu~♡:ガールズグループが開いた異世界
セクシーさや清らかさを売り物にしているチームでないことは、最初から分かっていた。しかし“得体の知れない少女”というf(x)のキャラクターが具体的に形をなし始めたのは、「Chu~♡」で活動した時だった。少女は知りたいものも多すぎるし、子供の頃読んだ童話のように一度の口づけで全く違う世界が切り開かれるかも知れないと思っている。「Do it do it Chu~♡ (It's) true true true true it's You~」と繰り返される歌詞は、曲に一定のリズム感を与えていると同時に、好奇心でドキドキする女の子の心を表現している。ここでf(x)は、手のひらを大きく広げ両端に開いて1本の指で前を指す仕草をリズミカルに繰り返した。歌詞の内容を直接的に表現した振り付けではないが、リズムの駆け引きで軽快な雰囲気を倍増させたのだ。そしてビクトリアは、ステージで毎度変わらず驚くべきタンブリングの実力を見せつけた。
NU ABO:f(x)の最初のピーク
NU ABOはf(x)のユニークなアイデンティティがピークに達した曲と言える。単純に10代の少女たちという曖昧なカテゴリーではなく、自分だけの愛し方と世界を持っており、何にも定義しがたい新しい世代を、“新しい血液型”に例えたのだ。「私 どうしよう お姉さん↗」「独創的なあだ名付け 例えばクンディスンディ」「Mysteric mysteric」など見慣れない歌詞が多く登場した理由も、そこにある。そしてf(x)は「ナナナナ ナナナ ナナナナ」が繰り返されるフレーズで、拍子一つ一つに合わせて鏡を見ながら化粧を凝らすような、いわば“チークダンス”を披露した。その一方でビクトリアは足開きのダンスをまた一人で披露し、メンバー全員がトップスを少しめくってお腹を見せたりもした。結局f(x)は、「NU ABO」で彼女たちだけができることとは何かをもう一度明確に見せてくれたのだ。
ピノキオ(Danger):お医者さんの登場
前の3曲が、まだ大人になっておらずある面では愛らしい少女を描いていたならば、「ピノキオ」は愛についてよく知らず、自己中心的になるしかない少女を描いている。少女にとって好きな相手とは、一緒に感情を分かち合い疎通する相手ではなく、「頭から爪先までスキャン」し「刃より冷たくその皮を剥き」「気に入るように君を組み立て直したい」ものなのだ。f(x)と言えば思い浮かぶ“お医者さん”が初めて登場したのもこの時だ。加えて「ピノキオ」は、組み立て、皮、刃、ジンジンウォンウォンなどの単語に、ペストリー、マカロン、はちみつなどの単語を一緒に使い、冷たく機械的な感じと甘い感じを対比させた。振り付けもこのようなイメージの対比をそのまま反映し、「組み立てる」のような単語では文字一つ一つに合わせて顔の近くで手を握っては開く可愛いダンスを、「切れ切れ タッタタ 砕いてみて タッタタ」では1本の指を立てて何かを指すようなダンスを、節制された仕草で披露した。
Hot Summer:暑すぎたら黒い長袖を着る夏
「Hot Summer」は、それまでf(x)が歌ってきたテーマからはみ出した、“サマースペシャルエディション”のような曲だった。もちろん、簡単に理解できないf(x)ならではの歌詞は変わらなかった。「教室で オフィスの机で 掃除していない部屋で 早く出て来て早く」と聞き手の行為を促し、「汗を流している外国人には道を教えよう」「暑すぎたら黒い長袖を着よう」など、多少ユニークな夏の注意事項を想起させたのだ。しかし、歌詞を直感的に伝える振り付けだけは、曲から伝わる清涼感をそのまま生かしている。繰り返されるフレーズの「Hot Summer Ah Hot Hot Summer Hot Summer Ah Hot Hot 暑すぎる」で、片手では扇子を仰ぐような仕草をし、片足は床にポンポンはねさせるこのダンスは、“暑すぎダンス”“私の靴どう?ダンス”“手扇子ダンス”などど様々な愛称で呼ばれ、愛された。
Electric Shock:気を失いそうに、ハラハラピリピリ
f(x)にとって常に重要なのは、ストーリーではなく瞬間の感情だった。そして「Electric Shock」はそこからさらに進み、感情を一種の感覚に置き換えた曲だ。恋に落ちた感情は「電流が体の中を流れている 気を失いそうに、ハラハラピリピリ」したり、または「息が苦しく熱が上が」り、「何も言えず耳元はディンドンディンドン 目は眩しい 頭の中はくるくる」するイメージで説明されている。この曲で“お医者さん”がもう一度登場する理由は、このように恋による症状を歌っているからだったわけだ。振り付けの方も、感電したようなイメージを表現するために「ナナナナナナナ」というフレーズに合わせて骨盤を振りながら起き上がる動作をポイントとしている。また、SHINeeの「Sherlock」のように、隊列の多彩な変化によりステージに立体感を与えるダンスが際立った。
初めての親知らず(Rum Pum Pum Pum):愛に目覚めた少女たち
「初めての親知らず」もまた、「Electric Shock」と同じく愛の症状についての歌だ。遅ればせながら本当の愛を経験する気持ちを、初めての親知らずが生える時の「頭が割れそうに痛くなってくる」痛みに例えているのだ。「Rum Pum Pum Pum」というフック(同じフレーズを繰り返すこと)と、太鼓を叩く少年のように両手を上下に振るダンスは、このような痛みの感覚を聴覚的に、そして視覚的に伝えるための工夫だ。反面、愛の秘密に気づいてしまった少女の成長は、手首と骨盤を利用した細かいダンスで表現される。手で蝶の形を作ったり、リズムに合わせて骨盤を揺らす動きは、誰かの視線を意識しているからではなく、恋によりもう少し成熟した自分を表現するためのものだ。このようにしてf(x)は、自分たちならではのカラーを保ちつつも、少しずつ、しかし確実に育っている。
文:カン・ミョンソク(ウェブマガジン「ize」編集長)
「NAVERコラム - カン・ミョンソク編 -」では、今話題の人物にクローズアップし、コラムニストのカン・ミョンソク氏が執筆。韓国で注目が集まっている人物や出来事についてお届けします。記者 : ファン・ヒョジン、企画 : カン・ミョンソク