Vol.2 ― 「アラン使道伝」ヨン・ウジン“僕の愛はいつも切実だった”

MYDAILY |

「久しぶりのインタビューですね」

緊張した声でヨン・ウジンが最初に話した言葉であった。辛い時間を経て、久しぶりの整った髪形ときれいな服装にまだ慣れていない様子だった。前に置いてあるコップの水を一口飲んでから、話を始めた。

ヨン・ウジンが初めて演技というものを楽しむことができたのはドラマ「烏鵲橋(オジャッキョ)の兄弟たち」の出演からである。たくさんの人々と共に呼吸し、楽しく仕事ができる方法を学んだ。

「『烏鵲橋の兄弟たち』は僕にとって特別な作品です。初めて演技を楽しんでいると感じた作品ですから。『僕は本当に演技というものをやっているんだ』ということを思いながら、その当時は本当に幸せでした。親にできなかった孝行をしているんだという気がするぐらいです。それから、演技に関する主観というものもできて、作品に入る前にどんな心構えで挑むべきか勉強になりました」

ヨン・ウジン。彼の名前を知らせたのはドラマ「烏鵲橋の兄弟たち」であるが、彼の真の姿を知らしめた作品は全4話のスペシャルドラマ「普通の恋愛」である。真面目で考え深いヨン・ウジンと、彼が演じたハン・ジェグァンはよく似ていた。

「一枚のシンプルな水彩画のような感じでした。あらすじを読んだ時から良かったんです。運命を感じました。何より、性格的な面で、僕と似ているところが多かったです。それで、気楽に力を抜いて演じましたが、反応がよかったので驚きました。初めての現場で監督とたくさん会話をして、悩みながら挑んだ作品でしたし、いつも一人で悩みながらキャラクターについて研究してきましたから」

ヨン・ウジンは少しずつ演技の幅を広げた。「烏鵲橋の兄弟たち」の浮気をするファン・テピルから、「普通の恋愛」の真面目で冷静なハン・ジェグァンまで。似ている性格のキャラクターもいなかった。いつも新しいものを欲しがっていたヨン・ウジンは、ファンタジードラマ「アラン使道伝」を選んだ。

「最初は非現実的な内容だったので、理解ができませんでした。それでも、そういうところはドラマでは必要なところなのだから、俳優として理解すべきだと思っていました。ドラマが進むにつれ、ジュワル役に関する欲が出て、それがうまく表現できていなかったところについてはものすごく物足りないと思っています。それ以外はすべてが気に入りました。僕にとっては忘れられない作品として残りそうです」

ドラマ「アラン使道伝」で、ヨン・ウジンはいつも切実な目つきを持っていた。アランを見ているヨン・ウジンは、切実さという言葉を連想させた。ジュワルの愛が切実だったといえば、ヨン・ウジンの愛はどうなのだろう。

「ジュワルのように僕の愛もいつも切実でした。恋愛の後はいつも辛い別れがあったので、いつも切実な愛を求めていました。今はジュワルのように、周りにあるものを諦めても、愛している人を逃さない、そういう恋愛をしてみたいです。恋愛をしていない期間が長かったので、もしかしたらそういう感情が鈍っているのではないかと心配です」

ヨン・ウジンの話を聞いていると、ふと彼の学生時代が気になってきた。「学生時代のヨン・ウジンもこの様に真面目だったのか」と聞くと、彼は少し考えてから、微笑んだ。

「そうですね。実は中学、高校時代の僕は、人生の低迷期でした。小学生の時は活発でしたね。スピーチで弁論大会に出るぐらい、主体的で楽しく生きていたと思います。中学生になってからは勉強にだけ集中しました。高校時代は、映画感想部に入って、好きな映画だけを見て、何もかもやりたくなかったです。周りに迷惑はかけていませんでしたが、ただの受動的な人間でした」

しかし、彼はあまり(学生時代のことを)後悔はしてはいないそうだった。淡々と自分の面白くない過去の話をしていたが、皮肉なことに彼は幸せそうだった。

「実際、後悔はしていません。むしろ今の演技のために必要な時期だったのではないかと思います。その時、そうやって戸惑っていてから第2の思春期を経て軍隊に入りました。そこでたくさん悩みながら、僕が主体的にできることは演技だということが分かりました。僕はやりたいことを探すことができて嬉しいし、この仕事を楽しむことができて幸せです。最近になって、この仕事について少しずつ責任感も感じています」

俳優のヨン・ウジンは常に挑戦することに対して夢を抱く。人が想像もしていない非現実的なキャラクターからアクション演技まで、演技に関する欲望には終わりがない。

「僕の持っている感情を引き出す役が好きです。普通ではない演技、非現実的な演技、実は工業大学出身なので、やはり頭の中で計算して考えてしまうところがあります。映画『ソーシャル・ネットワーク』の天才工大生のようなイメージも似合うのではないでしょうか?」

インタビューの最後に、ヨン・ウジンは自分の人生を“やっているような、やっていないような”という言葉で表現した。前日の夜まで試験の勉強をやっておいて、試験当日になると「やっていないよ」と話す学年トップのようなキャラクターである。

「そうです、そういうキャラクターだと思います。運動もがんばってやっているのに、誰かに聞かれると『やっていません』と答える。“やっているような、やっていないような”やり方で生きています」

憎らしいという思いよりも先に笑いがこみ上げてきた。ヨン・ウジンも笑っていた。「軍隊で結構嫌なことをされたのでは」と聞くと「たくさんの愛をもらいました」と答えた。話をすればするほど魅力を感じるこの男、次の作品ではどんな姿を見せてくれるのか。

記者 : イ・ジヨン