Vol.1 ― 「アラン使道伝」ヨン・ウジン“僕が見たイ・ジュンギ兄さんは…”

MYDAILY |

MBCドラマ「アラン使道伝」のヨン・ウジンが演じたチェ・ジュワルを見ていると胸が痛む。チェ・ジュワルの瞳の中には切実さが漂っているからだ。

ドラマが最終回を迎えてから10日目に会ったヨン・ウジンには、チェ・ジュワルの面影は残っていなかった。先月6日に父親が亡くなった後のインタビューであったため、切実さよりは悲しみを感じたからかもしれない。

「プライベートなことで忙しかったため、作品について余韻に浸ったり、役の感情に酔っている時間がありませんでした。正直に言うと『アラン使道伝』が終わったことにも、まだ実感が湧いていません。受験を終えたばかりの受験生のような気持ちです。不安なところも、寂しいところもありますね」

彼にとっては初めての時代劇だった。イ・ジュンギ、シン・ミナ主演の「アラン使道伝」であったが、ドラマが終わった時には、ヨン・ウジンの名前も並んでいた。

「あらすじを最初に読んだ時、題材やジャンルの斬新さがとても印象的でした。そして何よりも、チェ・ジュワルの特別な魅力と独創性に心を奪われました。昔から僕の持っていない感情や考えを持っている人を演じてみたいと思っていたからです」

ヨン・ウジンが演じたチェ・ジュワルは、決して演じやすいキャラクターではない。ドラマの登場人物の中で、誰もチェ・ジュワルに愛情を注いでいなかった。父親であるチェデガム(大監:朝鮮時代の正二位品以上の官員の尊称、キム・ヨンゴン)は、彼を敵視し、母親と呼んでいる妖怪ホンリョン(カン・ムンヨン)は、チェ・ジュワルを自分に必要な道具のようにしか思っていなかった。

「実は、チェ・ジュワルを演じながら不安な部分がたくさんありました。時代劇というジャンルの特性上、“静的”ですよね。特に、チェ・ジュワルは話し方や表情、抑揚を目つきのみで表現しなければなりませんでした。そうなると悩みも増え、振り返ると少し物足りないと感じるところも多いです。心理的な部分と共に、“動的”な表現方法もあったのではないかと反省しています。もう少し撮影に入る前に気を遣うべきでした」

ヨン・ウジンの演じるチェ・ジュワルは、世の中に対して多くのことを望まない男だった。幼い頃に飢えや寒さといった苦痛を経験したチェ・ジュワルは、その苦痛から逃れ、人間らしい生活を送りたかった。ただ、それだけを望んでいただけだったが、アラン(シン・ミナ)の登場によって彼の人生はすっかり変わってしまった。

「チェ・ジュワルは生まれて初めてアランを通じて愛という人間の感情を学びます。“人生には愛が必要”ということを学び、その時初めてそういう感情を持って生きたいという欲を持ち始めます。事実、それまではチェ・ジュワルに欲というものはありませんでした。お金や名誉よりも、ただ今の生活に満足していました。それ以上を欲しがっていたのはチェデガムです」

チェ・ジュワルは、アランの死の原因が自分にあることを知り、大きなショックを受ける。誠意を込めてアランに謝罪するが、結局彼はそのショックに耐え切れず自殺を選ぶ。

「自殺を選んだのはチェ・ジュワルの選択です。チェ・ジュワルは記憶が戻ってからずっとつらい思いをしていましたから。これまで犯した罪への反省としての罰であり、チェ・ジュワルが受けるべき痛みだと思いました」

だが、誰よりもチェ・ジュワルに同情した人もヨン・ウジンであった。3ヶ月という長い時間、誰よりも辛かった彼は、チェ・ジュワルを「今まで演じたキャラクターの中でもっとも辛い思いをしながらも、同情したキャラクター」と説明した。

「一歩下がった距離でチェ・ジュワルを見ていると、心が痛みました。チェ・ジュワルの逃れられない運命を考えると同情しますね。チェ・ジュワルを演じている間はずっと悲しかったです。チェ・ジュワルの運命を思いながら、真心を込めようとかんばりました」

ヨン・ウジンはインタビュー中、“静的な演技”という言葉を繰り返した。チェ・ジュワルのキャラクターが、目つきと表情でしか表現できないという制限があったからだろうか。彼に“動的な演技”とは何かと聞くと「『アラン使道伝』のイ・ジュンギ兄さんの演技が動的ではないでしょうか」と答えた。

「僕が見たイ・ジュンギ兄さんはエネルギーに溢れた方です。イ・ジュンギ兄さんと話しているとそれに惹かれて、ドラマが終わる頃にはファンになりました。特に、イ・ジュンギ兄さんには作品を引っ張っていく力があると思います。僕の持っていない部分なので『僕にもあんなふうにできるのかな』という疑問もありますが、イ・ジュンギ兄さんのそういうところを学びたいです」

記者 : イ・ジヨン