「蜜の味」カンヌ受賞が期待される4つの理由

OSEN |

映画「蜜の味 テイスト オブ マネー」(以下「蜜の味 テイスト オブ マネー」)が、第65回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に進出し、カンヌでの受賞に期待が寄せられている。

「蜜の味 テイスト オブ マネー」は、お金に毒された韓国最上流階級の隠された一面を取り上げた作品。16日から開かれたカンヌ国際映画祭に出品した「蜜の味 テイスト オブ マネー」が、様々な兆候を見せ受賞の可能性を高めており、注目を集めている。

◆1.イム・サンス監督、前作「ハウスメイド」に続く2年連続のカンヌ進出

2005年は映画「ユゴ 大統領有故」で第58回カンヌ国際映画祭の監督週間へ招待され、2010年には映画「ハウスメイド」で第63回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に公式招待されたイム・サンス監督が「蜜の味 テイスト オブ マネー」でコンペティション部門に2年連続招待され、世界の映画界の注目を浴びている。

カンヌ映画祭コンペティション部門は、パルム・ドール(カンヌ国際映画祭最高賞の名称)、審査員特別グランプリ、監督賞、男優賞、女優賞、脚本賞など重要部門にノミネートされる。2年連続コンペティション部門に進出したことは、イム・サンス監督に対するカンヌの愛情と関心を端的に示す根拠となっており「蜜の味 テイスト オブ マネー」の受賞の可能性を高めている。

◆2.カンヌ国際映画祭の芸術監督「蜜の味 テイスト オブ マネー」を絶賛

カンヌ国際映画祭の芸術監督を務めるティエリー・フレモー氏は、第65回カンヌ国際映画祭コンペティション部門の進出作品発表で、イム・サンス監督と「蜜の味 テイスト オブ マネー」に対する賞賛を惜しまなかった。

彼はコンペティション部門招待作品をマスコミに発表する場で「クラシカルなステージ装置で、疑いの余地なく今年のカンヌ映画祭公式選定映画のうちもっとも優れたステージ装置だと確信している。イム・サンス監督のカメラワークは、伝統的な技法にこだわっており、これこそが大変素晴らしいと評価できる」と述べている。

◆3.カンヌ国際映画祭閉幕前日、公式プレミア上映

「蜜の味 テイスト オブ マネー」が特別世間の関心の的となっているのは、公式上映日程が、これまで招待された韓国映画とは違うためとの慎重な見方も出ている。

コンペティション部門に招待された作品のうち、映画祭進出に意義を持つ作品の上映は、映画祭の開幕とともに逐次的に行われる。しかし、今回の「蜜の味 テイスト オブ マネー」の場合は、閉幕式前日の、カンヌ現地時刻で26日夜10時に予定されている。これについて、受賞の可能性を念頭に置いた、非ヨーロッパ圏招待作品に対するカンヌ国際映画祭関係者の配慮ではないかとの予測が出ており「蜜の味 テイスト オブ マネー」の受賞可能性を高めている。

◆4.第65回カンヌ国際映画祭の審査員長とイム・サンス監督は似ている?

第65回カンヌ映画祭審査員長を務めるナンニ・モレッティ監督と、イム・サンス監督の共通点が話題を集めている。ナンニ・モレッティ氏は、脚本家、監督、俳優など多方面で優れた才能を持つ、イタリア出身の監督。イタリア映画界でネオリアリズムの先駆者と呼ばれる彼は、権力を乱用するイタリア官僚たちに反旗を翻し、不正腐敗が横行する政府に反して政治的な活動を旺盛に行う人物としても有名だ。

彼のこのような社会変革への強烈な熱望は、イム・サンス監督が自分の映画で表現しているところと酷似している。韓国映画界でもっともセンセーショナルな監督と呼ばれるイム・サンス監督は、作品ごとにお金とセックス、権力と社会の不条理な面について、加減なく彼の考え方を盛り込んでいる。

そのような面で、イム・サンス監督の第7作でありカンヌ映画祭への3番目の進出作「蜜の味 テイスト オブ マネー」がナンニ・モレッティ審査員長に評価されるということは、非常に意味深長なことだと言える。両監督はともに、社会への痛烈な批判と、強い自我意識の投影という時代と国境を超える共通要素を持っており、これにより映画「蜜の味 テイスト オブ マネー」は、ナンニ・モレッティ審査員長に、東洋から渡ってきた極めて興味深い作品として映る可能性が高いためだ。

記者 : キム・ギョンジュ