映画「パイロット」チョ・ジョンソク“女装することにプレッシャーや抵抗感は全くなかった”
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写真=JAMエンターテインメント
俳優チョ・ジョンソクが、映画「パイロット」について語った。最近、ソウル三清洞(サムチョンドン)のあるカフェで、映画「パイロット」に出演したチョ・ジョンソクのインタビューが行われた。
映画「パイロット」は、スターパイロットから一夜にして失職者になったハン・ジョンウ(チョ・ジョンソク)が、大胆なイメージチェンジをした後、再就職に成功して繰り広げられる物語を描いたコメディだ。
この日、チョ・ジョンソクは映画が公開された感想について「マスコミ試写会の前日は、眠れないほどドキドキしていました。何も心配がなければよく眠れるのですが、『どのように思ってくださるんだろう』と考えて、すごく緊張していました。(好評を見て)すごく嬉しかったです。試写会が終わって、懇談会も終わって、すべて終わった後に一般の試写会がありました。僕は観れなかったのですが、制作陣から反応がとても良かったと聞きました。それを聞いて、家ですごく嬉しくなりました」と伝えた。
彼は同作に対する個人的な感想として、「まず、自分が映画を面白いと思わなければならないと思います。その面白さというのは、コメディでなくても、スリラー、アクションでもいいと思います。面白さは個人的な好みの領域ですから。その好みがたくさん集まれば、ジャンルを超えて本当に面白い映画になると思います。今作が面白いとたくさん言われた時、『自分が感じた面白さが正しいんだな、共感できるんだ』と思えました。ジャンルに関係なく、『あり得る』と共感できるのが、僕はすごく大事だと思います。(『パイロット』は)そのような部分で、よく理解して共感してもらえたんじゃないかと思います。僕にとって面白さは、共感できる話です」と、自身の考えを明かした。
チョ・ジョンソクは、誰もが羨むスターパイロットから、突如として解雇の通告を受け、失業者になったハン・ジョンウが、ハン・ジョンミに変身する。映画を選択した理由を尋ねると、「実はミュージカル『ヘドウィグ』をやったので、女装に対する心配や、変身に対するプレッシャーや抵抗感が全くなかったんです。何度もやっていますから」と笑いながら、「それがすごく役立ちました。シナリオを最初に読んだ時、すごく面白くてキャラクターが新鮮だと思う時は、その役に自分を入れ込むことができた時です。この作品がまさにそのような作品で、自分をキャラクターに入れ込み、楽しく読みました。頭の中でシーンをイメージすることもできました。ジョンウというキャラクターに自分を置き換えて楽しく読みました。僕は、チョ・ジョンソクという役者なので、僕の体を借りてこのキャラクターを表現するわけなんです。実は自分でもまだ自分のことはよく分かりませんが、それでもジョンウは僕と合いそうだという印象を受けました」と語った。
また、「自分はシナリオを読んで面白いと感じるのに、他の人はそのようには思わないこともあります。僕が面白いと感じるのは、その物語に入り込んで、役者としてその役に没入して、ストーリーがスムーズに進んでいく感じがした時に面白いと思います。偏狭な視点のテーマだとも言われますが、僕には全然そのようには思えません。途中でジョンウがジョンミに変身して、少しずつ出てくる本来の姿や戸惑う周囲の反応など、コメディが楽しかったですし、ジョンウとしてもジョンミとしても本当に一生懸命に頑張っているという、そのような感じがとても楽しかったです」と語り、「僕はただただ面白いから出演を決めました。チョ・ジョンソクという人間がそこに入った時、とても面白かったです。もちろん、他の俳優さんがやっても面白かったと思ますが」と笑顔で答えた。
女装での演技に関するビハインドも聞くことができた。彼は自分の女装姿について「最初に登場するジョンミの姿が、すごくいいと思いました。それから入社して、髪を束ねて元気よく歩くシーンもすごくいいと思いました」と振り返った。そして「衣装については、不便だったり大変だとは感じませんでした。ただ、インナーウェアなどの場合、女性の方は(体型が)違うじゃないですか。そのようなものを着用して長時間撮影していると、時間に比例する不快感はありました。ヒールを履いて走るのは、本当に大変でした。ハムストリングスが張って大変だったんです。その靴は僕の足のサイズの27cmに合わせて作られたヒールです。また、衣装よりもかつらが大変だったんです。長くかぶっていると、汗がたまります。撮影が夏に始まって冬に終わったのですが、夏は汗がたまってすごく息苦しかったです」と打ち明けた。
女装をして演技するための努力として7kg減量したという彼は、「ケトン食でダイエットをしました。リンパ腺マッサージをしたと以前のインタビューで冗談で話しましたが、本当にやりました。主に努力したのは食事と運動です」と伝えた。特に、映画のために100着の服を試着したという。チョ・ジョンソクは「試着を100回ほどしましたが、かつらも本当にたくさん試着しました。ロングヘアもショートヘアも、パーマスタイルもかぶってみました。衣装も自分に一番似合うものは何だろうと考えました。衣装のテストは、2~3日くらいやったと思います。かなりたくさん試着しました。1日に5~6時間を投資しました」とし、「最初のテストをする時は、2時間以上かかりました。その後にある程度慣れてきて、僕にクールなトーンがよく似合うと会議を経て決定した後は、できるだけ時間を短縮して、撮影前の準備時間が1時間ほどになりました」と話した。
映画「ただ悪より救いたまえ」でトランスジェンダー役を演じた俳優パク・ジョンミンと一緒に言及されることもあった。これに対してチョ・ジョンソクは、「『ただ悪より救いたまえ』でのパク・ジョンミンさんの演技は本当に最高だったと思います」とし、「僕もジョンミンさんも型破りな変身ですが、僕が演じたハン・ジョンミは、別の人に見間違えられる変身、確実な変身なので、そこが違ったのではないかと思います」と話した。続けて「僕が『ヘドウィグ』をやったので、『パイロット』と比べてよく質問されるのですが、『ヘドウィグ』はドラァグクイーンなので、僕の本来の声を入れた時にもっと合う感じがしたんです。しかし、ハン・ジョンミは全く異なる観点でアプローチしました。僕の一番高いトーンを出そうとしました。だからといって、わざとらしい声を出したくなかったし、自分の中の高いトーンを使うために努力しました」と説明した。
“現実の兄妹のようなケミストリー(相手との相性)”を見せた元Secretのソナとの共演についても語った。チョ・ジョンソクは「現場ですごくゾクゾクしました。もっと早く会いたかったと思うほどでした。『酒飲みな都会の女たち』のソナさんの演技を見て、とても驚きました。あの時の演技もとても良かったですし、実際に共演してみたら、すごくセンスが良くて瞬発力もあって、息も合いました。もっと早く会えばよかったと思うほど、すごく良かったです。撮影している間、すごく頼りになりました。あくまでジャンルで言えばコメディであり、僕たちの状況が重要な指針になりますが、本当に力になってくれました」と語った。ただ、実際に兄がいるチョ・ジョンソクは「現実と映画はすごく違うと申し上げたいです」と冗談を言った。「バラエティ番組に出演して、兄が怖いと話したことがありますが、仲は悪くはないんです。年齢差があるので、お小遣いももらいましたし」と笑いながら、「僕には妹がいないので、そういった部分で役立ったのは、姪っ子たちでした。僕が兄は年齢差があるので、姪っ子が多いですし、いとこもいます。そこからイメージしてみました」と振り返った。
映画の以外のチョ・ジョンソクの話も聞くことができた。“コメディ職人”という異名を持つチョ・ジョンソクは、「僕が考えるコメディは、状況が面白くなければならないということです。状況的なコメディが一番面白いです。ダジャレとか言葉による面白さもあると思いますが、僕はそういったものにあまり面白さを感じないんですよね。シチュエーションの中で起こる自然なコメディが一番面白いと思うんです。そのためには僕一人ではなく、誰かがいないといけないと思うんです。そのようなことが積み重なって、長いやりとりの中でキャラクターが完成し、最大化されると思います。例えば『建築学概論』のナプトゥクの時も、僕がいくら一生懸命にコメディをやっても、イ・ジェフンさんのリアクションがなかったら完成しなかったと思います。結論としては、アンサンブルだと思います」と感想を語った。
映画の中のアドリブについては「すべて計算して、撮影前にスタッフと相談して、リハーサルをしてやりました。アドリブだったのは、『足の幅が広いんです』というシーンです。アイデアがたくさん思い浮かぶというのは、僕にとってはとても良いことです。そのため撮影が終わって家に帰った時に『こういうふうに言えばよかった』と思う前に、撮影する時に吐き出してしまいます。そして家に帰ったら、何も考えず、頭を空っぽにします。寝る前に考え事をしたら断ち切れなくなるので、家では何も考えないようにしています。家を出て、マネージャーと車に乗った時からものすごく考えます」とアイデアの源を語った。
今年、デビュー20年になるチョ・ジョンソク。彼は「自分のフィルモグラフィーにすごく満足しています。公演のフィルモグラフィーについても満足しています。後悔なく一生懸命に頑張ったので、自分なりのプライドがあります。これからどのような作品に出て、どのようなキャラクターを務めて自分を見せればいいかについては考えるべきだと思いますが、年齢を重ねるにつれて、そのような考えが深くなったように思います。今回『パイロット』をやりながら、映画でたった一人の主人公としてプレッシャーがあったのではないかとよく聞かれますが、確かにあります。それを知らずに映画を選んだわけではありません。知っていながら選択したのです。でも仕方ないんです。だからといって『自分が主人公である作品は負担が大きすぎる、一生やらない』なんてことはできないと思います。これも一つの挑戦ですし、自分が背負っていかなければならない重みではないかと思います。それは自分が受け入れなければならないと思います」とつけ加えた。
記者 : ユ・スヨン