「砂の上にも花は咲く」チャン・ドンユン“俳優としての悩みを常に抱えている”

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写真=チャン・ドンユン(本人提供)
「速度よりは方向が重要だと思います。役者としても人間としても、より成長できる方向へ進みたいです。これまでその考えを疑ったことはありません。ゆっくりだけど、成長していると思います」

このように自身の思いを明かしたチャン・ドンユンは、最近ソウル中(チュン)区のあるカフェでマイデイリーに会い、ケーブルチャンネルENA水木ドラマ「砂の上にも花は咲く」(脚本:ウォン・ユジョン、演出:キム・ジヌ)に関するインタビューを行った。

同作は、20年間期待の星であるシルム(韓国の相撲)の神童キム・ベクトゥ(チャン・ドンユン)と、幼少期のガキ大将オ・ユギョン(イ・ジュミョン)が再会することから繰り広げられる若者たちの成長ラブコメディだ。「模範家族」「推理の女王」「SUITS/スーツ」「恋するアプリ Love Alarm2」などを手掛けたキム・ジヌ監督と、斬新な筆力を見せている脚本家のウォン・ユジョンがタッグを組んだ作品だ。

チャン・ドンユンは、キョサン郡庁シルムチーム所属の太白(テベク)級選手キム・ベクトゥ役を務めた。キム・ベクトゥは過去、神童と呼ばれていたが、現在はこれといったタイトル一つない、平凡な選手だ。そんな彼が20年ぶりに初恋相手と再会することで、シルム人生におけるターニングポイントを迎える。

写真=ENA
この日彼は「撮影が終わってから一ヶ月が過ぎて、もう二ヶ月近くになりました。出演者とは今も親しく過ごしていますが、放送を見ながら話をしたりもするので、まだ実感が湧きません。これまでベクトゥとして過ごした時間はとても楽しかったです」とし「特に実家と撮影現場がすごく近かったので、ヒーリングする感じで撮影しました。とても大切な作品を無事に終えることができて嬉しいです」と放送終了の感想を伝えた。

彼が同作を選択した理由は、普段から人間味溢れるストーリーを好んでいるからだ。台本が与える面白さはもちろん、はっきりとしたメッセージと方向性もあるヒーリングドラマ。もちろん、台本だけを見て選択したのではない。人が好きなチャン・ドンユンが人間味溢れるキャラクターを演じた時、その魅力を理解してくれる人々の反応も理由の一つだ。

写真=チャン・ドンユン(本人提供)
シルム選手を演じるため、彼はなんと体重を14㎏も増やした。しかし、彼が気を使った部分はビジュアルだけではない。キム・ベクトゥというキャラクターが、ややもすればホダン(しっかりしているように見えるが、どこか抜けている人)のように見えるのではないかと心配したという。監督もその部分を最も警戒した。チャン・ドンユンはキム・ベクトゥを、シルムが大好きで情熱はあるが、配慮をしすぎて純粋に見える人物と解釈した。

続いて彼は「それでもさらに分別のない人に見えるように、純粋に表現したい部分がありました。監督がそれをキャッチする役割を果たしてくださいました」とし「元々慶尚北道(キョンサンブクド)の方言を使う設定でしたが、慶尚南道(キョンサンナムド)のトーンになってしまいました。慶尚道内で北と南を区別するのはとても難しいんです。イ・ジュミョンさんに助けてもらって、自然に演技することを最優先に考えました」と告白した。

また「ベクトゥを演技する時、自分が持っている部分をたくさん活用しました。自分で考えてみても、僕にはちょっと田舎くさい面があります。慶尚道の情緒が好きですし慣れているので、それが演技にたくさん反映されました」とし「キム・ベクトゥとは似ている部分がすごく多いです。意図したとは思いませんが、設定された年齢も同じだったんです」と共通しているポイントを伝えた。

そして「その時期の悩みがあるじゃないですか。キム・ベクトゥはずっとシルムをやってきたけれど、これといった成果がなかった人物で、僕も自分なりに、役者として、人間として似たような悩みを持つ時期ですから。『僕の青春が終わって、僕もこうしてうやむやにして過ごしてしまい残念だ』というセリフがあります。僕の人生がそうだという意味ではないですが、悩む部分があってすごく共感できました」と振り返った。

彼は「ベクトゥはユギョンにはっきりと気持ちを伝えられませんし、シルムが好きで本当にやりたいと思っていることも認めません」とし「本音を隠しているのが少しもどかしかったです。それが魅力ですが、僕にはもどかしかったです」と、共感できない部分についても正直に伝えた。

また「ベクトゥには他人を過度に配慮する一面がありますが、実際の僕は自分を犠牲にしてまで他人に配慮はできません。自分がやりたいことをやらなければならない性格です。役者も仕事であり、現場は職場です。ベクトゥのそのような部分が、社会生活において学ぶ必要があるなと思いました」と語った。

共演したイ・ジュミョンについては「ケミ(ケミストリー、相手との相性)がとてもよかったと思います。慶尚道の方言に込められている特有の文化と情緒、そして単語のニュアンスについて正確に理解し、表現できる女優です」とし「ユギョンとしてソウルの言葉を使う時より、ドゥシクとして方言で演技する時がさらに面白かったです。お互いにたくさん笑いながら演技をしたので、ケミもよかったです」と満足感を示した。

共演俳優とのケミストリーを伝えていた彼は、話題を集めた制作発表会の衣装についても釈明した。当時、ブラックトーンの衣装だった他の俳優とは異なり、彼は一人だけベージュのスーツを着て、「グループチャットが別にあるのか」という話も出てきた。チャン・ドンユンは「本当にランダムだったんです。青春ドラマなので明るい色のスタイリングを予想したのですが、みんなブラックを選んでいました」と話して笑った。

彼は「おやじギャグが好きなんです。いつもくだらない話をして、自分の近況を投稿したりしています。食事の写真をアップしてメニューも共有して、『みんな何してる?』と書き込みます」とし「僕は共演者と親しくなって、『皆で頑張ろう!』という感じの雰囲気を作ることが重要だと思っています。リーダー役をするのには慣れています。これまでずっとそうでした」と述べた。

また「役者として活動してからも、僕がリードしてみんなと会食すれば、よそよそしい雰囲気で撮影するよりは確実に良い雰囲気になったと思います。自分から雰囲気を盛り上げようとします。最初はみんな負担を感じても、僕が静かにしていると心配するようになります。『どうして黙っているの』と。そしたら『いいえ、大丈夫ですよ』と答えます。ハハ」と笑った。

2016年のウェブドラマ「ゲーム会社の女子社員たち」でデビューし、「ソロモンの偽証」「ミスター・サンシャイン」「ビューティフルデイズ」「恋のステップ~キミと見つめた青い海~」「ノクドゥ伝」「オアシス」「今日もあなたに太陽を ~精神科ナースのダイアリー~」まで、数多くの作品に出演してきたチャン・ドンユン。彼にも挫折した瞬間はあったのだろうか。

これについて彼は「同僚俳優の中でも運よくデビューして、これまで継続して作品に出演できていることも運がよかったのだと思います」としながらも、「すごく楽天的に見えますが、僕にも悩みがたくさんあって、ストレスもたくさん受けるんです。仕事をすればするほど。デビュー初期は俳優として生きていく人生を信じることができなくて、『僕、今何してるんだろう』と考えたこともありました」と説明した。

続いて「今も仕事をしていて、これからもずっと活動するつもりですが、いつも悩んでいます。ここでは話せない苦痛もありますし。特定の人から無視されたり、侮辱されたり、仕事中に不当な扱いを受けたこともあります」とし「そのようなことを知らない方々は、僕のことを順調に活動していて、簡単に機会を得られていると思っていることがあります」と告白した。

そして「良い演技、良い俳優とは何なのか、悩みがますます深まっています」とし「圧倒的な演技を見せたい、という欲があります。どんな職業であれ、実力で負けたり、恥ずかしい思いをしたくはありません。俳優という道を歩くことになりましたが、今も一生懸命に頑張っています」とつけ加えた。

彼は自身の2023年と2022年を、“どこか渇きを感じて休まずに走った2年”と定義した。ワーカホリックである彼さえも、この2年のようには二度とできないという。そう話しながらも彼は、2024年も一生懸命に活動すると予告した。昨年や一昨年ほど衝撃的なものではないが、新しい挑戦ができるよう、次回作を考えているという。

最後にチャン・ドンユンは「自分の花? 僕はまだ咲いていないと思います。全盛期はなるべく遅くにやって来てほしいです。そう思うほどずっと成長していきたいです。成長が止まったら、全盛期が終わったということじゃないですか。常に成長、発展したいですし、『限界だと思ったのに、まだ成長しているんだ』と思われる俳優になりたいです。そのような意味で、まだ花は咲いていません。でもつぼみはあると思います」と語った。

記者 : カン・ダユン