「告白、あるいは完璧な弁護」ソ・ジソブ、悪役を演じる度に苦悩も“夢の中で人を殴っていた”

OSEN |

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”ソガンジ(ソ・ジソブのソ+かっこいいという意味のガンジ)”ことソ・ジソブが、デビュー28年にして初めてスリラー映画に出演した。初めてのジャンルの映画に挑戦したことはもちろん、ここ数年間、ソ・ジソブにはいくつかの変化があった。

最近、ソウル三清洞(サムチョンドン)のあるカフェで、映画「告白、あるいは完璧な弁護」の主演俳優であるソ・ジソブのインタビューが行われた。

「告白、あるいは完璧な弁護」は有望なIT企業の代表だが、一夜にして内縁の妻を殺害した密室殺人事件の唯一の容疑者として疑われるユ・ミンホと、彼の無罪を証明しようとする勝率100%の弁護士ヤン・シネが隠された事件のパズルを合わせていくストーリーを描く。2017年に公開されたスペインの犯罪映画「インビジブル・ゲスト 悪魔の証明」を、韓国の情緒に合わせて脚色し、リメイクした。同作は2020年に撮影を終えたが、新型コロナウイルスの感染拡大により2年以上公開できず、ついに今年10月に公開されることになった。

ソ・ジソブは劇中、切迫した状況で鋭い姿を見せる密室殺人事件の唯一の容疑者ユ・ミンホに扮し、熱演した。映画「いま、会いにゆきます」「宇宙+人」第1部、ドラマ「ごめん、愛してる」「主君の太陽」「ドクター弁護士」など、出演する作品でいずれも抜群のオーラを放ち、自身だけのキャラクターを完成させた彼は「告白、あるいは完璧な弁護」で初めてスリラージャンルにチャレンジした。

さらに、彼自身の人生にも重要な変化が生じた。生涯の伴侶に巡り合えたのだ。彼は2020年4月、17歳年下の元アナウンサーのチョ・ウンジョンと婚姻届を提出し、正式に夫婦になった。2人は2年の交際の末に夫婦の縁を結んだが、新型コロナウイルスの感染拡大により、結婚式は挙げなかった。現在、新婚3年目に突入した。

マスコミ向け試写会で彼は、完成した作品を見た感想として「僕の新しい姿が見えたようで、俳優として満足しています。久しぶりに違う姿を見たような気がしました」とし「スリラーに初めて出演した理由は、僕がこのジャンルを遅く選んだこともありますが、今まで僕にこのような台本をくださらなかったからです。これまでほとんどが良い人の役でした。ドラマも同じでした。ほとんどが、少し良い人の役をもらったと思います」と明らかにした。

「『告白、あるいは完璧な弁護』での演技がとても上手にできたので、これから悪役がたくさん入ってくると思います」とし、「感謝しています。それでも悪い役ばかりは続けたくありません。途中で良い人の役もしようと思います」と笑った。

悪役を選んだ理由については「これまでは(ずっと似たような)役が面白くありませんでした。『告白、あるいは完璧な弁護』を一番最初に選びましたし、『宇宙+人』に出演した理由も同じです」とし「『告白、あるいは完璧な弁護』『宇宙+人』は、いずれも最初のボタンを掛け違えて最後まで掛け違えてしまうような人物を描きます。悪役と言えば悪役と言える役です」と言った。

「告白、あるいは完璧な弁護」は特に制限された空間、限定された場所での撮影が多かったという。「そうすればするほど、しっかり読み合わせをして要らない台詞を全てなくしました。ユ・ミンホが最初は口数が多いキャラクターでした。キム・ユンジン先輩と会った時も、台本を整理し、何度もリハーサルをしました。その過程が撮影をする時に、とても役立ちました」と伝えた。

いわゆる「センケ(強いキャラクター)を演じたときは快感を感じていましたが、これによる悪夢も見ました」とし「その悪夢が僕をすごく苦しめました(笑)。実際に夢の中で誰かに追われたり、あるいは誰かを殴っていました。夢を見る度にそれが繰り返されたんです」と、悪役の演技による後遺症を吐露した。

「告白、あるいは完璧な弁護」で共演したキム・ユンジンとAFTERSCHOOLのナナについては「キム・ユンジン先輩は本当に熱心で、まだ台本を丸ごと覚えていることに衝撃を受けました。普通、その日撮る部分に集中したり、シーンに集中するけれど、最初から最後まで全部頭に入っていました。未だにそのように最善を尽くして頑張っている姿を見て、正直驚きましたし、良い刺激を受けました。『中途半端に準備したら完全に押されるだろう』と思いました(笑)。そしてナナは撮影中、皆が上手だったと感心していました。演技をしている時、僕もびっくりしました。眼差しがとても良くて、僕も見る度に一緒に入り込んでいしまいました。色々な状況が同じ空間で繰り広げられると、僕も混乱します。そんな状況でも、監督が『こうしてほしい』と言うと、(ナナは)慌てずに『はい、やってみます』と言っていました。本当に驚きました」と当時を振り返った。

「アイドル出身の女優に偏見はありませんでしたか?」という質問に、「僕は偶然アイドル出身の俳優さんたちと演技をすることが多かったんです」とし「僕も時々(音楽分野に)足を踏み入れたりするので、何も言えません。(ヒップホップやラップの分野に)行くと悪口をたくさん言われるので」と告白し、笑いを誘った。

彼は「個人的にある分野に対する偏見は全くありません」とし「そして僕がヒップホップやラップをするのは、人々に『聴いてください』と言いたいわけではありません。ただファンのために、ステージのためだけにするんです。ファンがいる席でなければ、絶対にやりません(笑)。ファンの皆様も一緒に聴きながら、たくさん楽しんでくださいます。1時間トークして、1時間公演をしますが、僕の歌だけで1時間の公演が十分にできます」と話した。

同日のインタビューで、妻のチョ・ウンジョンにも言及した。彼は「(結婚して)幸せです。(妻は)元気で、結婚に関する質問が負担になることはありません」とし「僕は知らなかったけれど、結婚して本当に日常が安定しています。不眠症もなくなって、心理的にもう少し成熟した気がします。僕は何があっても結婚をお勧めします」と笑顔を見せた。

ソ・ジソブは「『告白、あるいは完璧な弁護』を撮影する時、妻との熱愛が報道されて、その後結婚しました」とし「妻も『告白、あるいは完璧な弁護』の試写会に来るので、『面白かった』と言われたいです」とし「実は結婚して(心が楽になったので)序盤は太りました。でも、僕がダイエットすることになって妻まで一緒に食事できなくなったのですが、それが長引いてしまって申し訳ありませんでした。なので序盤は、一緒に食事をしながら僕の方が調整できなくなってしまいました」と、些細な日常のエピソードを明かした。

ソ・ジソブは俳優業と共に、韓国でなかなか上映されない自主映画に投資・輸入し、映画会社チャンランの投資者として活動している。「ぼくを探しに」「あなたを抱きしめる日まで」「ミッドサマー」などを含め、約30本以上の映画を韓国の観客に紹介し、エンドロールに名を連ねた。

彼は「この仕事をしているうちに責任感が生まれました。今も、僕がするというよりはパートナーの方が会社を主に運営して、僕はサポートしている感じです」とし「なので恥ずかしいです。個人的な事業ではなく、元々やっていた方に『僕もできるように助けてください』と言いました。なのでその方に申し訳ないです。『ありがとう』という言葉は、そのパートナーが聞くべきなのに、僕が聞いていて恥ずかしいです。なのでその言葉が恥ずかしいです」と謙遜した。

「軽い気持ちで好きだから始めたことなので、やめることもできますが、あまりにも大きくなってしまいました」という言葉には「当分はやめられないと思います(笑)。強制的にでも能力があれば続けたいです。俳優として生活している間はずっとやりたいです」とし、「正直に言って大変ではあります。損失がすごく大きいですし、マイナスが出てしまいます。僕もこんなに長くやるとは思いませんでした(笑)。お金を払って寄付もしますが、これまでもらったものを返すという気持ちもあります。これからも、損害が出てもやりたいと思っています」と伝えた。

最近、ソ・ジソブはInstagramを開設した。そのため、以前よりもはるかに親近感のある姿が印象的だ。IDは彼のニックネームである“ソガンジ”で、予想外の面白い写真をアップロードし、話題を集めている。これに対し、「SNSの開設が話題になるとは思いませんでした。これまで表現も下手で、作品にたくさん出演するわけでもありませんでした。なので、ファンに申し訳ない部分がありました」とし「単純にカッコいい写真を掲載するよりも、面白くしようとしています。IDはすでに似たようなソカンジを使う方がいたので、それを避けて作りました」と打ち明け、笑いを誘った。

ソ・ジソブは過去“ソガンジ”というニックネームがプレッシャーになって、広報チームにもアピールしないでほしいと頼んだが、今は考えが変わったと言った。「ドラマ『ごめん、愛してる』以後についたあだ名ですが、今は自分も気に入っているニックネームになりました」とし「この変化は、特別な理由があるからではなく、年を取ったからではないかと思います(笑)。SNSの写真は僕がアップしていますが、念のため事前に事務所が確認しています。問題になりそうな写真ではないか聞いています。もしアップしてから問題が生じてはいけないので」と人間的な姿も見せた。

「告白、あるいは完璧な弁護」は、韓国で10月26日に公開された。

記者 : ハ・スジョン