ラブコメとサスペンス、青春ドラマを巧みに融合!複合ジャンルで魅せる「君たちは包囲された!-アクシデント・ラブ-」 ― 鑑賞コラム Vol.2

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江南警察署の刑事課に配属された4人の新人刑事と、彼らを育てることになったカリスマ刑事の波瀾万丈な日々を描く「君たちは包囲された-アクシデント・ラブ-」。イ・スンギ、チャ・スンウォン、Araほか旬のスターが豪華競演した本作は、サスペンスやラブコメディ、青春やヒューマンといった幅広いジャンルを網羅するドラマとしても高い評価を受けた。

イ・スンギ扮するウン・デグは、中学生のときに母親を何者かに殺され、事件の真相解明のために警察官を目指した人物。当時の担当刑事だったソ・パンソク(チャ・スンウォン) に恨みを抱き、事件との関連を疑っている。パンソクを監視する目的で江南署勤務を希望したデグは、過去の自分を知る同郷のオ・スソン(Ara) と偶然再会。パートナーとして共に捜査に取り組む中で、スソンの明るさや思いやりに癒され、いつしか惹かれていく。

お茶目な好青年を演じることの多かったイ・スンギが怒りと悲しみを抱えたデグを熱演し、俳優としての新境地を開拓。男勝りだが心優しいスソンを演じたAraと絶妙なコンビネーションを披露した。毎回、意外なタイミングで訪れるキスシーンにもドキリとさせられる。

刑事課強行犯係のチーム長を務めるソ・パンソク(チャ・スンウォン) は、数々の凶悪事件を解決してきた敏腕刑事だが、別れた妻のサギョン(オ・ユナ) には頭が上がらない。部下たちに厳しい言葉をかけた直後、サギョンに思い切り頬をひっぱたかれてしまうというちょっぴり情けない姿も描かれ、“鬼上司”にもまた別の顔があることを感じさせてくれる。息子を失った哀しい過去を乗り越えて、サギョンとやり直したいと願うパンソクの復活愛のエピソードからも目が離せない。

さらに、「星から来たあなた」でチョン・ジヒョンの弟を演じてブレイクしたアン・ジェヒョンがクールなイケメン刑事テイルに扮し、二度目のドラマ出演作にして堂々たる存在感を発揮。テイルの過去のトラウマや家族との確執の克服、サギョンとの関係も気になるポイントだ。一方、ムードメーカーのグクを演じるのは、映画界で実力を認められた新人俳優パク・ジョンミン。もともとは交通課を希望していたグクだが、チームの仲間たちと支え合い、しだいに刑事らしく成長していく。個性的な登場人物たちの一人ひとりに焦点を当てる、アンサンブルドラマのような点も本作の魅力のひとつだ。

新人刑事が共同生活をする寮でのシーンも見逃せない。グクが自分のバナナ牛乳を勝手に飲んだと文句を言い、テイルが作ったオムレツからはニンジンをよけるデグ。気難しくてワガママなデグを受け入れ、あたたかく接するテイルとグク。長い時間を共に過ごし、少しずつ絆を深めていく仲間たちの様子にほのぼのさせられる。

脚本を手がけたのは「烏鵲橋(オジャッキョ)の兄弟たち」のイ・ジョンソン、演出は「お金の化身」「ジャイアント」のユ・インシクPD。ヒットメーカーの2人がそれぞれの強みを存分に発揮し、多彩なテーマをバランスよく盛り込んで、良質のドラマを完成させた。制作発表会の際、ユPDは「脚本家のイ・ジョンソンさんと一緒に、社会人になりたての人々が自分の価値や存在を見つける舞台を探した」と明かしている。最初から“刑事モノ”として企画されていたわけではなく、若者たちが成長していく舞台として警察署が選ばれたという過程も、従来のドラマの枠に縛られない新鮮な作品が誕生した秘密かもしれない。

一見、無関係に思える出来事の一つひとつが、やがて大きな謎の解明につながっていくサスペンスの展開も秀逸! 未解決事件の真相と、登場人物それぞれのエピソードの行方から最後まで目が離せない、極上のエンターテインメントに仕上がっている。

ライター:藤田麗子

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記者 : Kstyle編集部