「君たちは包囲された」イ・スンギ、リアリティあふれるキャラに挑戦!「冷徹なまでにクールなツンデレな男を表現してみました」

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「キング~Two Hearts」「九家の書~千年に一度の恋~」などのヒット作に出演し、韓国のみならず日本でも多くのファンの心を魅了し続けているイ・スンギ。これまでのドラマで多く演じてきた好青年役とは異なり、心に傷を抱えた刑事という新たなキャラクターに挑戦。主人公の刑事デグを時にワイルドに、時には冷徹なまでにクールに演じ、俳優イ・スンギの新たな魅力を開花させた。3年ぶりにドラマ復帰したチャ・スンウォンとの息ぴったりの熱演も話題となったヒット作「君たちは包囲された!-アクシデント・ラブ-」の魅力についてイ・スンギに聞いた。

―ドラマ「君たちは包囲された!-アクシデント・ラブ-」に出演したきっかけは?

イ・スンギ:今まで僕が演じてきたキャラクターとは異なる面があり、とても魅力的でした。実はこれまでファンタジー要素の多いドラマにはたくさん出演してきたのですが、リアリティあふれる現実的なキャラクターを演じたことはあまりなく魅力的だと思い、出演を決めました。

―スンギさんが演じたウン・デグとはどんなキャラクターですか?

イ・スンギ:ウン・デグは若手の刑事です。過酷な子供時代を過ごしたことで心に大きなトラウマと傷を抱えています。そのために人生の目標は、普通の人々のように幸せを求めることではなく、青春の悩みに苦悩することもありませんでした。唯一、母の仇をとること、自分の人生をも台無しにした誰かを見つけ出すことだけを生き甲斐に生きてきた人物です。誰も信じず言葉も交わさない。スマートでとても冷徹なキャラクターです。そして見た瞬間にすべての物を写真に撮るように記憶してしまうフォトグラフィックスメモリーと呼ばれる特殊な能力も持っています。


「これまでとは違ったツンデレな男を表現してみました」

―キャラクターを演じる上でどこにポイントを置きましたか?

イ・スンギ:実際のシナリオでは、少し生意気で不真面目なキャラクターに描かれていました。しかし、ウン・デグはいわゆるチンピラではありません。彼は賢く、司法試験に合格したにもかかわらず、警察に入った人物で常に理性で問題を解決しようとするようなタイプです。そんなキャラクターだから「胸に秘めたトラウマや過去の事情」はできるだけ他人に悟られたくないと思っているだろうと思いました。そんなふうにウン・デグという人物を解釈して役作りをしていきました。そして冷徹なまでにクールで、それでいて、これまでとは違った感じのツンデレな男に表現してみました。

―役作りのために苦労したことはありますか?

イ・スンギ:演技でもとても悩みましたが、一番大変だったのはスリムになるためのダイエットでした。ウン・デグはとても頭脳明晰なシャープなキャラクターなので、少しスリムな方がキャラクターイメージに合っているだろうと思ったのと、チャ・スンウォンさんがあんまりにもビジュアルがよいので、対立関係を見せるためにも両方がシャープに見えないといけないと思ったからです。ダイエットは大変でしたが、食べたいもの減らしたり、低カロリーのサラダなどを食べたりしてダイエットに励みました。もちろん運動も並行しましたが、あれほど長期間、低カロリーの食事を続けてダイエットをしたのは初めてでした。

―ウン・デグに共感したところはありましたか?

イ・スンギ:彼は、誰も経験したことのないようなつらい経験を過去にしています。彼に共感したというよりも、彼がどんなにつらく苦しかったのか、想像してみたんです。そしてウン・デグを知らない人にも、彼が抱えている心の痛みと、彼の行動をわかってもらうために、自分の力を信じて彼を演じました。

―アクションシーンはいかがでしたか? 目をケガしてしまったとのニュースもありましたが……。

イ・スンギ:刑事ドラマなのですが、派手なアクションシーンはそれほど多くありませんでした。このドラマで必要とされたのは、もっと繊細な感情を表現するものでした。普段からある程度のトレーニングはしているので、アクションシーンのために特訓などはしませんでした。撮影中のケガは、撮影スケジュールがタイトだったこともあって十分な練習ができずに撮影に入り、残念な事故となってしまいました。目のケガは、今は回復しています。

―前作の「九家の書」は時代劇でしたが、時代劇と現代劇との違いはありましたか?

イ・スンギ:歴史劇と現代劇との違いは感じませんでしたね。あるのはキャラクターの違いだと思います。「九家の書」では実際には存在しない半獣半人の役をできるだけしっかりと表現したかったし、現代劇は人間のリアルな部分をうまく表現していかなければならない。こういう違いだと思います。

―ウン・デグは記憶力に優れたキャラクターでしたが、イ・スンギさんが、一度に長いセリフを覚える秘訣は?

イ・スンギ:脚本家の方が、会話調のセリフではなくて、文語調のセリフを書く方で、慣れるまで少し時間がかかりましたね。長いセリフを覚えるのに、秘訣といえるほどのものはありません。台本を繰り返し読んで、練習し、自分のものにしていくことが、長いセリフを覚える方法です。

―セリフが出てこなくて、NGになってしまったこともありましたか?

イ・スンギ:NGを出したこともありますが、長いセリフの場合はむしろ、しっかり準備して撮影に臨むので、NGはあまり出ないんです。セリフを忘れてしまって、止まってしまうと演技にならないので、できるだけ一回でOKが出るようにがんばりました。


「チャ・スンウォンさんと一緒に仕事できることが嬉しくて…」

―新人刑事4人の第一印象は? 印象が変わったメンバーもいましたか?

イ・スンギ:Araさんは、かわいくてきれい方なんですが、ボーイッシュで気さくなところがあります。それですぐに親しくなれたのではないかと思います。アン・ジェヒョンさんは、イメージとすごく違っていて、ちょっと驚きました。カッコよくて白い肌と鋭い眼差しを生かしてこれまでナイーブなキャラクターを多く演じてきたみたいですが、実際に会ってみるとキャラクターのイメージとはまったく違っていて、とても人間味のある温かい人ですね。パク・ジョンミンさんは、ドラマの中のキャラクター・チグ役とは正反対ですね。チグのように空気が読めず、軽薄で軽いキャラクターではなく、静かで真面目な礼儀正しい人でした。

―チャ・スンウォンさんとの共演はいかがでしたか?

イ・スンギ:チャ・スンウォンさんはとても大好きな俳優で、先輩でもあります。チャ・スンウォンさんと一緒に仕事ができることがとてもうれしくて、その喜びが力となって最後までタイトな撮影スケジュールを駆け抜けることができました。チャ・スンウォンさん独自のカリスマあふれる演技に、要所、要所でコミカルだったり、人間味のある演技が加えられたりしてメリハリが出て、ソ・パンソクというキャラクターが生き生きと動き出したのではないかと思います。共演の時は呼吸を合わせて演じるだけで、細かな打ち合わがいらないくらいウマも合い、とても楽しく撮影することができました。ドラマのシリアスで重い部分を担ってくれて、精神的にも疲れるはずなのに、ユーモアもあって、いつも周りを気づかって愉快にしてくれる方なので、タイトな撮影の現場を乗り切ることができたのだと思います。

―Araさんとの共演はいかがでしたか? 対立して大声で言い争うシーンも多かったようですが?

イ・スンギ:Araさんは、お転婆な演技は得意なので、僕もうまく呼吸を合わせることができました。Araさんは本当にオ・スソンになりきっていたと思います。撮影中は演技に最善を尽くしてくれました。彼女の演技があってこそウン・デグとオ・スソンのぶつかり合いのシーンがリアルなものになり、互いのキャラクターを生かすことができたのでないか思います。僕はこんなふうに演じたいのだけれど、Araさんはどう思う? とか、うまくリアクションできそう? とか演技についての話をよくしましたね。


「とても笑えるシーン…なかなかうまくいったと思います」

―最も心に残っているシーンはありますか?

イ・スンギ:色々と記憶に残っていますが、序盤でウン・デグの正体がばれないように、いきなりオ・スソン(Ara) の口をふさいでキスするシーンが面白かったですね。チャ・スンウォンさんのリアクションも良かったし、とても笑えるシーンでした。キスシーンはなかなかうまくいったと思います。1回目、2回目、3回目と演じてみるとキスはすべて違うんです。唇だけを合わせるようにして演じる場合もありますが、やはり少しリアリティに欠けてしまうと思います。募ってくる感情を、ある程度の演出はあったとしても表現しなければいけないと思うんですね。このドラマのキスシーンはカメラの角度も非常にきれいに撮れていたようでした。それから……最初に逮捕されるシーン、自分の母を殺そうとした人物が誰なのかを知って、取り調べをするシーンなど、色々なシーンが思い出されます。

―NGが最も多かったシーンは? もしかしたらキスシーンですか?

イ・スンギ:いえいえ。キスシーンでNGなんて出せませんよ。お互いに恥ずかしいし、ひどく緊張をしていますから。NGは、笑えるシチュエーションで演技があまりにもリアルで、おかしくて我慢できずに笑い出してしまってNGになることが多かったですね。

―もし、イ・スンギさんが警察官になったらどの部署で働きたいですか?

イ・スンギ:いちばん身近な交通課でしょうか。警察官はとても大変な仕事だと思います。市民のために自分を捨ててプロとして、人々を助け、事故や事件を解決しなければならない。ほかのどんな仕事よりも、その人の痛みやつらい部分を理解してあげる心が必要だと感じました。警察官という存在がなければ、社会がどんなに危険で不安なものになってしまうか……。人々が平穏に暮らしていけるのも彼らが、見えないところで努力してくれているおかげだと思うんですね。ドラマで刑事の役をやってみて、改めて感謝する気持ちになりました。


「どんなに苦しくても最善のコンディションで演技をすること」

―スケジュールがタイトで撮影は大変だったようですが、体調管理はどのようにしていますか?

イ・スンギ:精神力。それ以外の方法はないんです。実際に今回のドラマ撮影は徹夜が多く、体力的にも、とてもつらかったですね。撮影があまりにもしんどいと、もう撮影をしたくないという気持ちになることもあります。でも、そんな気持ちで演じたシーンや自分でも納得のいかなかったシーンが、放送でそのまま流れているのを見たりすると、とても残念な気持ちになるんですね。たしかに、しんどいのは事実です。しかし、これは僕たちが持たなければいけないプロ意識の問題だと思うんですね。どんなに苦しくても、最善のコンディションで演技をすること……。そしてどんなものよりも大切なのは精神力だと思います。準備をあまりせずに現場に行けば、お互いが恥ずかしいじゃないですか。だから現場でも話すのですが、互いに恥ずかしくないようにしようと。監督も頑張っているし、プロが集まる場所で、お互いに恥ずかしくないように、あれこれ考えず、一生懸命やっていこうと思っています。

―日本のファンの方には、ドラマの見どころとメッセージをお願いします。

イ・スンギ:日本のみなさん、こんにちは、イ・スンギです。今回「君たちは包囲された!-アクシデント・ラブ-」では、これまで演じてこなかったキャラクターを演じました。頭がよくてスマートで冷静なウン・デグ刑事の役作りには、非常に努力したつもりです。だから、皆さんにも楽しく見ていただきたいんです。共演者のみなさんと力を合わせて仕上げました。皆さんも、このエネルギーと楽しさを見ながら満喫していただけたらと思います。「君たちは包囲された!-アクシデント・ラブ-」をたくさん愛してください。ありがとうございます。

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記者 : Kstyle編集部