Vol.2 ― 「密会」パク・ヒョクグォン“満月を見て願うこと…努力した分だけ返ってきてほしい”

10asia |

初めて会うにも関わらず、パク・ヒョクグォンとの対話はとても楽で、楽しかった。共通の関心事を持った人々との対話のように。パク・ヒョクグォンはドラマ「密会」の一員というプライドがあり、記者は「密会」に夢中になった熱狂的な視聴者だった。もっと深く聞き出すために1時間余りのインタビューで絶えず質問し続けたが、本当は質問というより対話に近いインタビューだったと言う表現が似合っているかもしれない。心から気になり、心から感じた感想を伝えると、彼も心を込めて答えてくれた。熱く語る本音が涙に変わる瞬間もあった。

あ、パク・ヒョクグォンが10asiaの事務室に入ってくる瞬間、突然(予想もしなかった)歓声が上がった。今までたくさんのアイドルが出入りしたにも関わらず、このようなことは一度もなかった。本当に素晴らしい俳優だ。図太い中年の俗物をこんなに可愛らしく表現できるのは、卓越した能力を持っているからだ。インタビューが終わる頃に、末っ子記者Pさんは大事にしていたオラフのキャラクター人形をプレゼントした。パク・ヒョクグォンがオラフと似ていると話題になっていたからだ。パク・ヒョクグォンは「本当にくれるの?」と喜んでいた。その場でオラフとの“密会”というタイトルで写真撮影も行った。

惜しくも1時間が経ち、素晴らしい俳優とさよならをしなければならなかったが、ドラマが終わった後、もう一度会い「密会」のカン・ジュンヒョンの裏話を聞きたい。

―第10話でオ・ヘウォン(キム・ヒエ)とイ・ソンジェ(ユ・アイン)の密会を直感的に感じ、叫ぶシーンに対して解釈はそれぞれ異なっていました。カン・ジュンヒョンがオ・ヘウォンとイ・ソンジェの関係に怒りを表現したという意見もあり、カン・ジュンヒョンにとって妻の浮気は重要ではなく、早くソハン財団の問題を解決しなければならないという考え、すなわち自分の安危だけを考えたという分析もありました。これについてどう思いますか。

パク・ヒョクグォン:共存していると思います。不倫をした妻への怒りももちろんありますが、いざそれを目撃したら、見る勇気がないと思います。それでもその現場には行きましたが。それにカン・ジュンヒョンにとって重要なことは、今のチャンスが壊れないことです。確実なことはカン・ジュンヒョンとはオ・へウォンとイ・ソンジェと三者対面して、結論を出す勇気すらない人です。今は音だけを聞いて、携帯メールだけで確認したけれど、もし実際に2人がキスする現場を見たとしても、それを暴く人物なのかは分かりません。あえて、良いチャンスを逃す人物ではないと思います。

―第7、8話で、カン・ジュンヒョンが初めてイ・ソンジェとオ・へウォンの怪しい関係を目撃するシーンが登場します。その時の表情を見ても、カン・ジュンヒョンが何を考えているのか読み取ることができませんでした。アン・パンソクプロデューサーの特別なディレクションはありましたか。

パク・ヒョクグォン:監督は、感情的な反応はせずに、徹底的に計算された表情を要求しました。怒りや切なさを表現するのではなく、冷静に見守り、客観的に見るように言われました。

―アン・パンソクプロデューサーと言えば、やはり繊細さですね。それに映像の構図も本当に素晴らしいです。今までアンプロデューサーと様々な作品をしましたが、今は「あ、こんな風に撮影するだろうな」という勘がありますか。

パク・ヒョクグォン:(じっくり考えて)いいえ。分かりません。監督は先に自由に俳優たちとリハーサルを行い、その次にカメラや動線などを説明してくれます。

―徹底的に計画を立てた後、現場でのリハーサルを通じて様々な変数までを再度チェックするんですね。

パク・ヒョクグォン:その通りです。

―ところで、パク・ヒョクグォンさんの演技もディテールが生きています。印象深かったシーンは、電話をかけるシーンで電話がかかる時間まで計算して台詞を言っていました。

パク・ヒョクグォン:それが一番重要なことですから。そのような細かな部分が生きてこそ、信頼を得る事ができます。小さなことが歪むと、偽者になってしまいます。最大限に本物のようにしなければなりません。アン監督も時々そのような部分を指摘してくださいます。何しろ几帳面で繊細な方ですから。僕は几帳面で繊細な人になろうと努めています。

―視聴者たちは見逃してしまったけど、現場で驚いた繊細さはありませんでしたか。

パク・ヒョクグォン:あると思います。ドラマの撮影をしながら専門家たちからたくさん連絡をもらいます。例えば、この前も映画監督たちからたくさん電話をもらいました。みんなから「イ・ソンジェの家は本当にセットなの?」のようなことをよく聞かれます。セットです。映画でもそのようなセットを作るのは難しいことなので、時間が切迫しているドラマでこんなに見事なセットを作ったという点で、みんなが驚いていました。部屋に詰め込んだ小道具もとても繊細です。あ、そうだ、質問何でしたっけ。

―現場だけで見られる繊細さを話してほしいとお願いしました。

パク・ヒョクグォン:あ、私たちは化粧して寝る俳優が誰もいません。化粧を全部落とします。それに髪を洗うシーンでも本当に髪を全部濡らします。普通は髪を洗ってもタオルが乾いていますけど、私たちは絶対にないです。そして、セットを本物の家のように作ったので、照明をセットすることが他の撮影現場より難しいです。壁や屋根を取ることはできないから。その代わりに、撮影したものを見ると、本物の家のように見えます。

―ピアノを演奏するシーンは、最高に繊細さが際立っていました。ところが、カン・ジュンヒョン教授が演奏するシーンがあまりなくて残念です。

パク・ヒョクグォン:第1話の時に1度ありました。私は短い音節だったので、難しくありませんでした。だけど、ユ・アインさんは全曲を全部演奏しなければならなかったので、そうするためにはその曲を全部覚えて、手の位置も覚えなければなりません。見ていると驚きます。最初第1話では2人の演奏能力は似ていましたが、今は演奏能力が伸びるのが目に見えています。本当に素晴らしいです。上から鍵盤を正確に押すシーンたちはピアノの先生が代役で演じてくれますが、ユ・アインさんのシーンはほとんどそのまま使えるとおっしゃいました。

―それに、チョ・インソ教授役を演じている実際のピアニストのパク・ジョンフンさんとはドラマの中で頻繁に一緒に撮影をしていますね。

パク・ヒョクグォン:パク・ジョンフン先生の場合は、演技力が日増しに伸びているのが目に見えます。あの方は基本的に正直な方です。飾らないですね。演技をする時、そのような条件がとても良いです。どのように映るのか、どのように演じなければならないのかを悩み始めると、上手く演技ができませんが、あの方は普通に会話しているように台詞を言います。演技力が伸びる速度がとても速いです。嫉妬してしまいますね。ハハハ。私は死ぬまで練習してもパク先生のようにピアノを弾けないのに、パク先生は次の作品でまた演技をしたら、すぐに私を追い越すと思います。おそらく、この作品が終わると、また他の作品にオファーされると思います。

―現場の雰囲気がとてもよさそうです。何より作品への反応があまりにもに熱くて、俳優たちのプライドも高くなったと思いますが。

パク・ヒョクグォン:このような素晴らしい作品に出演することができて本当に…「密会」に出演できて本当に幸せです。私は自分が出演したドラマでも面白くなかったら見ません。もちろん人によって趣向は違うかもしれないけど、素晴らしい作品というのは確かです。おそらくこのドラマが私の出演したはじめてのドラマだったら……(言葉を詰まらせた)それに、素晴らしい撮影現場です。学究への情熱に燃えるそのような雰囲気です。目標が明確で、努力する点がはっきりしているので、みんなのエネルギーを一つに集めることができるそのような撮影現場です。

―初めて出演したドラマが「白い巨塔」でしたね。

パク・ヒョクグォン:「白い巨塔」を終えて、スタッフと俳優たちとたくさんお酒を飲みました。それだけではなく、毎回泣きました。ハハハ。余波があまりに大きかったので……お酒を飲んでいると、ある人が泣いて、それを見て一緒に泣きました。それが1ヶ月間くらい続きました。その後に出演が決まったドラマ「犬とオオカミの時間」の監督とミーティングでお会いした時に、監督から「お肌の調子が悪くなりましたね。お疲れでしょう」と言われました。ハハハ

―アン・パンソクプロデューサーとも特別な縁ですね。

パク・ヒョクグォン:以前、演劇をしていましたが、ある瞬間から見事に演じこなすことが目標ではなく、私の演技を見て誰かがキャスティングしてほしいと思うようになりました。それだったら、自分から先に映画の方に挑戦してみようと思い、その年まで演劇をして映画の方に移りオーディションを受けました。映画からドラマに移ったのもアン・パンソク監督の「約束側」のオーディションを受けに行って、その翌年、演出部との電話で「アン監督がドラマの準備をしているので、電話してみたら」というお話を聞いて連絡しました。その時、アン監督が私の役もあるとおっしゃって「白い巨塔」に出演することになりました。監督には本当に感謝しています。「世界の果て」の時も「ご飯ちゃんと食べてるの?」や「ちゃんと稼いでいるの?」といつも心配してくれました(このことを話しながら、パク・ヒョクグォンは目が赤くなり、涙ぐんでいた)

―アン・パンソクプロデューサーのことを考えるだけで胸が熱くなりますね。

パク・ヒョクグォン:(ティッシュで涙を拭いながら)僕も年を取りましたね。ハハハ。本当は今回も……とにかく、今度またアン監督が連絡をくださったら、その時も私は絶対、監督の作品に出演するつもりです。

―気分転換のために、過去のインタビューで話した面白い発言を今から読みます。当時4Bの鉛筆で眉毛を描いたし、5年も経ったファンデーションを塗って「私も変わったな」と言っていました。今日は何を塗ってきましたか。

パク・ヒョクグォン:ハハハ。昔の私ではないです。すっかり変わりました。美容院に行って来ました。昔、「白い巨塔」を終えて、雑誌のインタビューの時に美容室に行けと言われて怒りました。「私は愛犬ではない」と言いながら。最近はみんながメイクしているのに、私だけしていなかったら可笑しいのでメイクします。でも今もメイクしたくないです。ショーマンシップは苦手です。

―綺麗になると、気分がよくなりませんか。

パク・ヒョクグォン:その分野にはあまり関心がありません。それに綺麗になるといっても、限界がありますし。もし美容院に3度行けば、チョン・ウソンになると言ったら、行きます。夜明けから行っていると思います。ハハハ

―最後に、もう一つお聞きします。努力をすれば報われると思いますか。

パク・ヒョクグォン:そうなることを願っています。でなければ、別の方法がないですから。私は宗教がないけれど、たまに満月を見て願い事をする時間があれば、心の中でいつもこう願います。「私がやった分だけ返ってきてほしいと。やってもいないことは望まないと。だけどやっていたら、その分だけ返ってきてほしいと」

記者 : 記者:ベ・ソニョン、写真:ク・ヘジョン