「相続者たち」キム・ジウォン“カップルの誕生?みんなビジネスで終わりました”

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女優キム・ジウォンがこれほど毒々しかったことがあるだろうか。キム・ジウォンは最近、韓国で放送終了となったSBSドラマ「王冠を被ろうとする者、その重さに耐えろ-相続者たち」(脚本:キム・ウンスク、演出:カン・シンヒョ、以下「相続者たち」)で全身を高級ブランドで飾った悪女ユ・ラヘルに変身した。

「ユ・ラヘルの前髪、キム・ウンスク脚本家の意見だった」

「相続者たち」のキム・ジウォンの顔にはこれまでドラマ「What's Up」やシットコム(シチュエーションコメディ:一話完結で連続放映されるコメディドラマ)「ハイキック3~短足の逆襲~」、映画「ロマンティックヘブン」などで見せた優しい眼差しはなかった。その代わりに固く口を閉ざして、冷たい眼差しで相手を見下ろすユ・ラヘルの姿だけが残っていた。

「相続者たち」のキム・ウンスク脚本家は、キム・ジウォンからそうした表情を初めて発見した。何をしても可愛く見えるキム・ジウォンが、口を閉じているときにちらりと見せるクールな雰囲気を通じてキム・ウンスク脚本家はユ・ラヘルと重なる姿を発見して、彼女をキャスティングした。

「ユ・ラヘルというキャラクターは台詞自体が強かったので、それをどうやって活かせるのだろうと悩みました。それでキム・ウンスク脚本家の手がけた前作をモニタリングしたのですが、『紳士の品格』のパク・ミンスク(キム・ジョンナン)を見て『ユ・ラヘルが年を取れば、こうなるのでは』と思いました。それでそのキャラクターを参考にしました」

ユ・ラヘルの台詞が強かったと言ったのが分かるように、実際のキム・ジウォンはユ・ラヘルとは正反対の性格だった。言いたいことは全部言ってしまう時限爆弾のようなユ・ラヘルとは違い、キム・ジウォンは意外と内気なタイプだった。あまり腹を立てないし、言いたいことがあってもじっくり考えてから言うため、言いそびれたことも多かった。そのため一番記憶に残るシーンもユ・ラヘルがみんなに爆弾を投げたパンケーキの店でのシーンだった。

「あのシーンはユ・ラヘルというキャラクターを一番上手く表現したシーンだと思います。ユ・ラヘルは感情と本能に忠実なキャラクターだったんですよ。『上流階級だからといってそれが高校生のやることなのか?』という方もいましたが、私から見ると、ユ・ラヘルは10代のようなところが多かったキャラクターでした。恋に落ちれば、お金や全てを投げ捨ててでも恋にひた走る、大人らしくない行動をたくさんしました」

キム・ジウォンはユ・ラヘルというキャラクターを表現するためにアメリカのドラマ「ゴシップガール」のブレア・ウォルドーフというキャラクターも参考にしたと明かした。ブレア・ウォルドーフの刺々しい表情や他人より優位に立っていると思っているような傲慢な態度などを参考にしたという。ただ議論されていたユ・ラヘルの前髪はキム・ウンスク脚本家の意見だった。

「キム・ウンスク脚本家から重めの前髪にしてほしいと言われました。軽めの前髪よりも重めの前髪の方が、ユ・ラヘルのイメージをもっと上手く表現できそうだとおっしゃったんです。私は前髪があって良かったです。少し変化を与えられた感じなので。今では前髪のないユ・ラヘルなんて想像すらできません」


「『相続者たち』のカップル誕生?みんなビジネスで終わりました」

キム・ジウォンは実際の恋愛スタイルもユ・ラヘルとは大違いだった。愛する人に自分の気持ちを全部表現して執着し、最後まで追いかけるユ・ラヘルのスタイルとは違い、相手が嫌だとすれば、一人で心を痛めながら綺麗さっぱり片付けるタイプだという。

「これまで恋愛経験について聞かれると、“ない”と答えていたのですが、実は彼氏がいたことがあります。中学3年生から高校1年生になる間に。でも恋愛をしたとは言いにくいですね。振り返ってみると一緒に塾に通ったり、ご飯を食べる男性の友達だったというだけですから(笑)」

綺麗な顔に似合わず、恋愛経験はほとんどなかったなんて。「相続者たち」で共演した俳優たちの中に気に入った人はいなかったのかと尋ねてみると、「みんな、ビジネスで終わりました。さっぱりと友情を築いて終わりました」と答え、彼女自身も信じられないように大笑いした。

「実際、恋人関係になった人は私の知る限りいませんね。私もそうですし、スタッフたちも理解できません(笑) 学校で撮影するときは、撮影場所が地方なので俳優たちのほとんどが行きました。待ち時間にみんなで教室に集まり、椅子に座ってお菓子を食べながらおしゃべりをしたりしました」

キム・ジウォンは今回の作品を通じて、心を通わせることのできる兄を得た。それはイ・ヒョシン役を務めた俳優カン・ハヌルだった。劇中、二人はお互い違う相手に片思いをしながらも意図せずキスをして、少しずつ愛を重ね始めた。最終回を控えてキム・ジウォンのme2day(韓国のマイクロブログサービス)には二人が仲良く手をつないで撮ったツーショットが公開され、二人が本当にカップルになるかどうかに関心が集まった。

「カン・ハヌル兄さんとは『花ざかりの君たちへ』でも会ったことがありますが、一緒に会話をしながら演技をしたのは今回が初めてでした。カン・ハヌル兄さんは本当に優しくて気楽だったし、趣味に関する話も通じて兄妹のような気がしました(笑) 冗談でカン・ハヌル兄さんは男キム・ジウォンで、私は女カン・ハヌルなどと言っていました」


「2013年はカカオ72%のチョコレートのような一年」

キム・ジウォンは残すところあと僅かとなった2013年を静かに過ごしている。アクティブな趣味を持っていないため、家でくつろいだり、本屋に行ったり、散歩をしながら静かに過ごしているという。最近買った本は何かと聞いてみると、一般常識の本を買ったという予想だにしない答えが返ってきた。

「バラエティ番組に出れば、常識のクイズもたくさん出るじゃないですか。ですが、分からないことが多いので勉強しておかなければと思いました。また、私は高校生のときから芸能活動をしていたので授業に出席できない日もあったんです。それで必ず勉強しなきゃと思いました」

最後にキム・ジウォンは2013年を“チョコレートのような一年”だと話した。「今年は私にとってカカオ72%のような一年でした。甘かったり、苦かったり。素敵な作品に出会って良い評価を聞いたときは甘い一年だっと思います。苦かったと言ったのは、仕事というよりは成長痛のようなものです。20代半ばは色々と考え事が多かった時期だったので(笑) 今年が終わる前に、小学校の頃からずっと仲良くしている友達に会いたいです。いつも一緒に年末を過ごしていたのに、仕事を始めてからはあまり会えなくなりました。友達と会って一緒に遊びたいです」

記者 : チョン・ヒョンジン、写真 : ソン・イルソブ