“同性結婚”キムジョ・グァンス&キム・スンファン…ここまで騒ぐ理由は何か?

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「騒がなければ、世の中は分かってくれないんです」

キムジョ・グァンス監督とRAINBOW FACTORYのキム・スンファン代表の同性結婚式が残すところ約1週間となったある日。ソウル鐘路(チョンノ)区の某カフェで二人に会った。「準備しなければならない事が1つや2つではない」と疲れた様子の2人だったが、それでも結婚を控えているカップルの甘いときめきがインタビュー中ずっと溢れ出ていた。

「正直、まだ実感がありません。きちんと準備ができているのかも心配です。私たちの結婚式はお祭りのように行われるので、本当に準備しなければならないものがとても多いです。一日に結婚式の会議だけで5つはあります。目まぐるしいですよ」(キムジョ・グァンス)

「どれほど目まぐるしいかと言いますと、両親の電話にもきちんと出れないほどです。先日、両親から電話が来て『私の友達が出席したいと言っているんだけれど、食事の接待はどうすればいいの?』と聞かれました。あまりにも忙しくて『母さん、私はあまりにも忙しいので、好きなようにしてください』と答えてしまったのですが、きっとそれを聞いて寂しかったでしょうね(笑) 私たちの結婚式は野外で行われるので、食事を用意するのは現実的に難しいです。1ヶ月前に出席すると返事を頂いた方だけでもう1000人を超えていますからね」(キム・スンファン)

「朝鮮名探偵 トリカブトの秘密」「依頼人」「赤い靴」「ワニ&ジュナ~揺れる想い~」などの映画を制作しただけあって、キムジョ・グァンス監督は自身の結婚式もまるで一本の映画を公開させる気持ちで“マーケティング”しようとしたとのこと。漫画家たちに依頼して、キュートなイメージのシールを製作し、結婚式のポスターも目立つように作った。

「私たちの結婚式をまるで映画をPRするかのように人々に知らせたいと思いました。面白く、愉快に知らせたかったですね。同性結婚、同性愛と言えば嫌悪感を抱く人が多いのが事実です。できるだけポスターや招待状も可愛く、綺麗に作ってその嫌悪感を和らげたかったです。今回の結婚式でウェディングドレスを着ないと決めたのも、“嫌悪感”のためです。まだ男性が女性性をアピールすることへの嫌悪感は相当なものです。そのような方々が私たちの結婚式を不快に感じるといけないと思い、ウェディングドレスは着ないことにしました」(キムジョ・グァンス)

二人は7日、ソウル清渓川(チョンゲチョン)の廣通橋(クァントンギョ)の前で結婚式を挙げる。公開結婚式であるだけに、式場を探すだけでも相当な時間を要した。“同性結婚式”という理由で様々な式場から断られたが、廣通橋での集会申告をすることで現在の結婚式場の許可を得ることができた。

結婚式場だけではない。司会、祝歌、招待客を決めるときも多くの苦労が伴った。本人は来たいというのに、所属事務所のせいで来れない方も多かったという。「アイドルやトップスターの方々一、二組に祝歌をお願いしたかったのですが、予想以上に簡単なことではありませんでした」(キムジョ・グァンス)

この日の結婚式の司会はEBS「シネマ天国」を通じて縁を結んだピョン・ヨンジュ、キム・テヨン、イ・ヘヨン映画監督が務める。祝歌はカンホ・ダルリムやシンナヌンソム、IDIOTAPE、Huckleberry Finnが担当する。

―招待客のリストにも苦労したそうですが。

キムジョ・グァンス:結婚式に来るけれども、招待客のリストには名前を出さないでほしいと頼まれる場合もありました。私たちとしては所属事務所の意見を尊重するしかありませんでした。知人たちがあまりにも申し訳ないと言うので、「気にしないで。私は大丈夫」と伝えました。考えてみるとスターたちは大衆からの人気によって食べて生活する職業なので、世間の反応に敏感なのも当然です。気持ちだけ受け取ると伝えました。

―少し過度にPRしているのではないかという指摘もあります。

キムジョ・グァンス:私たちは性的少数者じゃないですか。「ある素敵な日、キムジョ・グァンス&キム・スンファンの当然の結婚式」(以下「当然の結婚式」)は私たち二人だけの結婚式ではなく、社会を変えるという運動性を確保する結婚式です。世の中を変えるためには、大々的に取り上げないと変えられません。私たちのロマンのために騒いでいるわけではありません。

キム・スンファン:元々、私は前に出るのがあまり好きではありません。「当然の結婚式」が社会的な意味を持っていなければ、ここまで前に出ることもなかったと思います。

―カミングアウトをして結婚の準備をしながら、周りが変わったと感じますか?

キムジョ・グァンス:結婚式場を調べながら、まだ社会的な雰囲気に大きな変化はないというのを感じました。私たちの予想以上に性的少数者に対して閉ざされている社会だということを式場を調べながら改めて感じました。けれど、私たちを喜んで受け入れてくださる方が増えているのは事実です。先日、弘大(ホンデ)で街頭キャンペーンをしたのですが、反応が驚くほど良かったです。若年層ほど変化が早いというのを感じます。

キム・スンファン:私たちの結婚式のことを、ソウル市ではキャンドル集会よりも心配していました(笑)

―この間(8月22日)、国会前で記者会見を行いました。国会議員たちの反応はどうでしたか?

キムジョ・グァンス:当日は同性愛に反対する団体が私たちよりも大きなアンプを持ってきました。同性愛を嫌悪するクリスチャンたちはあまりにも組織的に動いているので。しかし、国会議員の補佐官たちは私たちをとても喜んで受け入れてくれました。反応が良かったです。

キム・スンファン:補佐官の方々は結婚式の招待状がもらえなかったと寂しがったりもしました。そのような反応が可愛くもあり、面白かったです。また感謝もしました。

―同性婚法に関する法的な争いは結婚式よりも長い戦いになりそうですが。

キムジョ・グァンス:そうですね。長い戦いになるでしょう。原告団を大規模に結成してみようと思っています。私たちだけでなく、家庭を作って暮らしている同性カップルを募ってみようと思います。参加したいと自ら連絡をくれた弁護士もいます。弁護団も大規模に準備するつもりです。

―なぜこの辛い道を選んだのか、後悔することはないですか?

キムジョ・グァンス:二人だからこそできる事だと思います。私はあまりにも楽観主義者です。心配よりもときめきのほうが大きいです。これからの私たちの人生が気にはなるけれど、良いことのほうが多いだろうと、漠然とそう思います。辛いと言っても、私たちが命をかけて戦っているわけではないじゃないですか?同性愛者でも性的に乱れることなく、幸せに元気に暮らせるということをお見せしたいんです。偏見を破りたいということです。座り込んで戦うことも必要ですが、私たちはハツラツとした姿勢で戦ってみようと思います。

キム・スンファン:結局は私たちみんなが幸せになることです。観点を変えればこのような人生を選択したことは幸運ではないかと思う時もあります。

記者 : キム・スジョン、写真 : チョ・ソンジン