【コラム】BIGBANGの末っ子、V.Iの成長記 ― カン・ミョンソク

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BIGBANGがデビュー8年目を迎えるまでにグループの名前は大きくなり、メンバーたちの活動範囲は広がった。その中でも末っ子のV.Iは、韓国と日本を行き来しながら様々な分野で活躍すると同時に、ソロアルバムをリリースするなど忙しい8年間を過ごしてきた。結果的に10代の少年がスターになった過程は成長として要約することができるが、実はV.Iのこれまでの時間は均一なグラフでは表現できない程に多事多難な日々だった。末っ子の役割から、事業家としての潜在能力まで、V.Iが見せてくれる色んな顔にそれぞれ違った年齢をつけてみるのは、そのためだ。17歳、あるいは24歳というにはあまりにも天真爛漫で、またあまりにも世間慣れしているアイドル。そのおかげでこの8年間、自分の地位を守ることができたV.Iの話だ。


9歳:末っ子、ちびのイ・スンヒョン(V.Iの本名)

BIGBANGのデビュー準備を盛り込んだ番組「リアルドキュメンタリー BIGBANG」には、V.Iがグループから脱落するかもしれない危機がそのまま映っている。成長した歌唱力と確固たる情熱が認められて、グループへの合流の機会を勝ち得たV.Iの当時の年齢は17歳だった。同年代の仲間よりも大胆で落ち着いて見えたが、YGエンターテインメントのヤン・ヒョンソク代表から合格を告げられたとき、顔を覆いながら彼が最初に口にした言葉は、「死にそうです」だった。当時の緊張感がどれほど重かったのか、BIGBANGの初コンサートでは感想を語る途中で涙をこぼしたりもした。本人にとっては切実な瞬間だったと思うが、特に感情を素直に表すV.Iの性格は、重量感あるBIGBANGの雰囲気とは全く別のキュートさを確保できるポイントでもある。メンバーたちからよくいたずらの対象になることもやはり、カリスマ性を守るよりはグループの末っ子としての役割に忠実なV.Iの態度のおかげだっただろう。これに加え、多少大げさなキュートさをナチュラルに表現するV.Iは、「DIRTY CASH」のミュージックビデオで黄色い幼稚園服を着こなした頃からBIGBANGがワールドツアーを行うほどに成長した今でもファンたちのために可愛い表情を演出し、末っ子の立場を貫いている。BIGBANGのコンサートでは、しばしばファンたちがステージ上のV.Iに向かってパンダのぬいぐるみを投げ渡すシーンが見られるが、これはただV.Iと似ているからだけでなく、ぬいぐるみ一つ一つに反応し、ましてはパンダの面を被ってステージに登場するほど子供のようにはしゃぐV.Iの姿が見たいからなのだ。


39歳:バラエティのダークホース

歌やダンスとは違い、トレーニングで向上させにくいのがバラエティでのタレント性だ。バラエティ番組で注目されているアイドルのほとんどが、エネルギーに満ち溢れ、または持って生まれた突飛なキャラクターという似たような特徴を持つ理由でもある。しかし、V.Iはアイドルとしては珍しく、適当で図々しいベテランのようなキャラクターでバラエティ番組に溶け込んだ。メンバーたちと一緒に出演する時はもちろん、一人で出演する時もV.Iは自ら打って出て隠し芸を披露したり、予め用意してきた状況を無理して演出することはない。その代わり、番組の全体的な流れを読み取り、必要ならば困難な立場に置かれることも甘んじて受け入れる。主人公になろうとするよりも必要なキャラクターを担おうとする彼の態度は、学習された謙虚さというより、同年代に比べて広い範囲を計画することのできる持って生まれた気質のためだろう。「2NE1 TV」「強心臓(カンシムジャン)」などの番組で、2NE1のDARAはV.Iからバラエティ講習を受けたことを公開したこともあるが、当時V.Iが強調したこともやはり、自然に番組の中での役割を探すことだった。従って、日本でV.Iがバラエティ番組のゲストとしての活躍にとどまらず、外国人であるにもかかわらずMCとしての能力まで証明することができたのは偶然ではないわけだ。


19歳:Strong Baby

BIGBANGの2ndアルバム「REMEMBER」のタイトル曲は、イ・ムンセの曲をリメイクした「赤い夕焼け」だった。BIGBANGにとってこのアルバムは、「嘘」が収録されたミニアルバムのメガヒット以降、国民的アイドルになった彼らが最も大衆的なディスコグラフィーを作った瞬間だが、V.Iはソロ曲「STRONG BABY」で自分のもう一つの可能性を証明しようとした。ちょうど20歳になった彼はパーティのホストのように着飾ってBIGBANGとは違う雰囲気の華やかさを演出しようし、ジャスティン・ティンバーレイクを彷彿とさせる彼特有の雰囲気は、彼の初ミニアルバムまで続いた。あまりにも成長してしまったBIGBANGのメンバーとして人々の期待を満足させることは明らかに難しく、リスクもあることだったが、洗練された繊細な振り付けを追求するV.Iの抱負と、特有の美声を全体的に表出させることができたという点で、彼のソロデビューは意味を持つ。さらに、本人の疑問を正面から突破し、それを元にキャリアの方向性を再定義することができたという点で、V.Iのソロ活動は単純なステージ以上の役割さえも果たした。そして実際にあまり遅れを取らず、かといってあまりに早く力尽きることなく、試みを続けながら成長の軌跡を披露するということは、アイドルとして素晴らしい長所でもある。


49歳:中堅アイドル

若くして社会生活を始め、30歳になる前にキャリアの危機にさらされるのが多くのアイドルの人生ならば、V.Iは比較的入念に長期的な人生計画を立てているケースだ。日本においてバラエティや演技で活動の幅を広げる一方、アカデミー事業では後輩の養成という究極的な夢を実現するための基盤まで作り上げているので、模範的と言っていいほどだ。しかし、何よりV.Iが投資を惜しまないのは、他ならぬ人脈だ。「強心臓」に出演したメンバーたちが、V.Iが個人的な人脈を介してグループの広告契約を結んだと証言するほど様々な人たちと交流する彼の親和力は、アルバムの制作や公演で一緒だったスタッフたちのインタビューからも有名だ。同じ事務所の新人イ・ハイとカン・スンユンは、先に話しかけてくれ、親切にしてくれたV.Iに対し、感謝の気持ちを表したこともある。自身の感情をコントロールするだけでも難しいはずの有名人が周りの気持ちに配慮することは、年齢はさて置き、明らかに簡単なことではないはずだ。その上、人々の関心よりもビジョンを持ったビジネス、またそれよりも心を分かち合える人たちの方がより重要であることを知っているので、少なくとも事業家としてのV.Iの才能は優れていると言えるだろう。


29歳:エンターテイナー

2ndミニアルバム「LET'S TALK ABOUT LOVE」をリリースする前、V.Iは自身のFacebookで本人の率直な心境を告白した。諦めようとしていた音楽に改めて向かうことにした過程ほどに率直だったのは、もう彼がBIGBANGを克服の対象として見ていない点だった。グループの中で学んだことを自然に認め、それがアルバムに溶け込まれていることを打ち明ける彼の目標は明らかに以前とは違っていた。ステージの上でV.Iは、ダンスでスペースを満たしたり、派手な技で歌を飾ろうとはしない。歌詞と編曲に重点を置いた「言わなきゃいけないことがある(GOTTA TALK TO U)」は、綺麗な本来の彼の声そのものを表しており、実際の恋愛をもとにして書いたという「GG BE(ジジベ)」は、人為的なイメージでなく本来の愉快さを動力としている。メンバーたちとは異なる色を持つためにスタイルを悩み、大胆で型破りな予告映像で関心を引くこともあった。グループの末っ子としか思わなかったV.Iが、ふと男性として感じられたなら、それは彼が誰よりも自分自身に素直になったからだろう。やりたいことに飛びかかる熱血の時代と、できないことに挫折する劣等感の時代を経て、本人に合ったステージに少し近づいたおかげで作り出された余裕こそが、今のV.Iが披露することのできる最大の魅力である。そして、自分の体にぴったり合った服を着たのなら、その次は本格的なショーの幕開けとなるだろう。

文:カン・ミョンソク(ウェブマガジン「ize」編集長)

「NAVERコラム - カン・ミョンソク編 -」では、今話題の人物にクローズアップし、コラムニストのカン・ミョンソク氏が執筆。韓国で注目が集まっている人物や出来事についてお届けします。

記者 : ユン・ヒソン、カン・ミョンソク