「整形外科医」ソ・ゴヌ“不倫相手役、憎いですか?”

OSEN |

「正直言って、かなり悔しいです。映画でこれだけ重要な役を演じたのは初めてなのに、僕の演技からは足りないところばかりが見えてきたからです。エレベーターで殴られるシーンは、真夏日に体中を水飴まみれにしながら苦労して撮ったのにカットされたし、死を迎えるシーンでも体に起きる痙攣を表現するためにかなり気を使いましたが、本編には使われませんでした」

新人ソ・ゴヌの声からは残念な気持ちがそのまま伝わってきた。俳優ソ・ゴヌは、韓国で20日に公開された映画「整形外科医」(監督:キム・ソンホン)で映画デビューを果たした。韓国芸術総合学校の演劇院の専門士課程で勉強しながら2009年から演劇舞台で演技のキャリアを積んできた彼は、昨年日本映画「道 ~白磁の人~」に出演したことを除けば、映画への出演経験は皆無だ。「整形外科医」では、スポーツトレーナーでパク・スンジョン(ペ・ソウン)の不倫相手のキム・ヨングァンに扮し、葛藤の火種として強烈な印象を残した。

「整形外科医」は、著名な美容整形外科の専門医であるチェ・インボム(キム・チャンワン)が若い妻の不倫現場を目撃した後、隠されていたサイコパスの本性が現れ、殺人を行う過程を描いたサイコパス・スリラーである。ソ・ゴヌが演じるキム・ヨングァンは結局チェ・インボムに殺害され、不倫男の悲惨な最期を迎えることになる。

「実は、キム・ヨングァンは同情されるべき人物ではありません。パク・スンジョンと過去に愛しあっていたとしても、結婚して人妻になった状況なので、そのような関係を続けていくこと自体が間違った判断です。映画を見ると、チェ・インボムが過去のトラウマにとらわれ、殺人を行う未熟な大人として描かれますが、よく考えてみるとキム・ヨングァンも変わりません。精神的に未成熟なのに、若さゆえの過ちで結局は死を迎えてしまいますから」

主人公チェ・インボムをはじめ、「整形外科医」に登場する人物に共感することは容易ではないが、これを演じた俳優の立場からすると、それでも自身のキャラクターには愛情を持っている。ソ・ゴヌのキム・ヨングァンも同じだ。

「結婚する前に愛していた女性に純情を見せたり、男らしい姿を見せたりします。またある時には、世間知らずのような面もありますし。人って一面だけでは判断できないですよね。憎いとおっしゃる方もいらっしゃいますが、嫌わないで頂きたいと思います。僕は、最初にオーディションを受けるとき、キム・ヨングァンというキャラクターを分析し、A4用紙いっぱいに書いて持って行くほどでした。キム・ヨングァンという人物を面白く受け入れられたと思います」

キャラクターの分析以外にも、ソ・ゴヌはキム・ヨングァンというキャラクターを演じるために体作りにも力を入れた。丈夫な体を持つスポーツトレーナーのキム・ヨングァンになるため、ソ・ゴヌは鍛えられた筋肉質の身体を作ってスポーツトレーナのキャラクターを完璧に表現した。

「以前スポーツトレーナーとして働いていた経験があります。それで、体の鍛え方はよく分かっています。それ以外にも普段からも体を動かすことが好きで、運動はずっと続けている方です。『整形外科医』のときは、さらにより洗練された体を作るために、4ヶ月間飽きるほど鶏の胸肉とサツマイモばかり食べました」

映画の中で衝撃のベッドシーンを披露した彼は、このシーンを機能的に最大限生かすための努力も行った。

「短い瞬間に、チェ・インボムのサイコパスの本性を引き出さなければならないシーンだったので、挑発的である必要がありました。どう表現すればいいのか沢山悩み、色々と勉強しました。不本意ながらエッチな映像も見ましたが、それよりは映画『ハッピーエンド』のチュ・ジンモ、チョン・ドヨンの妖艶なベッドシーンを参考にしました。実際に撮影するときは、最小限の女性スタッフだけが入るなど、監督が最大限配慮してくれました。だから、より多くの勇気を出せたし、恥ずかしいと思うよりも、集中してシーンを作れたと思います」

ソ・ゴヌは今年で30歳になった。今回の映画が映画デビュー作と言ってもいいほどだが、何だか遅い感じもする。俳優になる前に音楽を専攻していた時代があるためだ。

「大学時代までチューバを勉強しました。後になって進路を変えたのは、一生挑戦できる仕事をしてみたかったからです。音楽を専攻しながら演劇で活動しましたが、そのときに演技の魅力を感じたと思います。留学に行こうかとも悩みましたが、大胆に進路を変え、韓国芸術総合学校の専門士課程に入りました。これまで『ヴォイツェク』『泥棒ダイアリー』のような演劇やドラマ『彼らが生きる世界』、バラエティ番組『出発!ドリームチーム』に出演するなど、出発が遅れただけにあちこちドアをたたきました」

「整形外科医」で商業映画にデビューした感想はどうだろうか。

「ずっと音楽を勉強していたのに、俳優へと進路を変えたことに対し、心配に思ってくれている方が多かったので、今回のVIP試写会に皆さんを招待し、映画を見てもらいました。足りないところが多くて恥ずかしかったのですが、幸いにも沢山の応援と激励をいただき、何よりも面白かったと言ってもらえたので嬉しかったです。商業映画として『整形外科医』を楽しんでいただければ、それに越したことはないと思います」

記者 : チョン・ソナ