ハリウッド映画「ラストスタンド」キム・ジウン監督“韓国式はハリウッドでも通用した”

YONHAP |

「韓国映画の強みがハリウッドでも認められました」

韓国の映画監督として、初めてハリウッド映画のメガホンを取ったキム・ジウン監督は、韓国と米国の映画制作の方法が大きく異なり苦労したが、韓国的な特色を出すことができたと自信を見せた。

映画「グッド・バッド・ウィアード」「悪魔を見た」などで知られるキム・ジウン監督は、米カリフォルニア州前知事であり映画界に戻ってきたアクションスター、アーノルド・シュワルツェネッガーの復帰作「ラストスタンド」の監督を務めた。同作品は、退職を控えた田舎の保安官と麻薬王の対決を描いたもので、米国で18日(現地時間)に公開される。

映画公開を前に、プロモーションのため訪米中のキム・ジウ監督が14日、現地で記者会見を行った。

◆キム・ジウン監督との一問一答

―韓国の監督として、初めてハリウッド映画を演出した感想は。

キム・ジウン:私はハリウッド映画を見て育った世代だ。ハリウッドは世界の映画産業の中心である。韓国の映画監督がハリウッド映画を撮ったということは、韓国のサッカー選手や野球選手が英プレミアリーグや米メジャーリーグの選手になるようなものだ。嬉しくて光栄だ。その一方で、もっと努力すべき点があったのではないかという責任感も感じている。

―アーノルド・シュワルツェネッガーとの作業はどうだったか。

キム・ジウン:さすがハリウッドのトップ俳優という感じだった。さまざまなタイプの監督と作業してきたからか、監督が望んでいるものが何なのか、監督の注文が映画の目標にふさわしいのか、すぐに把握していた。最初のころはハリウッドの制作システムに慣れずに作業が遅れた。制作会社からもピッチを上げるよう催促されたが、アーノルド・シュワルツェネッガーは「監督はアーティストだ。十分な時間を与えるべきだ」と言ってくれた。おかげで乱れそうになったペースを整えることができた。

彼自身も久々の映画界復帰で不安な時期だったと思うが、無名の韓国の監督を信じてついてきてくれたし、声援と支持を送ってくれた。

―慣れるのに大変だったハリウッドのシステムとはどういうものか。

キム・ジウン:韓国では、監督の地位は帝王のようなものだ。意思決定構造が縦型なので、決定を下せば直ちにスタッフに伝えられて実行に移される。

ハリウッドでは権限が水平型だ。私は現場で多くのアイデアが浮かぶが、アイデアを実行に移すには、すべてに同意を得なければならない。時間は限られているのに、私の考えに対する反応を得るまでに時間がかかりすぎる。韓国では助監督が監督の味方だが、ここでは違う。監督は、韓国よりもさらに孤独だ。

それでもアイデアや考えを検証して共有することで、違う角度から見直すきっかけになった。監督として自身の考えをもう一度振り返り、考え抜く時間を持つようになった。

―言葉の問題はなかったか。

キム・ジウン:最初は言語が最大のハンディキャップだと思っていたが、本質をより早く伝える手段が映像だという事実に気が付いた。製作者のロレンツォ・ディボナヴェンチュラも言語以前の何かがあるということを知ったと打ち明け、俳優たちも同じように感じていた。

―韓国映画の制作ノウハウが役に立ったか。

キム・ジウン:韓国映画の強みを証明してみせるつもりだったので、撮影監督、音楽監督、そして現場の編集スタッフと共に(韓国からハリウッドに)来た。特に撮影現場での編集という概念は、ハリウッドでは非常に珍しいものだった。韓国人の仕事ぶりには皆驚いていた。ベテラン俳優のフォレスト・ウィッテカーは、撮影直後に編集された画面を見て「クレイジー」だと話し、「次に映画を撮るときは、現場での編集者をスカウトしなければ」と言っていた。

音楽も好評だった。韓国映画の力、資源、能力をアピールできたと思う。俳優もやはり韓国の俳優を使いたかったので、脇役だが重要な役どころであるFBI捜査官役にダニエル・ヘニーを起用した。

―韓国映画の制作方式が通用したとみているか。

キム・ジウン:ハリウッドでは見ることのできない新鮮なスタイルや作業方法を、ある程度組み込めたと評価している。私の映画を見て私を起用したのなら、韓国的なことを期待したのではないだろうか。そのような面では制作会社も配給会社も満足していると思う。

―演出で重点を置いた部分は。

キム・ジウン:この映画はアーノルド・シュワルツェネッガーの復帰作だ。彼は「ターミネーター」に代表される無敵のアクションスターだ。誰もが強力なアクションを期待したはずだ。期待通りパワフルなアクションに重点を置いたが、人間的な面や自然に年を重ねたアクションスターの姿も収めようとした。

欲望に向かって狂ったように突っ走る男たちを描いた「グッド・バッド・ウィアード」のアクションと比べると、今回は何かの価値を守らなければならないという内容だったので、アクションをより強めに描いた。

記者 : 聯合ニュース