「ウララ・カップル」必要なのは“冷やかし”ではなく“風刺”

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うまく包まれた不倫と二分法的な思考…コメディでは乗り越えられない限界

29日に放送されたKBS 2TV「ウララ・カップル」では、各登場人物のすれ違う感情と誤解、新しい出発とそれによる葛藤などが描かれた。

互いに体が入れ替わったヨオク(キム・ジョンウン)とスナム(シン・ヒョンジュン)は、妊娠をきっかけによりを戻すことにした。就職したスナムに代わってイルラン(ジュニ)が家事を担当することになり、ボンスク(チョン・ジェスン)は心配になる。ビクトリア(ハン・チェア)はヨオクの妊娠を知り、大きなショックを受ける。一方、ヒョヌ(ハン・ジェソク)はヨオクが離婚していると誤解し、一緒に暮らしたいという計画を話す。

ドラマが中盤に向かいながら、登場人物間の関係が複雑になりつつあるが、比較的適材適所に配置された俳優たちは自分の役割を演じこなしている。しかし、一部の設定で表れる脚本家の哲学には、完全に同意し難い部分もある。

写真=KBS

“憐憫(れんびん)”で包まれた“不倫”に当惑

ビクトリアは、二人の体が入れ替わったことを知ってからも「私が愛したのはあなたの暖かい心です。このような姿をしているからって、私の気持ちは変わりません」と話す。彼女は、自分の無分別な行動がひとつの家庭を壊していたということへの自覚すらない状態なのだ。

スナムは「君に心臓を移植する人が現れるだろう。もう自分の道を進んだ方がいい」と言いながらも、依然として葛藤する姿を見せた。その優柔不断な姿は、単純に妊娠によってヨオクとよりを戻すのではないかという疑問を見せた。

スナムは職場や外の出来事には忠実だが、家族の日常には無神経極まりない、思いやらなければならない対象を間違えた幼児的なキャラクターにすぎない。もともと人間的なところがある人だったならば、自分の妻と家族に対するこれまでの無礼さに対する理由はどこから探したらいいのだろうか。

家庭で自分をあまり着飾らないヨオクと続けて比較されたビクトリアは、愛されるしかない姿で表現された。そしてスナムに純情を捧げることで、無愛想なヨオクともう一度正反対の姿を見せた。そして結局彼女は、スナムの愛を独占するに至る。

ここで脚本家が表現したいのが、専業主婦も着飾らなければ夫の愛を失いかねない、というところだったかは明確でない。しかし、ビクトリアはルックスだけでなく、持病に辛い過去、さらには優しく純粋な心まで持ち合わせている設定で、ヨオクの美徳が特にないように描写しているのは、少し理解し難いところである。

写真=KBS

対象に対する直接的な冷やかし、風刺が失われた

「ウララ・カップル」ではこれまで、教養が学識や学歴、学閥に比例するという二分法的な思考ものぞかせていた。序盤でほぼ毎回、スナムはヨオクに「お前は高卒で教養も学もない」と追い立てる姿を見せた。ヨオクもまた、荒い口調をそのまま披露していた。

脚本家がドラマで学力社会を冷やかそうとしたならば、このような設定はナンセンスに近い。それにそのような姿が、夫の不倫を促すこともできるという偏見までさりげなく盛り込まれる懸念もあった。視聴者が加害者の視覚に感情移入するようにしているのではないか、注意すべきだ。

登場人物の台詞や状況などで不合理的な現実の姿が、風刺でなく、対象への冷やかしの形で表現されるのは望ましくない。幸いそのような設定は、二人が相手の立場になって考える時間が長くなることで、少しずつ改善されつつある。

ドラマは現実をそのままを描くものでなく、一種のファンタジーと見るにしても、現実に誤解される可能性のある間違った価値観は見直すべきだとの指摘だ。今後の「ウララ・カップル」が、これまでの楽しさに加え、コメディの本領である辛辣な風刺までしっかり見せてくれることを期待してみる。

記者 : ハン・ギョンヒ