「ウララ・カップル」コミカルに描く夫婦の成長物語

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写真=KBS

「ウララ・カップル」の人気の要因…笑いを誘うエピソードで共感を得る

近頃のようになかなか笑うことのない現実で、視聴者の心を引きつけるのはコメディドラマである。秋夕(チュソク:韓国のお盆にあたる祭日)や正月の連休に多くのコメディ映画が公開されるのは、家族で見る映画にはアクションや恋愛より、コメディが適しているということを証明する一つの例である。

KBS 2TV「ウララ・カップル」は、魂が入れ替わるという状況をコミカルに描いている。同じテーマを扱ったドラマ「ビッグ~愛は奇跡<ミラクル>~」がラブストーリーで視聴者にアピールしたことに対し、「ウララ・カップル」はコメディの要素で視聴者にアピールしている。そしてこれがなかなか功を奏しているようだ。

夫婦のコ・スナム(シン・ヒョンジュン)とナ・ヨオク(キム・ジョンウン)の魂が入れ替わることで起きるハプニングを見てみよう。まず、コ・スナムの体に入ったナ・ヨオクは、精神は女だが、生理的な問題は男の体で解決しなければならない。最初は自分の体が男だということを自覚せず、女性トイレに入って恥をかき、男性トイレに足を運ばなければならなかった。

そして、ナ・ヨオクはトイレットペーパーをつかんで用を足す。女のときの習慣が残っているからだ。立って用を足すことにも慣れていないため不便に感じる。生理的には不便な設定であるが、視聴者には面白い。夫の軽薄な行動を見て、“チョジル”(最低の意)ではなく“ズジル”という彼女だけの言葉で視聴者を笑わせる。

シン・ヒョンジュンの女性の演技と相乗効果を発揮するのは、男性を演じるキム・ジョンウンの演技だ。拍手は片手でできるものではないが、それと同じでシン・ヒョンジュンのコミカルな演技がキム・ジョンウンのコミカルな演技と調和してこそ相乗効果が発揮される。より大きな笑いを与えることができる要因は、男女のキャラクターの息の合った演技だ。

ナ・ヨオクの体に入ったコ・スナムは、足を開いて座ったり、母親をつい「ママ」と呼んでしまい、すぐに「お義母さん」と言い直す。タメ口を使っていた妹には敬語を使い、さらには妹に「皿洗いしろ!」と言い出したりする。また、ブラジャーが不便だと言ってはずし、「あ~、助かった!」と叫ぶのは、女性の身体的特性による制約からの解放をコミカルな設定を通じて描いたエピソードだ。

男と女の体が入れ替わったことで起きる数々のコミカルなエピソードの裏には、“相手の身になって考える”というテーマが隠されている。夫が妻の立場になり、逆に妻は夫の立場になることによってコ・スナムとナ・ヨオクは、お互いの口に出せなかった苦労を経験することになる。

ナ・ヨオクの体を借りたコ・スナムは、いくらやっても終わりがなく、やりがいもない家事との戦争で疲れ果てる。コ・スナムの体を借りたナ・ヨオクも、女性の目で見ると大したことではない仕事で真夜中にVIP顧客から呼び出される。お互いの体が入れ替わったことで、これまでには見えなかった相手の苦労がだんだんわかるようになるのだ。

「ウララ・カップル」は、コメディというジャンルを借りた夫婦の成長物語だ。体はもう成長することはないが、相手の身になって考えることで、夫婦は相手への理解の幅をより広げることができる。これまでは自分のことばかり考え、相手に対しては恨めしい気持ちしかなかった。このような状態では相手を理解するどころか、自分の希望や不満だけを主張するだけだ。

だが、今はお互いの体を通じて配偶者の苦労を直視することができる。その中で、これまでは気付かなかった相手への理解と配慮が芽生えることになる。特に、妻の立場をまったく知らなかったコ・スナムが妻の体になったときに経験するハプニングは、主婦の視聴者の共感を得るには十分だ。ナ・ヨオクとコ・スナムを通じて、視聴者は不満を満たすのである。

「ウララ・カップル」は、魂が入れ替わるというファンタジーを通じて相手を理解するという精神的な成長を見せるドラマだ。その上、視聴者の共感まで得ている。これこそ、コメディと精神的成長を通じて視聴者の共感や満足まで手に入れる一石三鳥のドラマではないか。

記者 : パク・ジョンファン