「嘆きのピエタ」イ・ジョンジン“簡単なことも、大変なこともなかったです”

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キム・ギドク監督がどんな人なのかは「強心臓」を見れば分かるはず!

今年の初めに映画「ワンダフルラジオ」が公開されて行われたインタビューで俳優イ・ジョンジン(34)に会ったときは、キム・ギドク監督の作品に出演するとは予想もしなかった。彼本人でさえ予想していなかったという。

それほど、映画「嘆きのピエタ」はイ・ジョンジンのこれまでの活動とは異なる。まだ公開を控えているが、この映画でイ・ジョンジンはベネチア国際映画祭のレッドカーペットを踏むことになった。予想もしなかった幸せな出来事であった。

3日、ベネチアへ向かう前にソウル三清洞(サムチョンドン)にあるカフェでイ・ジョンジンに会った。

―ベネチア国際映画祭に参加する感想は?

イ・ジョンジン:嬉しいです。まず誰でも行ける所でもないし、俳優として参加できて本当に嬉しいですね。新しい経験をするということで少し興奮しています。目的のためではなく、これまでとは違う新しい経験ができると思います。思う存分楽しみたいですね。オリンピックでもないし、そして韓国映画が7年ぶりに(「嘆きのピエタ」は「親切なクムジャさん」(2005)以来、7年ぶりにベネチア国際映画祭のコンペティション部門に招待された)公式招待されたので、映画祭に招待されただけでも満足しています。

―キム・ギドク監督&俳優イ・ジョンジン、二人がタッグを組むとは思わなかったが?

イ・ジョンジン:僕も思ってもいませんでしたよ(笑) キャスティングや撮影は急いで行われました。撮影開始2週間前に台本をいただきました。台本を読んで3日後に監督に会いました。撮影開始まで11日が残っている状況でした。監督に「監督、台本を読みましたが、撮影はいつからですか」と聞いたら、監督は「撮影開始まで10日ぐらい残っていますね」とおっしゃいました。僕が「はい?もう少し時間をください」と言ったら、監督は「あなたならできますから、予定通りにやってください」とおっしゃいました(笑) でも、何より他の俳優ではなく、僕に「嘆きのピエタ」の出演オファーが来たというのが嬉しかったですね。一番先にシナリオをいただいたので、他の俳優は「嘆きのピエタ」のストーリーは知らないと思います。

―キム・ギドク監督の第一印象は?

イ・ジョンジン:キム・ギドク監督といえばまず作品を思い出しますね。実際会ったことがないから、監督独自のスタイルのように少し変わった視点で考えたり、暗い人だと思いがちですが、本当に普通の人ですよ。人に会うのが好きで、5分でも監督と話すと、その偏見は破られます。たぶん「トークショー!Do Dream」や「強心臓(カンシムジャン)」を見れば「あの人があんな映画を作るんだって?」と驚くと思います。

―キム・ギドク監督の新しいペルソナになった感想は?

イ・ジョンジン:まだ分かりません。映画が公開されてベネチア国際映画祭に参加して帰ってきたら実感できると思いますが、今は分かりませんね。

―「嘆きのピエタ」のシナリオにはこれまでのキム・ギドク監督の作品のように拒否感を感じたところはなかったのか?

イ・ジョンジン:まったくなかったですね。ただ“僕にできるのか”と、僕自身に疑問を抱いただけでした。準備できる時間が足りなかったから。短い期間に高い集中力で撮影に臨みました。映画が公開されたら分かると思いますが、ベネチア国際映画祭に招待された作品を僕が満足できないとは言えません。

―ガンドという人物を演じる上で一番苦労したことは?その人物を理解するのは難しくなかった?

イ・ジョンジン:すごくエネルギーが必要です。アクションのような肉体のエネルギーではなく、静的な映画にも関わらず、すごくエネルギーが必要な作品でした。ガンドという人物を理解できなかったら、撮影できなかったはずです。初めに監督とガンドという人物について色々話し合いましたね。残酷な罪を犯した犯人が悪い人であることは分かりますが、「それであんなことをしたんだ」と思いますよね。ただ僕がそうしないだけ。また人はみんな違いますから。要するに、簡単なことも、大変なこともなかったです。

―ベネチア国際映画祭に参加した後、イ・ジョンジンの今後が期待されるが?

イ・ジョンジン:分かりません。確かなのはより多くの作品で観客に会えるのではないかということですね。思い残すことのないよう楽しみたいです。

インタビュー中、彼の回答の多くは「分からない」だった。映画への観客の反応も、キム・ギドク監督の新しいペルソナになった感想に対する質問にも、そして今後の活動、「嘆きのピエタ」の出演が彼にとってどういう意味を持つのかという質問にも彼は「分からない」と答えた。

彼が分からないように私たちもまだイ・ジョンジンについて分からない。映画「嘆きのピエタ」の公開後、イ・ジョンジンの新しい姿が発見できるのではないかと期待されているのも彼のことをよく分からないからではないだろうか。

映画「嘆きのピエタ」は9月6日に韓国で公開された。

記者 : ペ・ソニョン