「10人の泥棒たち」キャラクターは斬新、ラブストーリーは“まあまあ”

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恋に弱い泥棒?クールな犯罪ストーリーだったら?

商業映画は面白くなければならないのは当然のことだが、最近の映画では面白くない現実が描かれたりした。この映画は現実味には欠けるが、興味深く描かれたストーリーと魅力的なキャラクターがいる。チェ・ドンフン監督の前作においてもストーリーやキャラクターに目新しさがあった。

「ビッグ・スウィンドル!」のパク・シニャン、「タチャ イカサマ師」のキム・ヘス、「チョン・ウチ 時空道士」のカン・ドンウォンがそうだった。「10人の泥棒たち」で話題になったチョン・ジヒョンやオ・ダルスの他、ダイアモンドの偽物を作る男性、中盤以降のストーリーの“カギ”となる韓国人女性などの登場人物が目を引く。

300億ウォン(約20億円)もの宝石を手に入れるために、様々な人物が互いを騙し合っていくストーリー。この映画の長所は、引き続き展開が知りたくなるストーリーの力にある。

シナリオ理論では、観客にはあまり早く公開してはいけないという法則がある。この映画はシナリオ理論に忠実で、最後には観客の予想を超えた、自由なストーリー展開で終盤に向かう。マジシャンが派手なジェスチャーと弁舌で人々を騙すように、この映画は登場人物の面白いセリフ、専門的な行動(キム・ヘスが金庫を開ける場面など)、初めて登場する人物の過去の話で、観客を欺く。

一方、この映画の短所は長い上映時間だ。序盤までは早いテンポで展開されるが、中盤に入ってから、特にマカオのカジノで財産をはたく場面から少し退屈になる。進歩や変化がないものではないと信じたが、この映画も完全に目新しい形式ではない。人物の面白いセリフだけでは、2時間を越える時間を退屈せずに埋めるのは難しいことだ。

アクションとラブストーリーは申し分なく混ざっているが、この点が映画の短所にもなる。チョン・ジヒョンの綱渡りや、イム・ダルファの片手で自動車を後進させながら、もう一つの手で銃を打つなどのアクションは素晴らしかったが、その他の銃撃戦や、キム・ユンソクのロープを利用したアクションなどはあまり特色のないものだった。

チェ・ドンフン監督によると、この映画はラブストーリーから始まったという。だからなのか“泥棒たち”は恋愛には弱い存在として描かれていたりする。ところが、結局、他の映画のように男女の恋によってすべてが理解できるようなものとして解釈される余地があるのは、この映画の斬新さや愉快さに比べると、古い感じがする。

ダイアモンドだけでなく、人の心をも盗む泥棒もいるということを見せるためなら、言うことはあまりない。また、ロマンスがあってこそ、この映画がもっと面白くなったと主張するのなら、異議を申し立てる気もないが、男女の登場人物間のロマンスがなく、クールかつ素敵な犯罪ストーリーであったら、という物足りなさは残る。

記者 : ソ・サンフン