江南スタイル?……“プロポーション”が違うんです!

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芸能記事の花“空港(韓国語:ゴンハン)ファッション”について書きたいのですが、空港に行く時間がありません。ファッションの話をしたいのですが、ファッションのことは何もわかりません。オートクチュール(高級オーダーメイド)やプレタポルテ(高級既製服)のランウェイにだけファッションが存在するわけではありません。時には私達を“あっ”と驚かせるアイテムでも、キャラクターをよく表現しているファッション、しばしばその年のSpring/Summer、Fall/Winterコレクションのトレンドからは外れていても笑わせてくれるファッション、これを“恐慌(韓国語:ゴンファン)ファッション”と呼ぶことにしましょう。―編集者コメント

写真=YGエンターテインメント

PSY「江南スタイル」は資本主義と欲望を象徴する街に対する遊び

地域色を強調した“江南(カンナム)スタイル”は、江南に住んでいたり、江南を主要な活動場所にしている人たちのファッションとライフスタイルのことである。“江南”とは、ソウルの漢江(ハンガン)の南側を意味するが、主に江南区と瑞草(ソチョ)区一帯を総称する。地価が高いことで有名な“一等地”であるだけに、江南スタイルという言葉そのものが“富”を象徴する。さらに派生語としては、町の名前が付けられた“清潭洞(チョンダムドン)ミョヌリ(嫁)ルック”がある。

江南がファッション先進の街になったのは、1980年代半ば以降である。江南区狎鴎亭洞(アックジョンドン)に高級ブティックが軒を連ねる“ロデオ通り”が出来ると、当時、最もホットなスタイルの新人類“オレンジ族”の活動場所となった。

1990年代後半になると、江南スタイルは、江北(カンブク)スタイルとは対照的なファッションとして確固たるイメージを構築していった。その違いが顕著に表れたのが、制服である。ズボンやスカートの幅が細いほど美しいと思われていた江北で、一度着ると脱げないほど窮屈な制服が引き起こす血液循環障害が訴えられているとき、ヒップホップを取り入れた江南ではゆったりした制服にドクターマーチン(Dr.Martens、当時流行していたシューズブランド)を履いて街を掃除していた。

外国製のスポーツカーに乗り、気に入った異性に「ヤ、タ!(おい、乗れよ!)」と“相乗り”を誘う“ヤタ族”の時代から、江南スタイルはずっと富を誇示してきたが、階層間、地域間のファッションの境界が曖昧になった今、江南スタイルは、富を自慢するよりも、センスと余裕を重視する傾向にある。

2012年、PSYとユ・ジェソクが提案する“江南スタイル”

写真=YGエンターテインメント
PSYの新曲「江南スタイル」で「昼はコーヒー1杯の余裕を楽しめる品格ある女性だが、夜になると胸が熱くなる」という歌詞のように、二面性がギャップのある魅力として歌われている。つまり、昼間は食事代より高いコーヒーを楽しむ時間が十分にあり、暗くなるとクラブに繰り出すという“夜を楽しむ人生”が浮き彫りにされている。

「オッパ(“兄”の意。女性が親しい年上の男性やスターを呼ぶ呼称)は江南スタイル」とアピールするPSYは、ミュージックビデオで高級感のあるスーツを選んだ。トップスはすっきりとした白のワイシャツだが、ボトムはカジュアルな十分丈のパンツや半ズボン、スニーカーを合わせた。上流階級のスポーツ、乗馬を象徴する激しい“馬ダンス”を踊ることができる、リラックスしたスタイルだ。

「筋肉より思想がごつごつ」しているDラインのプロポーションのせいで、今にも取れそうなボタンを気にも留めず、ジャストサイズで着るのがポイントだ。特に大量に汗をかくことを考慮した袖なしのワイシャツは、いまやPSYのファッションにはなくてはならないアイテムと言える。

一方、ミュージックビデオに登場するユ・ジェソクのファッションは、過去のオレンジ族へのオマージュに見える。上下の服はもちろん、スカーフとスニーカーまで蛍光イエローで揃える徹底ぶりだ。バッタの目のようなサングラスに、この日の撮影のためにユ・ジェソクが持ち込んだというおかっぱのカツラが、レトロファッションを完成させている。

写真=YGエンターテインメント
最近、イ・ジョクと一緒に「たるんだかたつむり」として活動し、「狎鴎亭の遊び人」「部屋の隅の遊び人」をヒットさせている。それだけに、ユ・ジェソクは高級さよりは俗っぽく、派手な“遊び人”としてのスタイルを強調しているが、有名ブランドのスーツよりよく似合っているところが悲しい。江南の中でも清潭洞と狎鴎亭に分かれて心理戦を繰り広げるような二人のダンスバトルが、「江南スタイル」のミュージックビデオのハイライトである。

“江南スタイル”と主張はしているが、このミュージックビデオの誇張されたファッションとバッタダンス、乗馬ダンスなどの昔のダンスは、かえって資本主義と欲望を象徴する街“江南”を風刺している。少数の選ばれた者たちのライフスタイルが、ギャグと真似しやすいダンスとして表現され、違和感は愉快さに変わる。

これも皆、PSYとユ・ジェソクだからこそ可能なことである。彼らのようなファッションで江南には行かないことにしよう。特に「紳士の品格」の“江南スタイル”と大きく違うと問い詰めないように。彼らのファッションを完成させているのは、顔と“プロポーション”なのだから。

写真=SBS

記者 : イ・ヒョンジン