「ファントム」女優の無念な死…暗闇の中の“幽霊”

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写真=SBS

事件の裏に隠されたオンライン犯罪と陰謀の展開に注目

性接待の騒ぎで苦しんでいた女優が、自宅で飛び降り自殺を測った。単純な自殺で片付くかに見えたこの事件は、怪しい動画により自殺でない他殺の可能性が提起され、捜査が再開される。警察が追跡した、女優を殺害した有力な容疑者は、天才ハッカーの“ハデス”。調べてみたところ彼は、サイバー捜査隊のチーム長キム・ウヒョン(ソ・ジソブ)と警察大学の同期で、新聞社を運営しているパク・ギヨン(チェ・ダニエル)だ。

一時は友達だったが、今は有力な容疑者として対面した場で、ギヨンはウヒョンに女優シン・ヒョジョンを殺した犯人は自分ではないと否定する。自分は誰かに頼まれ“ファンダム”という名前のファイルを探して欲しいと依頼されただけで、彼女の死とは何ら関係もないと言う。しかし、それまでサイバー捜査隊に集められた証拠を総合してみると、有力な容疑者はパク・ギヨンである。

キム・ウニ脚本家の前作「サイン」のように、30日に放送されたSBS水木ドラマ「ファントム」のスタートを切ったのは、ある芸能人の無念な死だった。それも、脚本家がドラマチックな効果を高めるために作り上げた設定ではなく、実際に起こった事件をもとに再構成した物語だ。実際の事件とドラマの中のエピソードには相当な差があるが、解けないまま残っていた芸能人の死の裏に潜む膨大な陰謀を通じて、闇雲に行われている有名人への悪質な書き込みや噂の攻撃性などを取り上げ、人々を戒めている。

第1話で“女優の死は他殺”と結論づけたので、残る謎は誰がシン・ヒョジョンを殺したか、そして探されているファイルとは何だったのかだ。しかし、遺体の解剖だけで毒物による殺害であることを明かしたにも関わらず、巨大な権力の前にひざまずくしかなかった「サイン」のユン・ジフン(パク・シニャン)のように、「ファントム」のウヒョンもシン・ヒョジョンを殺した犯人が誰かを見つけても最終話までにそれを明かすことが出来ない可能性が高い。

ここで最も意外な人物は、女優の殺害動画と共に自分がハデスということを明らかにしたパク・ギヨンである。自殺で早く片付けられる予定だったシン・ヒョジョン殺害事件が他殺であることを、世の中に積極的に知らせたパク・ギヨン。そして彼はウヒョンに犯人が“世界地図が描かれている時計”をつけていることを親切に耳打ちする。同時に警察を装い、悠々と警察庁に入る、掴みどころのない行動を見せる。

依頼人が要求したファイルの正体を明かそうと、長い間隠していた自分の正体まで明かしたパク・ギヨン。誰かの子供を妊娠しており、死ぬ直前“8時のニュース”の編集長にメールを送っていたシン・ヒョジョン。果たして一人の女優を無念な死に追い込み、自殺で片付けようとさせた“ファイル”の正体は何なのか。

また、色んな小説を通じて社会に潜む陰謀を明かし、自分の正体が暴かれ絶体絶命の瞬間にもファイルの追跡に死力を尽くすギヨン。もしかするとこれは、シン・ヒョジョンを直接死に追い込んだ犯人を明かしたいと同時に、匿名性に隠れて彼女を死に追い込んだ者たちへの、天才ハッカーならではの正義の実現ではないのだろうか。

記者 : クォン・ジンギョン