結局「ファッションキング」とは誰のことなのか?

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※この記事にはドラマ「ファッションキング」の結末に関する内容が含まれています。
写真=SBS
ヨンゴルを狙った銃が発射された。電話の向こうから銃声を聞いたガヨンは「会いたい」と言いながらさびしく微笑んだ。8年前、一人の女が自身を撃った男に「愛してます」と告白して死んでいったドラマ「バリでの出来事」の衝撃的な結末は、このようにセルフリメイクを完成した。

SBS「ファッションキング」の最終話は、何者かに銃を撃たれたヨンゴル(ユ・アイン)の死で終わった。ジェヒョク(イ・ジェフンの方)のJファッションの攻撃で多くのものを失い、身を隠したヨンゴルは、1ヶ月後ガヨン(シン・セギョン)に「米国に来て」という手紙とともに飛行機のチケットを送ったが、ジェヒョクが先にその手紙を郵便受けから取り出し、ガヨンの手に渡ることはなかった。

ガヨンは手紙の中の「愛してる」という告白を見ることができず、自身から離れたヨンゴルの代わりにジェヒョクを選ぶ。そのため視聴者の間では「ガヨンがヨンゴルを殺すために人に依頼した」という推理も出ている。


ニューヨークで出会い、ニューヨークで破滅した若者たち

「カン・ヨンゴル、夢に向かって走る」「イ・ガヨン、君とともに走る」「チョン・ジェヒョク、君のために走る」「チェ・アンナ、強くなるために走った」

信じられないかもしれなが、この連続するダイナミックな“走り”は「ファッションキング」の登場人物の説明文から抜粋したものだ。「ファッションキング」第1話の放送を控えて開催された制作発表会でこの文章を見て「どうして走りがこんなに多いのか」と笑ったが、一方では20代の若者たちが吹き出す情熱が期待された。だが、その走りの目的地は結局痴情のもつれによる死だった。

すべての話を痴話喧嘩に集中させたと言っても過言ではない同ドラマで、最初からファッションは大きな関心事ではなかった。誰かが死んでこそ終わる切ない若者の四角関係や、階級構造による敗北感があるだけだ。

それで「ファッションキング」を、その題名通り激しいプロの世界を描いた専門ドラマや“走って走る”20代の成長ドラマだと期待して見れば、“メンタル崩壊:新語で、ビックリすることなどによって、気を失いそうな時に使う言葉”に陥るしかない。

“ファッション”はさておき、ここからは“成長”も見当たらない。第1話でジェヒョクに3000万ウォン(約204万円)を借りに行き、恥をかいたヨンゴルは、最終話で再び自身を破滅させたジェヒョクに「2億、いや1億だけ」とお金を要求した。野心的に跳躍した東大門(トンデムン)の社長カン・ヨンゴルは、結局大企業の理事、チョン・ジェヒョクの力で全てを失った。「ファッションキング」になる可能性が一番大きかったガヨンは、二人の男の間を行き来しながら“ミルダン(駆け引き)王”になり、二人の男に捨てられたアンナ(少女時代 ユリ)は四角関係の犠牲になって離れた。

バリで会ってバリで破滅した「バリでの出来事」の4人の男女のように「ファッションキング」の若者たちもニューヨークで会ってニューヨークで最後を迎えた。もしかすると、予告された結末だったのかもしれない。すでにドラマ序盤のニューヨークロケの時に、最後のシーンまで撮ってきたという具体的な推測までする必要もない。

2012年にはこれ以上“稚拙”な人々が受け入れられないのだろうか。それとも「ファッションキング」が8年前の「バリでの出来事」から一歩も進展しなかったのだろうか。“稚拙さ”が問題になったようではない。主人公が稚拙だとしても、全ての話が稚拙になるわけではないからだ。

いや、他のものはさておき、結局「ファッションキング」というのは誰のことなのか。「ファッションキング」の教訓が“嫉妬は自分の力”や“お金の勝利”、“重要な郵便物は書留で送ること”などになるのは困るのではないだろうか。

記者 : イ・ヒョンジン