「ファッションキング」残念な退場“ファッションはどこに?”

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※この記事にはドラマ「ファッションキング」の結末に関する内容が含まれています。
写真=「ファッションキング」 スクリーンショット
SBSドラマ「ファッションキング」が、カン・ヨンゴル(ユ・アイン)の悲劇的な死を最後に全20話のストーリーを終えた。

同ドラマは、ファッション業界で世界に羽ばたく若者たちの挑戦や成功、恋愛、欲望を描くという抱負のもと、大きく幕を開けた。ユ・アイン、シン・セギョン、イ・ジェフンに少女時代のユリなど、最近勢いに乗っている若手俳優らをキャスティングしたことや、ドラマ「バリでの出来事」を手がけた脚本家の作品であるということから、多くの期待が集まった。

劇の序盤にはスピーディな展開や暗い現実を生きる若者たちの姿を描き、今後のストーリーの展開へ期待が高まった。ユ・アインやシン・セギョン、イ・ジェフンなど役者たちの演技力も非の打ち所が無かった。しかし、東大門(トンデムン)からニューヨークのファッション街を行き来し、大きく幕を開けた同ドラマの“ファッションの世界”は、ガヨンとヨンゴル、ジェヒョクとアンナの間で進展のない恋愛が繰り返されるうちに、ただの恋愛の舞台に転落してしまった。

もちろん実力や努力で立ち上げた会社を乗っ取ろうとする大手企業の資本による横暴や、業界の理不尽な現実を描こうとしていた意図が、ドラマの中で意味深く描かれていたのも事実だ。しかし、その過程の構成が緩んでいたことが問題だった。財閥の御曹司のジェヒョクと東大門出身のヨンゴルの対立を、マイペースなガヨンとの恋愛に焦点を合わせず、もっとビジネス的な部分から緻密で重く描いていたならという物足りなさが残る。

ファッション以外にも、四角関係の恋愛模様を引き立たせ、ラブストーリーの面で視聴者の共感を得て成功していたならそれで良かったが、同ドラマはラブストーリーとしても不十分であった。ヨンゴルとジェヒョクの間で二人の男性を動揺させ、見ている視聴者さえも疲れさせてしまったガヨンの行動には、悲恋のヒロインへの同情の視線よりも“マイペースで相手を弄ぶ”という冷たい視線が集まった。

男性主人公のヨンゴルも同じだ。ファッションにおいてもラブストーリーにおいても、道を迷っているようなリアリティに欠けるストーリー展開には、成功と没落を通じて大きな心理的葛藤を経験することとなるヨンゴルのキャラクターに共感できるような説得力がなかった。また、何か大きな対立の軸となりそうに見えたチョ・スニ(チャン・ミヒ)とガヨンの悪縁も、うやむやになってしまった。チャン・ミヒのカリスマ性が期待されていた悪女のチョ・スニのキャラクターは空しく存在感を失い、これといった活躍を見せることはできなかった。

ファッション業界を舞台に青春の挑戦や成功、恋愛、欲望を描くといった大きな試みは、結局どれも成功を果たせず、ファンに歯痒い気持ちを残したまま幕を下ろした。

記者 : ハ・スナ