“あんな”パク・ヘイルが“さすが”パク・ヘイルへ

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写真=ロッテエンターテインメント

「恋愛の目的」の変態男が…

映画「ウンギョ」の予告編の公開とともに、注目を浴びている人物がいる。70代の老人への大変身を試みた俳優パク・ヘイルがその主人公である。

撮影のたび10時間にも及んで老人の扮装をしたという彼は、指の皺一つまですっかり老人の姿をして、変身に挑んだ。しかも、主人公のイ・ジョギョ詩人(パク・ヘイル)が頭を剃るシーンを演技するために、実際に頭を剃ったというので、その情熱には驚くばかりである。

だが、パク・ヘイルに対しては「変態男を素知らぬ顔で演じる俳優」という印象が強かった。「あいつ何?」「一体何が言いたいわけ?」と苛立ちながら見た映画「恋愛の目的」は、しっくりこない映画だった。その後見るたびにパク・ヘイルは毎回違っていて、映画の中の高校教師は、彼によって繊細に練り直された人物だと感じるようになった。

感情の起伏が激しく、まとまりのない性格に“わがまま”で向こう見ずで、恋愛さえも“あんな”ふうに飛びついてくる人物だった。そんな姿に観客は失笑しながらも、ついハマってしまう。女性を口説き落とそうとして思うままにならないと、悪態をつき、吐く言葉も「奇想天外無作法」な人物である。そんな役を演じこなすパク・ヘイルはなかなかの手腕の持ち主である。

写真=映画「恋愛の目的」
ネクタイを緩めただらしない身なりで、自分は口説くつもりで言い寄ってみるが、本当はイライラ爆発寸前の「格好悪い男」の悲哀には失笑が漏れる。しかも、無鉄砲で卑屈な彼の姿に、最後には哀れみまで感じてしまうのは、戦略家パク・ヘイルの演技のおかげである。彼によって、この映画は独特なイメージを創りだす。

似たようなものとして「モダンボーイ」もある。また「黒く濁る村」では真面目で純粋は姿を披露し「この俳優は一体どこまで変身するんだ?」と思わせる。

あまり目立たない容姿。だからこそ、演技1つだけで俳優パク・ヘイルの顔は再設定される。ある時は底を知らぬ憂鬱さで心をかき回し、ある時はニヤニヤと笑ってとんでもない状況に観客を陥れる。小学生がスケッチブックに大きく名前を書いたようなサインが話題になった時は「日常そのものが設定じゃない?」と思うくらい自己管理も独特である。

次回作の「人類滅亡計画書」では、声の主人公として登場するそうだが、それもなかなか気になる。2050年、悟りを得て、僧侶に説法をする境地に達したロボット。その声の主がパク・ヘイルだそうだ。斬新で、独特なストーリーになりそうで楽しみであり、分かるようで分からない役を演じてきた彼の映画人生も豊かになる感じである。そして、その名前のように、観客に感動のヘイル(津波という意味の韓国語)を起こす俳優になってくれることを期待したい。

写真=映画「少年、天国へ行く」

記者 : チョ・ウルヨン