イ・ビョンホン「ハリウッド…一度も夢見たことがなかった」

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少年が笑っている。40代の少年だ。イ・ビョンホンは「王になった男」の王ではなく、少年のように王子様のように笑った。少年と大人の境界線に立っていた90年代ハイティーンスターイ・ビョンホンの爽やかな笑顔が思い出されるほどだ。彼は、少年から大人になるまで、ハイティーンスターからワールドスターになるまで「自分には夢がなかった」と強調する。一度も夢を見たことがない、ただ現在を一生懸命生きるだけだと。

久しぶりに会ったイ・ビョンホンは格好よくグラビア撮影を終えた後も、数日前BIGBANGのT.O.P(本名:チェ・スンヒョン)と夜遅くまでお酒を飲み、体調も顔もめちゃくちゃだと弱音を吐く。ドラマ「IRIS -アイリス-」の縁で仲良くなったT.O.Pとは歳が17歳も離れているが、互いに気の合う友だちのように感じると言った。

「スンヒョンは平凡ではない精神世界を持っています。そのためか、スンヒョンとは世代の差を感じません。たぶん好きなことが似ているためではないかと思います。二人とも映画が好きでコーヒーやワインが好きで……趣味が同じなためでしょう」

今年でデビュー23年目を迎えるイ・ビョンホンは、依然としてT.O.Pと会話が通じるほど少年のような姿を持っている。また、23年前の20歳の時も、23年後の今も、きれいな歯を見せて笑う素敵な笑顔には変わりがない。

ハリウッドのハンドプリントを羨ましく思っていた少年が、17年後に自分の手形を刻む

ハリウッドに遊びに行った時、スターたちの手形の上に自身の手を当てて見ながら羨ましいと思った時があった。25歳の頃そんな彼が、17年経過してからハリウッドのチャイニーズシアター名誉の広場に自身の手形を残すワールドスターになった。

チャイニーズシアターはハンドプリント対象者の選定に厳しいことで有名であり、チャイニーズシアター前の面積が限られており、アジア俳優としては初めて手形を残したというのは確かに栄誉で誇らしいことだ。ハリウッドで手形を残した時と、ブルース・ウィリス、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、ジョン・マルコヴィッチ、アンソニー・ホプキンス、ヘレン・ミレンが出演した「REDリターンズ」へのキャスティング決定のニュースを聞いた時の嬉しさのうち、どちらが嬉しかったかと聞くと、彼は1秒の迷いもなくハンドプリントだと答えた。

「わぁ!僕がハンドプリントをするなんて……『RED/レッド2』にキャスティングされたことを聞いた時より10倍は嬉しかったです。僕の人生でこれまで感激的で幸せな瞬間があったかと思うほどでした」

エンドクレジットに刻まれた業績

イ・ビョンホンは「G.I.ジョー」に続き「G.I.ジョー バック2リベンジ」(以下、「G.I.ジョー2」)でもストームシャドーを演じた。彼が演じたストームシャドーはテロリスト集団コブラの復活をリードする中心メンバーで、秘密兵器として機敏な動きや優れた剣術の実力を持っている人物だ。ハリウッドでの3番目の出演作である「REDリターンズ」は引退したCIA捜査官がもう一度集まってヨーロッパ全域にある敵を倒すという内容のアクションコメディだ。「G.I.ジョー2」に続き再びブルース・ウィリスと共演した彼はこの映画を通じて新たな魅力を披露する予定だ。

特に「REDリターンズ」を通じて彼はかけがえのない経験と業績を成し遂げた。ブルース・ウィリス、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、ジョン・マルコヴィッチ、ヘレン・ミレンが出演した「REDリターンズ」(米国で8月2日公開予定)のエンドクレジットの5番目に自身の名前を上げた。

「『REDリターンズ』撮影初日、ブルース・ウィリス、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、ジョン・マルコヴィッチ、アンソニー・ホプキンス、ヘレン・ミレンがいました。ものすごい役者達じゃないですか。彼らに圧倒されることを恐れるよりは、彼らと気軽に近くなりたいと思いました。彼らに『一緒に写真でも撮りましょうか』と言おうかと思いました。ハハ」

今でもドキドキする撮影現場だ。しかも、ブルース・ウィリスとは相次いで2本の映画を撮影し、格別な縁まで結んだ。

「仲良くなったというより僕に特別に気を遣ってくれたと思います。会うたびに丁寧に握手して頭を下げて挨拶までしてくれました。韓国を“東方礼儀之国(礼儀をよく守る東方の国)”だと知っていたためか、いつも礼儀を尽くしてくれました。また、一緒にビビンバ弁当を食べながら映画についてもたくさん話し合いました。ああ、それから映画「王になった男」のイギリスプレミアの時は「REDリターンズ」チームのせいでびっくりすることが起きました。「REDリターンズ」チームを招待はしましたが、期待はしていませんでした。しかし、ブルース・ウィリス、ジョン・マルコヴィッチ、ヘレン・ミレンが参加してくれたのです。特に、ヘレン・ミレンは「王になった男」を見て1ヶ月間「REDリターンズ」の撮影場で会うたびに「王になった男」の話をしました。「演技がいい。いい作品だ」と耳にたこができるほどいい話をたくさんしてくれました。正直印象が冷たいほうで近づきにくかったのですが、映画の話をしながらだいぶ仲良くなりました。怖そうな印象とは違って非常に温かくお母さんみたいな感じでした」

夢より現在

3本のハリウッド出演作で、彼は筋肉を作って自分を厳しく管理した。筋肉一つを作るにもコンセプトによってサイズを決めるほど徹底的に作った。彼は「REDリターンズ」撮影時に撮った上半身の露出写真を自慢した。

「『REDリターンズ』で見せた上半身の筋肉は『G.I.ジョー』の時より小さい筋肉がたくさんありました。『G.I.ジョー2』の時は復讐の刃を研いでいたため、筋肉をもっと強化して強い印象を与えたかったです。それで毎日食事を5食に分けて鶏のむね肉とサラダだけ食べました。最後は本当に吐きそうになりました」

そのため映画の撮影が終わってすぐニューオリンズに1つしかない韓国レストランに向かった。映画の撮影中に我慢していた食欲とノスタルジーを解決するためだった。彼はとても現在を大事にする役者だ。いつも計画と夢がないと言っているが、誰より大きなステージで活躍している。最終的なゴールはハリウッドではないという。依然としてハリウッドの扉を叩いてみて「これは何だろう」と気にしながら前に進んでいるという。

「依然として言語の壁が大きなハンディキャップになっていることを感じます。僕は韓国映画をする時もっとも輝いてエネルギーが溢れます」

いつだったか彼はハリウッドに進出したついでにアカデミー主演男優賞を受賞したいと述べたことがある。「アカデミー主演男優賞発言は、人々が僕への期待感が高くなれば、それで僕がハリウッドに先に進出した先輩としてアカデミー主演賞の感想とかを述べることができたら、後輩たちがより簡単にもっと大きなことを成し遂げられるのではないかと思って言った言葉です」

そんなイ・ビョンホンに夢は何かと聞くのは愚かな質問だ。学生時代も10年前も今も夢はない。彼自身も計画や夢もなくここまで来られたのは皮肉だと言う。遠い未来は見なかった現在に集中し、一度も休んだことがなくいつも充実していた。そうしているうちに一度も夢見たことのないハリウッドに進出し、そこのスターと肩を並べるチャンスを掴んだ。夢はないが願いはある。観客がいつも気にしていて作品で会いたいと思う俳優、そしていつも人々が待っている俳優として残ってほしい。

記者 : @star1