【バラエティレビュー】溢れるヒーリング番組の中で「サンキュー」が際立つ理由

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「サンキュー」には「ラジオスター」を凌駕するゲストがいる

現在放送される数多くのトークショーの中で一番個性の強い番組と言えば、MBC「黄金漁場-ラジオスター」(以下「ラジオスター」)が挙げられる。何度も危機を経験した「ラジオスター」は、全般的にトークショーが低迷した状況でも自身だけの特色を維持し、相変わらず人気を得ている。その理由には色々あるだろうが、何よりもゲストの組み合わせが目立つ。

よく知られた通り、「ラジオスター」に著名人や有名なスターが登場することはめったにない。その代わりに最近テレビに出演しなかったり、一人でトークショーに出演するにはどこか重量感が足りないゲストが一つのテーマの下で出演する。たとえば今年初め話題を呼び起こした「スキンヘッド特集」のホン・ソクチョン、ヨム・ギョンファン、ショーン・リー、ユン・ソンホは、皆スキンヘッドという理由だけで一緒にゲストとして出演した。また、一番最近放送された「1世代アイドル特集」ではH.O.T.、SECHSKIES(ジェクスキス)、god、NRGの中で一番人気がなかったメンバーたちを招待した。

だが、「ラジオスター」の特技と言える“ゲストの組み合わせ”を凌駕する番組が登場した。SBS「サンキュー」がその主人公である。

写真=SBS

ゲストが主導する雰囲気…「サンキュー」が際立つ理由

漫画家イ・ヒョンセ、写真作家キム・ジュンマン、野球選手パク・チャンホ、俳優チャ・インピョが出演した前回の放送も驚くべきものだったが、15日の放送はそれこそ「サンキュー」でなければ見られないゲストが出演したような気がした。BIGBANGのG-DRAGON、バレリーナのカン・スジン、お笑い芸人のキム・ミファがチャ・インピョと済州道(チェジュド)にヒーリング旅行に行ったのだ。

同日ゲストに招待された3人はステージの上で生きていく点を除いたら、いかなる共通点やつながりも見つけにくい。だが、逆に考えてみれば単独でトークショーに出演し、1時間以上番組をリードしていけるほど有名でスター性のあるゲストであることは間違いない。社会の著名人や有名スターでないゲストの組み合わせが「ラジオスター」だけの差別化戦略なら、同日の「サンキュー」は「ラジオスター」でも試みたことのない組み合わせを見せたと言える。

ゲストの名声を考えれば、同日「サンキュー」の視聴率が5.3%に止まったことは残念だ。だが、その3人がなぜ「サンキュー」に出演したのかは一度考える必要がある。

癒されたいなら一人でスポットライトを浴びる「ヒーリング・キャンプ」があるし、本音を全部打ち明けたいと思ったら「ヒザ打ち導師」もある。その他にもトークショーとバラエティーを合わせた様々な番組があるが、あえて3人は「サンキュー」を選んだ。ここに「サンキュー」という番組が持つ独創性がある。

旅行のコンセプトを掲げた「サンキュー」は、他の番組に比べMCの役割が制限的だ。たとえチャ・インピョがゲストに会って、彼らを率いて旅行先に向かうとしても他の番組のようにゲストに一方的に質問したりはしない。その代わりに、ゲストがお互いに質問し答え、あるテーマや問題について率直なトークの場を作っていく。この過程でチャ・インピョも1人のゲストになって共感できる話をする。

「サンキュー」は、塩を入れなかったスープのように薄味で地味な雰囲気で進行される。だが、質問に答えるだけでなく、自身が話したいことや心から湧きでた言葉だけを話すという点で、ゲストにとってこれに勝る“ヒーリング”はない。同日の放送でキム・ミファがここ3年間“左派”と烙印され生きてきた心境を語り、G-DRAGONが大麻事件で人から白い目で見られた話を先に持ち出すことができた理由は、まさにこの番組が持つ“気楽な雰囲気”から探せる。

また、先輩たちのためにG-DRAGONがチャパグリ(チャパゲティとノグリという名前のインスタントラーメンを混ぜて作る料理)を作る姿や、どんな女性に会って結婚すればいいのか分からないという悩みに、キム・ミファ、カン・スジン、チャ・インピョがメンター(良き指導者)になって配偶者の選択基準について討論する姿は他の番組ではなかなか見られないシーンだった。

刺激的ではないが中毒性があり、地味だが集中させるところがまさに深夜に放送される「サンキュー」だけの魅力ではないかと思う。“ヒーリング”を装った噂の解明や治療を装ったプロモーションではなく、ゲストの悩みや心配を聞いて分け合うという趣旨こそ、あ溢れる“ヒーリング番組”の中で「サンキュー」が際立つ理由である。

記者 : パク・チャンウ