【バラエティレビュー】「花よりおじいさん」&「人間の条件」おじいさんたちが成長する間、人間たちは?

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写真=CJ E&M

ナ・ヨンソクプロデューサーが作り出した「花よりおじいさん」「人間の条件」…明暗分かれる

23日に韓国で放送されたtvN「花よりおじいさん」台湾編の第1話の視聴率は7.1%(ニールセン・コリア、ケーブル加入者、以下同一基準)で自己最高記録を更新した。「SUPER STAR K」以来ケーブル番組としてはかなり高い数字だ。

CJ E&Mのヒット番組は「SUPER STAR K」だった。しかし、シーズン制で人気を集めるオーディション番組に比べ、おじいさんたちの“黄昏のバックパック旅行”という見方によっては多少退屈にも見える観察バラエティ番組で高視聴率を得たことを数字だけで説明するには不十分な印象さえする。それほどおじいさんたちの旅は老若男女を問わず沢山の人から好感を得ている。

このように「花よりおじいさん」が人気を得ている中、もう一方では日増しに低くなる視聴率に悩むもう一つの観察バラエティ番組がある。1月からレギュラー放送されるようになり10.1%(ニールセン・コリア、全国基準)で出発した「人間の条件」の視聴率は、現在6~7%に留まっている。ところで、この「人間の条件」はナ・ヨンソクプロデューサーがKBSを離れる前、最後に作った番組であることを考えれば、二つの番組の明暗が分かれたことは皮肉だと言わざるを得ない。

非常に人間的だった「人間の条件」、今は…?

ナ・ヨンソクプロデューサーはマスコミとのインタビューで、「花よりおじいさん」が人気を集める理由について「自身も予測しなかった結果だ」と知らぬふりをした。しかし、安定した職場を辞め、番組の人気の有無により生死が分かれるかもしれないケーブルテレビという戦場に入ってきたことへの感想を“挑戦”と言ったことを思い出せば、「花よりおじいさん」がナ・ヨンソク、今はその名前だけでブランドになりつつあるアイデアバンクの出師の表であることは言うまでもない。

そしてそのナ・ヨンソクプロデューサーが「花よりおじいさん」のすぐ前に試みたものが「人間の条件」だ。「人間の条件」は、「ハッピーサンデー-1泊2日」(以下「1泊2日」)のようないわゆるリアルバラエティの人気が落ちている時に登場した観察バラエティという実験的な番組だった。

写真=KBS
「花よりおじいさん」が気楽に旅行を楽しむおじいさんの姿を盛り込む“観察”に集中するなら、「人間の条件」は6人の男が一緒に暮らす姿をそのまま見せる。そのような面では観察バラエティの性格を帯びているが、4話ごとに与えられる大きいミッションと毎話与えられるミッションがあることからはリアルバラエティの性格も持つ過渡期的なバラエティである。

ところで、両方ともナ・ヨンソクプロデューサーが企画に参加したにもかかわらず、30話ほど放送された「人間の条件」は最初とは違う話題性と人気に悩んでいる。最初に「人間の条件」がパイロット番組として登場したとき、その雰囲気は「花よりおじいさん」とほぼ同じだった。非常に人間的な4人のおじいさんと一人の荷物持ちのように、ただ笑いを誘うお笑い芸人だった6人の男から文明の利器を奪うと、アナログ的で人間的な姿を見せ始めたのだ。

少し飛躍はあるだろうが、ナ・ヨンソクプロデューサーのバラエティ番組の核心は“ヒューマニズム”である。たまには度を越したように見えるときもあるが、基本的に番組に登場する人々が視聴者に人間的アプローチをするようなキャラクター作りに重点を置く。イ・ソジンというただイケメンだった俳優を、隠しカメラを通じて以前の“ホダン(しっかりしているように見えるが抜けている人)”イ・スンギに劣らない国民の荷物持ちにし、“直進”イ・スンジェと“ロマンチスト”パク・グンヒョンを作り出すため長い時間を投資する。

「人間の条件」も同じだった。ただ太ったお笑い芸人だったキム・ジュンヒョンをアナログ的な感性に浸って涙を流す余白が感じられる人間に、笑いを誘う扮装のイメージだけが強かったチョン・テホを温かい母のような人物に作り上げたことも「人間の条件」のパイロット番組だった。

それなら、人間的なキャラクターを作り出すことに集中した点は同じなのに「花よりおじいさん」が人気を得ていることとは違い「人間の条件」が苦戦している理由は何だろうか?すでに30話も放送されただけに、人気が落ちるときが来たのではないか?しかし、「1泊2日」が長い間国民のバラエティとして人気を得てきたことを考えれば、たかが30話で既に疲れたと言うのは言語道断だ。しかも「人間の条件」は飽きる暇もなく毎月新しいミッションを行い、しかも最近では「花よりおじいさん」のように休暇ミッションまで終えた。

ジェットコースターのように変化するおじいさんたちのキャラクター

多分その決定的理由を挙げるとすれば、何よりもキャラクターの変奏において「人間の条件」がより多様なキャラクターを見せられなかったことが一番大きいと思われる。24日に放送された「休暇の条件」4部で完成されたキム・ジュンヒョンの自作曲「フィトンチッド」を前にして6人のメンバーは、それぞれ自身のニックネームを呼ぶ。キム・ジュノは“好感、好感、非好感”、キム・ジュンヒョンは“トゥンイ、トゥンイ、トゥントゥンイ”(トゥンイ:太っているという意味)でヤン・サングクは“活動”を担当し、パク・ソンホは“不惑”というように。相変わらずホ・ギョンファンは“顔”でチョン・テホは“母”だ。

最初にパイロット番組で6人の男に与えられたキャラクターと今のキャラクターに何ら変化もない。第1話で見たイメージと今のイメージはさほど変わらない。依然として彼らは自身に与えられた単純なキャラクターでそれぞれのミッションを果たすため奮闘する。

一方、「花よりおじいさん」はたった8話でジェットコースターのように変化に富んだキャラクターを見せている。“直進スンジェ”だったイ・スンジェは足が痛いペク・イルソプのため、ドイツ語までしながら道を調べる優しい姿を見せ、ドラマで厳しい会長だったパク・グンヒョンは妻のために写真を撮って送ることで忙しいロマンチストだ。

写真=CJ E&M
限りなくお人好しに見えたシン・グはシーズン2で隠してきた外国語の実力を見せ、荷物持ちが要らないという言葉が出るほどリーダーとしての役割をきちんと果たす。それだけではない。英文学科卒のペク・イルソプは、どこへ行っても韓国が最高ですべてのやり取りは韓国語で統一する。さらに、意地っ張りだと思ったが、正義の味方だと言う。

実は「花よりおじいさん」の内容は大したものではない。旅行に行って何かを見て、何かを探して食べて、寝る所を探すという本当に基本的なものだ。それでも人々が熱狂する理由は、その中で見られる出演者たちの人間的な魅力があるためだ。毎回見つけられる出演者の変わった姿は、若い人すら魅了するのだ。

「人間の条件」も同じだった。最初は、確かに6人の男の独特で人間的な姿があった。ところが30話が放送された今も、6人はまだその場に立ち止まっている感じがする。依然としてチョン・テホは食べ物を作り、何かを作る。キム・ジュンヒョンは時間さえあれば熱心に食べるが、太った外見に相応しくない内面と能力を見せる。キム・ジュノは依然として「トムとジェリー」のジェリーのように浅知恵を弄するのに忙しい。

ミッションもクリアしなければならない過渡期的な性格が「人間の条件」メンバーらが人間的な姿を十分に見せられないようにする障害物なのだろうか?交互にミッションをクリアする姿を羅列するだけで終わる場合が多い。熱心に色々なことをするが、実際に記憶に残ることはだんだん少なくなる。

華やかなゲストより「ギャグコンサート」メンバーを活用することはどうだろうか

写真=KBS
今回「休暇の条件」で時間を与えられたパク・ソンホは、大胆にも一人でサイパンに向かう。もの凄い事件だ。だが、彼の旅行の過程は他のメンバーが済州島(チェジュド)に行くことと大差がないように見えた。それを見れば、済州島に行こうとも、サイパンに行こうとも、それほど違いがないようには見えない。

彼の旅行は「花よりおじいさん」のように寝る場所を探すため東奔西走し、食べるところを探し、旅行に行くことと同じだった。だからこそ尚更「花よりおじいさん」と比較される。おじいさんたちは、街を歩くとき、決して画面を簡単に通り過ぎることはなかった。直進スンジェが歩く度「柳の葉、孤独な距離標の下に~」と素敵なBGMが流れる。パク・ソンホがサイパンの夜道を犬たちを恐れて歩く姿は、それほどインパクトがなかった。サイパンでパク・ソンホは依然として韓国と同様に一人でよく遊ぶ兄さんであるだけだった。

「花よりおじいさん」で女優ハン・ジミンがおじいさん一行と遭遇するところだったが、結局会えなかったことが話題になった。結局、スケジュールの都合で会えなかっただけなのに、視聴者の間では“人間の道理”という言葉まで登場し、それぞれ一言ずつコメントする雰囲気になった。それだけ同番組に視聴者が感情移入しているという証拠でもある。

一方、「人間の条件」ではMBLAQメンバーであるイ・ジュンが来て一日を過ごしたにもかかわらず、特に話題にはならなかった。彼と共にしたメンバーらの姿に新しいものはなかったため話題を集める材料もなかったのだ。

一時「ハッピーサンデー-男子の資格」に出演したキム・ジュノが番組でコントを披露する度に、番組の座長格であるイ・ギョンギュはうんざりした。おそらくそれはコントをすることですぐに笑いを作り出せるかもれないが、基本的に番組の深さを保つことには役に立たないという判断があったためだろう。回を重ねるごとにキャラクターは変わらないが、コントだけが増えているのが最近の「人間の条件」だ。

「人間の条件」を見ていると何をするかが重要ではなく、いかにするのかが重要だと感じられる。人気のあるアイドルを招待するよりは、「人間の条件」メンバーらと人間的に相乗効果が出せる「ギャグコンサート」のメンバーたちを活用してほしい。「人間の条件」の停滞、または視聴率の下落はミッションの問題ではない。そのミッションをこなす方法とそれを通じて新たに描かれる6人の男の魅力が問題だ。パイロット番組の初心を取り戻してほしい。

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記者 : イ・ジョンヒ