【ドラマレビュー】低視聴率な「花を咲かせろ!イ・テベク」…高いメッセージ性に期待

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写真=KBS

同時間帯で一番低い視聴率にもかかわらず、今後が期待される理由

KBS月火ドラマ「花を咲かせろ!イ・テベク」は、いいスタートを切ったとは言えない。「花を咲かせろ!イ・テベク」第2話の視聴率は4.4%(以下、AGBニールセン・メディアリサーチ)にとどまり、地上波テレビ3局の月火ドラマのうち一番低い視聴率となった。第1話(4.2%)に続き、4%台の視聴率から抜け出すことができなかった。

5日の「花を咲かせろ!イ・テベク」の視聴率はMBC「馬医」の25.8%、SBS「野王」の18.4%と比べ、約4~6倍も差をつけられた。このように「花を咲かせろ!イ・テベク」はあまりにも低い視聴率でスタートを切ったのだ。

だが、低視聴率でも「花を咲かせろ!イ・テベク」が伝える意味は大きかった。その意味が今後「花を咲かせろ!イ・テベク」が名作ドラマに発展する可能性があるという期待を与えたのだ。

「花を咲かせろ!イ・テベク」には“スペック”中心の社会で夢を追う一人の若者が登場する。広告人を夢見るイ・テベク(チン・グ)がその主人公だ。だが、学歴に足を引っ張られ、いつも失敗ばかりしている。

高卒で地方大学中退、低いTOEICのスコアで挫折するイ・テベクの姿から、韓国社会の若者像を見つけることはそれほど難しくない。第1、2話で貫き通す「花を咲かせろ!イ・テベク」の中の“スペック社会”が現実の再現であるためだ。

学歴、お金、人脈のどれもまともに持たず、それによって恋人とも別れざるを得なかったイ・テベク。彼のため息は若者の共感を呼ぶ。特に昔の恋人、コ・アリ(ハン・チェヨン)と遭遇するが、取るに足りない自身を自責するイ・テベクの姿は悲しかった。

第2話でもイ・テベクの憂鬱な現実は続いた。広告会社の本部長、エディ・カン(チョ・ヒョンジェ)がイ・テベクのプライドを傷つける。エディ・カンはイ・テベクの広告案に対し「幼稚で粗末だ」という言葉と共に「暗鬱な現実と誇張された未来が衝突した」と低く評価した。

“ハイスペック”なエディ・カンの言葉はイ・テベクの胸に刺さった。「ゆがんだ心のしわを伸ばさないとしわくちゃになった人生も伸ばせない」というエディ・カンの批判は、現実で傷ついた若者たちの心を痛める言葉だ。

「しわくちゃになった紙でも遠くに飛べる方法があるならば」

その時エディ・ガンに向けてしわくちゃになった紙を投げたイ・テベクの一言が痛快だった。現実に苦しむ若者のうっぷんと負けん気を代弁する言葉だった。若さをしわくちゃな紙に喩え、それでも遠くに飛べるという希望を伝える台詞は長く余韻が残る台詞だった。

これから「花を咲かせろ!イ・テベク」は厳しい状況を乗り越え、素敵な広告人に成長する主人公の話を描くだろう。このようなサクセスストーリーが、単にフィクションではないことに注目する必要がある。ドラマは広告の天才として有名なイ・ジェソク(31、イ・ジェソク広告研究所運営)の実話を基にしているためだ。

イ・ジェソクは啓明(ケミョン)大学の視覚デザイン科を卒業した後、町の看板屋で広告を制作したが、ある日自身の看板が町の10万ウォン(約8500円)の名刺に押されるという悔しさを経験した後、お金をかき集めて海外留学に出た。

突然行った留学先で彼の才能は花咲いた。広告人の夢のフェスティバルであるThe OneShowで最優秀賞を受賞したことはもちろん、なんと29の公募展で受賞したのだ。そして広告人として大成功を収めた。実話を基にしている以上、「花を咲かせろ!イ・テベク」は他の若者たちにも「僕たちにもできる」という希望を伝えるのであろう。

「花を咲かせろ!イ・テベク」が広告人イ・ジェソクの実話を基にしたことで期待されているということもある。ドラマがただ一個人の素敵なサクセスストーリーを超え、より公益的側面を描いてくれるだろうという期待だ。実際にドラマのイ・テベクのモデルである広告人、イ・ジェソクは他の広告人の模範になるような人生を生きている。

イ・チェソクは広告人で成功した後、竹島(韓国名・独島)守護のための広告を海外で発表した。また、色々な公益的広告にも力を入れた。また「イ・ジェソク広告研究所」を作って多数の公益的広告を製作している。

彼を基にしたドラマ「花を咲かせろ!イ・テベク」は、一人の若者の驚くべき変化に注目している。どん底まで落ちた若者にも可能性があるということ、そして立派に成功できること、個人の成功を超え社会にも貢献できること。それだけで「花を咲かせろ!イ・テベク」が伝えるメッセージは大きくて広いだろう。

今は4%台の低視聴率となっているが、「花を咲かせろ!イ・テベク」がこれから20代、30代に大きな刺激を与えることを期待する。“スペック”で夢を諦めた人々に、地縁やお金がないと現実に気後れした若者たちに勇気を与えてほしい。「しわくちゃになった紙でも遠くに飛べる」というその台詞のように。

記者 : クァク・ジンソン