【ドラマレビュー】「馬医」展開をたるませる要素とは?

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写真=MBC

活気ある展開のために、事件の乱発よりは専門性を活かす方向へ

MBCドラマ「馬医」で、毎回の事件はクライマックスで絶頂に達し、次の回で解決される。十分予測できる手順だが、これまでは比較的多彩な事件が起きている。そして、ペク・クァンヒョン(チョ・スンウ)が人医に成長していくにつれ、その規模も次第に大きくなる傾向にある。

問題は編集だ。事件の展開を見せる上で一定の順番ができたのだ。ペク・クァンヒョンが事件を解決したら、獣医のコ・ジュマン(イ・スンジェ)とカン・ジニョン(イ・ヨウォン)が、その次は飲食店ムギョタンバンの人々、最終的にチュ・ギベ(イ・ヒド)、ジャボン(アン・サンテ)に知られる形だ。合間にスパイスとして恵民署(ヘミンソ:朝鮮王朝時代に設置された官庁・医療施設)や内医院(李朝時代に宮中の医薬をつかさどった官庁)、スクフィ姫などの反応が流れる。

「馬医」で起こる事件は、以前から解決可能なものとみなされる。張り詰めたような緊張感を作らなければならないが、毎回平易な編集で相当部分、その点数をなくしているのだ。

画面構成も単調極まりない。そのため、恵民署の病床は窮屈で、ムギョタンバンは常にごちゃごちゃしているし、各人物の行動半径もそれほど大きくなく見える。まるでカメラはいつも同じ位置に固定され、事件と人物だけ毎回変わっているような気がするほどだ。

次第に立体感をなくしていく人物たち

しかし、最大の問題は各登場人物が日増しに平面的なキャラクターとして固着化されつつあることだ。善悪が克明に区分され、つまらない気がするのだ。ドラマでは稀に悪役が脚光を浴びることがあるが、人間的な魅力を基に挑発において視聴者から共感されるべき十分な理由を提供するケースがそうだ。

「馬医」では主にイ・ミョンファン(ソン・チャンミン)を中心に事件が起こる。自分の身分を隠し、ただひたすら出世だけを考える人物として描かれ、人間的な苦悩はもちろん、どのことにおいても一抹の憐憫さえ全く表さず、立体的な悪役になり得ないでいる。また、左議政(官職の一つ)チョン・ソンジョ(キム・チャンワン)は、ただイ・ミョンファンに振り回されているだけで、時代の勢力下としての面貌と品位が全く感じられない。

スクフィ姫は、人間的に成熟する過程を見せられないでいる。主観が明確な人物ではあるが、終始自分勝手で無策な行動ばかりを続けている。序盤はペク・クァンヒョンの周辺を多彩にする人物の一人だったが、進展しない関係の繰り返しで、いまや蛇足の感じまでする始末だ。そのため、周辺人物も一緒に輝きを失いつつある。

ペク・クァンヒョンは色んな逆境の末、もはやチョン・ソンジョの寡婦の嫁ソ・ウンソ(チョ・ボア)を尋ね弄んだという濡れ衣まで着せられた。事件が劇的でなく、無理な設定だと感じるのは、これまでの内容でペク・クァンヒョンとソ・ウンソ、そしてカン・ジニョンの3人の間に張り詰めた緊張感と微妙な感情が作り上げられていなかったためだ。

「馬医」は特定の職業を描くドラマだ。朝鮮時代に馬医から人医へ、また御医(オイ:王の主治医)へと抜擢される主人公の一生は、それだけで波瀾万丈である。これまで脚光を浴びたエピソードは、ほとんど彼が専門性を生かして活躍した時だった。無理な事件を乱発するよりは、そこにポイントをおいた方がドラマの活気を生かす上で良き選択になると思われる。

記者 : ハン・ギョンヒ