Vol.2 ― チョン・イル 「よそよそしかったキム・スヒョン、親友になったきっかけは…」

OSEN |

ドラマの中では愛する弟で恋敵、一緒に作品を作り上げた主役フォンを演じたキム・スヒョンの話をしないわけにはいかない。

「スヒョンとは同い年です。この作品でいい友達になり親しくなれて嬉しいです」

作品序盤は、初めて会っただけでなく、同い年の主演俳優同士の目に見えない心理戦まで加わり、気楽ではなかったはずだ。

「スヒョンとジェリム(ソン・ジェリム:ウン役)さんと3人で対面するシーンがあったんですけど、そのときはまだあまり親しくはなかったです。よそよそしかった。ハハハ。でも、その次に2人でお茶をしながら話し合うシーンがあったんですけど、そのときからお互いに心を開いていたような気がします」

ヤンミョンが亡くなるシーン。血を流して死んでいく彼を間近で見守ったのが、フォンとウンではないか。

「作品の中で死ぬ演技をしたこともあまりないですが……(SBSドラマ『私の期限は49日』でも亡くなる役ではあった)。今度のように、みんなが見守るなかで死を迎えるのは初めてで、その気分がまたまったく違うんです。隣でスヒョンとジェリムさんがわあわあ泣いてて、僕も一緒に涙が止まらなくて……カット、と言われてからも感情のコントロールが効かないんです。スヒョンとみんな一緒にわあわあ泣きました。撮影現場にいたスタッフと俳優もみんな、もう涙の海でしたね」

3人は撮影の合間に暇さえあれば一緒に楽しく過ごしたという。現場スタッフの話によると、待機時間が発生する度に一緒におしゃべりしてふざけ合い、その年頃の青年たちがそうであるように自然に親しくなった。

「スヒョンは演技への意欲がすごかったです。僕も意欲はある方なので、そんな話をしているだけでも楽しかったです。同い年で気楽ですし、スヒョンは本当にユニークで面白いやつです。ジェリムさんも3つ上ですけど、気さくに接してくれました」

そして3人は、忙しい中でも何回か軽くビールを飲んだりして、たびたび一緒に過ごす仲となる。もう作品は終わったが、これからも連絡を取り合って親しい仲であり続けたいという。

それでは片思いの相手だったヨヌ役、ハン・ガインとはどうだったか。「いい姉貴です。よくおごってくれるし。性格もさばさばしています。楽しくやってきました。映画『建築学概論』の試写会に招待してくださって、行ったりもしました」

長時間話し合っていても、依然として疲れよりもエネルギーが湧き出す感じだった。実は、去年からドラマ「私の期限は49日」「美男ラーメン店」に続き今回の「太陽を抱く月」まで、ろくに休まず走り続けてきた彼だ。体力的に疲れが多いと言いながらも、下半期にはまた他の作品に取りかかるという。

「ニューヨークで写真撮影があって、行って来る予定です。日本でファンミーティングもありますので、当分韓国にはいないと思います。海外のスケジュールを終えて、少し休んでからまた別の作品に出演したいです。今度はもう少し強いものにして見ましょうか。ハハハ」

次の作品は、映画になるかもしれない。もしそうなれば、「私の恋」(2007)以来、久しぶりのスクリーンへの復帰となる。とりあえず映画でもドラマでも、これからはいっそう多彩な役割に挑んでみたいと言う。「太陽を抱く月」を終え、確実に大きくなった。以前より自信もついただろうし、勇気も得たはずだ。もう「思いっきりハイキック!」の中のあどけなさを残す高校生ではなく、自身の演技力への疑念もきれいに晴らしたのではないだろうか。

「太陽を抱く月」を撮影しながらパスタが無性に食べたかったという俳優、友達とビール1杯を前におしゃべりするのが楽しい20代の青年、生まれて初めてニューヨークを訪れることにドキドキしている男、チョン・イルが次に演じるのはどのような人物か、気になって仕方がない。

怪我をした指に傷跡は少し残るとしても、「太陽を抱く月」は彼にとって、それだけ忘れられない作品になるに違いない。

記者 : ユン・ガイ