連続ヒットで“Netflixの公務員”に?パク・ヘス「イカゲーム」「ペーパー・ハウス・コリア」で圧倒的な存在感をアピール

Newsen |

6月24日に公開されたNetflixシリーズ「ペーパー・ハウス・コリア」は、統一を控えている朝鮮半島を背景に、天才的な戦略家とそれぞれ異なる個性と能力を持つ強盗たちが奇想天外な状況に立ち向かうことで繰り広げられる前代未聞の強盗人質劇を描いた作品だ。

パク・ヘスは「死なないと外に出れない」と言われている北朝鮮のケチョン強制収容所を脱出したベルリン役を演じた。作戦現場を指揮している彼は、人間を完璧に統制できるのは恐怖だと信じ、人質をコントロールするために教授の計画まで揺るがし、緊張感を与える人物だ。

シンドロームを巻き起こした「イカゲーム」で世界的な関心を集めたパク・ヘスは、「ペーパー・ハウス・コリア」でも安定した演技と強烈な存在感で好評を得ている。

――原作が世界的なヒット作ですので、出演を決心するのにプレッシャーもあったのではないでしょうか。

パク・ヘス:スペインの原作のファンでしたし、とても面白かったんです。プレッシャーがないわけではありませんでした。キャラクターを本当に個性溢れる俳優たちが演じられましたし。シナリオを見て、私は異なった表現ができる部分があるかもしれない、作品の叙事が原作とはちょっと違うキャラクターだと思って、やってみたいと思いました。また、私が好きな俳優たちがたくさん出るのでやりたいとも思いました。そしてベルリンというキャラクターが魅力的なので挑戦してみたかったです。

――前作「イカゲーム」のヒット後、同じくNetflixの話題作「ペーパー・ハウス・コリア」に出演し、“Netflixの公務員”とも呼ばれていますね。

パク・ヘス:Netflixの作品に連続で出演できたことに感謝しています。「イカゲーム」が世界的なヒットを記録して、僕がその中にいたこと、そして今回の「ペーパー・ハウス・コリア」も良い成績でスタートしてありがたいです。“公務員”はプレッシャーも大きく、責任感も大きくなければなりませんが、そう言われるのには僕はまだ未熟な気がします。作品に出演してからある時期になると出演した映画がNetflixで公開されたりもして、ご覧になった方も多いようです。僕にとって(Netflixは)ありがたい舞台になりました。ただ、作品の選択はNetflixだからしたのではなく、作品そのものを見て決めたのですが、縁があったと思います。

――海外の視聴者は、「イカゲーム」の主演が出る作品として「ペーパー・ハウス・コリア」にも注目しています。

パク・ヘス:海外では「イカゲーム」から興味を持った方がいらっしゃると思います。ありがたいですね。プレッシャーよりは感謝の気持ちが大きいです。これからも準備を徹底的にして、多くの方たちに会いたいです。責任感もありますが、重すぎると思わず、いつも通りに頑張りたいと思っています。

――「イカゲーム」のヒットで、「ペーパー・ハウス・コリア」チームにも影響を及ぼしたことはありましたか。

パク・ヘス:色々と影響はあったと思います。韓国のアーティストたちが歩んできた道の中で、ドラマとしては「イカゲーム」が良い方向性を提示してくれました。「イカゲーム」の前にも韓国の作品は多くの成果をあげてきましたが、「イカゲーム」の後、「ペーパー・ハウス・コリア」だけでなく韓国のコンテンツに良い影響がありました。アメリカやヨーロッパの視聴者が字幕を見ながら視聴するという変化が生じたのではないかと思います。

――「イカゲーム」に続き、統制された空間にいるキャラクターでした。俳優としてこのように制限された空間を背景に演じる時は、何に気を配るのでしょうか。

パク・ヘス:統制された空間というのは、葛藤があるのと同じです。自由がなくなり、心理的な葛藤が大きくなります。互いの関係、出れない理由など、人の本性をリアルに表すことができます。統制された空間ではキャラクターの心理状態も極端になるので、そのようなところが興味深いです。「イカゲーム」も特定の空間で展開され、自身の意志でその中に入ってゲームに参加します。同じく特定の空間で、衣装も一着しかないのは「イカゲーム」と同じですが、他は相違点が多いです。「ペーパー・ハウス・コリア」」でベルリンは人々を統制し、抑圧する人物です。25年間収容所で生活し、統制された空間に慣れていて、自身だけの世界でどのように君臨すればいいのか正確に分かっている人物です。

――ベルリンの行動についてどのように理解して演じたのでしょうか。

パク・ヘス:ベルリンは幼い頃に韓国に渡ろうとして母が死亡し、収容所に25年も閉じ込められました。その中で何を思っただろうかと想像しました。生き残るためには待つしかなく、嫌悪、怒り、期待が共存していたと思います。生き残るためには何を最も強くすべきなのか、生存についてたくさん考えたでしょう。統制された空間では冷徹でいなければならず、恐怖を作らなければならないと考えたと思います。ある目的を達成するために、団結を選ぶよりは分裂させて恐怖を用いて君臨すべきだと思ったでしょう。僕はそれに共感はしませんが、25年も何の罪もなく収容所にいたベルリンなら、そう思うようになるだろうと思えました。

――北朝鮮の方言が好評ですが、どのように準備したのですか。

パク・ヘス:この作品のオファーが来てから平壌(ピョンヤン)が故郷の先生に会い、その先生に全てのセリフを録音したデータをもらい、練習していつも聞いていました。先生から言葉を学ぶ前に、先生が住んでいたところの話もたくさん聞きました。演技への好評には本当に感謝しています。

――作品に対して、好き嫌い両方の反応があるようです。

パク・ヘス:この作品は比較対象があり、好き嫌いが生まれるしかないというのは作品を始める時から宿命だと思っていました。異なる表現をしようとするよりも、私たちがしたい話をすればいいと思って始めました。

――原作のキャラクターと違う魅力を見せようと努力した部分と、特に悩んだ部分はどこですか?

パク・ヘス:原作と異なる表現をしたいというよりは、人物自体が違ったんです。たくさん気を使った部分は、僕は俳優を離れて、人間パク・ヘスとして個人的に分断国家と戦争難民に対する関心が高いです。動揺したり感情的な部分が多くないのに、唯一その部分で心が痛かったです。演劇をしていた時からそのようなことがありました。今回の作品に参加しながら、個人的な宿題は、このキャラクターが最も隠喩的で含蓄のあるキャラクターに見えるようにしたいということでした。現在も北朝鮮に収容所が存在しているので、それを少しでも現実的に表現するには準備しなければならないと思い、映像と収容所から出てきた方々の話をたくさん探して見ました。キャラクターが持つ別の魅力というよりも、キャラクターの置かれている状況、ベルリンが経験してきたものをきちんと見せたいと思いました。

――原作で好きだったキャラクターは誰ですか?キャラクターを選ぶことができたなら誰を演じたかったですか。

パク・ヘス:原作のベルリン、デンバーが好きで、局長も好きだった。少し憎いところがあるけれど、僕にはそういう憎いキャラクターも合うと思って魅力を感じました。

――ユ・ジテさんはもし自身がベルリンを演じるなら、セクシーなカリスマ性がある人物として表現したいと言っていました。もしパク・ヘスさんが教授を演じるならどうでしょうか?

パク・ヘス:僕はジテ先輩の教授を見てしまったので、僕の頭の中にある韓国の教授のイメージはジテ先輩の演じた姿です。もし僕が演じるなら、柔弱だけどカリスマ性もある、“セクシーな柔弱さ”を表現できたでしょうか? よく分かりません(笑)。

――強盗団のメンバーたちとの共演はいかがでしたか?

パク・ヘス:強盗団のみんなとは7ヶ月間ほど同じ空間にいて、息が本当にぴったりでした。その中で個人的な悩み、作品についての話をたくさんしました。特にデンバー(キム・ジフン)やナイロビ(チャン・ユンジュ)とは深夜まで電話して作品の話をしました。また、ジョンソさんと会ったことは忘れられないほど強烈でした。チョン・ジョンソという女優、人間が持っているクリーンなカリスマ性があるんです。純粋なエネルギーがあります。僕は演劇をしてきたので生のまま演じるけれど、ジョンソさんはすごく準備をしてきて、それを生のもののように見せていました。これには驚きました。一緒に緊張感を届けるシーンで、カタルシスを感じながら演じました。作品の中では僕が体も大きく存在感があるように見えるけれど、現場の空気はジョンソさんが全部持っていったんです(笑)。

――ユ・ジテさんがインタビューで「ペーパー・ハウス・コリア」はパク・ヘスさんがいなかったら成立しなかったと絶賛していました。視聴者の好評も続いています。

パク・ヘス:悪役が存在するためには、その悪役を悪役として見てくれるキャラクターも必要です。多くのキャラクターが僕を悪役のベルリンとして見てくれたと思います。そうでないとキャラクターは成立しません。強盗団、人質など、すべての役者がその空間の中で僕をそう見てくれました。それがとてもありがたかったです。たくさん悩んだ末に誕生したキャラクターなので、褒められるのはすごく嬉しいです。

――スタイリングなど、ベルリンの演出のために強そうな姿を見せようとしたのですか。

パク・ヘス:肌も小麦色に焼きました。収容所で働いていた人物なので。髪は変化を与えようとアップにしました。より強そうな一面を見せたかったんです。スタイリングがやや濃かったと言えるでしょう。ですが僕は見ていて、韓国の俳優たちはみんなかっこ良く、美しいと思いました(笑)。

――ベルリンは原作で性差別主義者のように振る舞うなど、視聴者を怒らせそうな部分が多かったです。韓国版では脚色されて良かったという反応がありました。

パク・ヘス:文化の差があるので、キャラクターをシナリオ上で圧縮し、違う一面を見せたと思います。韓国の情緒や現実が反映されました。僕は原作でも彼の性差別主義者、犯罪者としての姿を見て、間違いなくメッセージはあると思いました。韓国版では他の部分に関するメッセージを投げかけています。良かったというよりは、方向性が違うと思いました。

――「イカゲーム」から「ペーパー・ハウス・コリア」まで、連続して視聴者に嫌われる役を演じましたが、嫌われることについて心配はありませんでしたか。

パク・ヘス:誰かに嫌われてこそ、また他の誰かが愛されるので、僕が嫌われ者になります。悪口を言われることはありがたいことです。「イカゲーム」のチョ・サンウ(役名)もそうですし、ベルリンもそうです。嫌われても、キャラクターがそういった行動をする正当性があり、納得できれば大丈夫だと思います。

――「イカゲーム」でのチョ・サンウのイメージは今も強く残っています。

パク・ヘス:そのイメージから抜け出す方法は、着実に新しい作品、キャラクターを演じることではないでしょうか。どの作品でも俳優にイメージを固定させるキャラクターはあると思います。そのキャラクターについていく気はなくて、自然に俳優として見られていくと思っています。昔は(「刑務所のルールブック」の)キム・ジェヒョクのイメージがすごく残っていると言われたのですが(笑)。前作について覚えていてくださるのはありがたいことですね。

――視聴者の反応は見ましたか?記憶に残る反応があったら教えてください。

パク・ヘス:公開された日からたくさん探して見ました。もともとあまり探して見る性格ではないのですが、眠れないので様々なものを探してみました。記憶に残す方ではないのですが、良い反応もあれば悪い反応もあって、たくさん考えてみました。最近の視聴者はどのようにアプローチし、どんなテンポがあるのか気になっていました。テンポ感が良いという方もいましたし、原作に比べて物足りないという方もいらっしゃいました。私に対する素敵な言葉も一生懸命見ています(笑)。

――原作と異なる韓国版だけの魅力は何ですか。

パク・ヘス:韓国の台本を見た時に初めて感じたのは素材でした。新しい紙幣、各地から集まってきた人々、そしてそれぞれの目的を成し遂げるために行きますが、叙事がみんな違いますし、南北朝鮮という胸が痛くなる叙事が韓国だけの魅力ではないかと思います。

――パート2に関するヒントを教えてください。

パク・ヘス:スペインの原作のシーズン1、2をきちんと覚えてはいないのですが、パート2では僕たちの再解釈が入っています。パート2をご覧になった方々は、パート1より面白いと言っています。

記者 : イ・ミンジ