「チャ刑事」カン・ジファン“一番の心配事は『太れるのか』ということだった”

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俳優カン・ジファン(35)は、今回も人々を失望させなかった。“チャドナム(冷たい都会の男)”な彼が、頭のてっぺんから足のつま先まで壊れてくれた。もしかするとカン・ジファンは、映画「チャ刑事」(監督:シン・テラ、制作:映画会社ホン)で、本名であるチョ・テギュとしての魅力を思う存分アピールしていたのかもしれない。映画の撮影が終わると、再びスリムなボディラインに戻ったこの男。女性たちが羨むほどの謙遜する言葉だけを並べるカン・ジファン。ボディラインのことで男性に嫉妬したのは初めてだ。一発殴りたくなるような憎らしい発言だった。

「僕は常に身長が185センチで体重は75キロでした。これより痩せたことも、太ったこともなかったですし、いつもこれをキープしていたんです。なので、お腹には常に腹筋がついていましたね。わざと作ったわけではありませんが、この体重を維持していると腹筋が自然にできたんです。太らない体質と言いましょうか。どれだけ食べて寝ても太らないので、『チャ刑事』のオファーがあってからまず心配になったのは『僕は果たして太れるんだろうか?』ということでした。それが一番大きな課題でしたね。割れた腹筋が消え、果たして“Dライン”(英字のDのように腹が出たボディライン)になれるのか、疑問でした。太らないのもストレスなんです」


「目に見えるものはすべて食べつくしたかった」

最悪の男が登場した。髪はいつ洗ったのか分からないほどべたついていて、何日も履いている靴下からは悪臭が漂い、カビまで生えている。特にズボンの上に乗せられている大きなお腹は、“ファッションテロリスト”として欠かせないポイントだ。目を大きく見開いて何度確認しても、顔はカン・ジファンなのに体はカン・ジファンではない。

“チャ刑事”ことチャ・チョルス役に完璧に変身したカン・ジファンに、多彩な魅力の持ち主であると声をかけると、彼はすごく照れていた。彼を変身の鬼才、万能な役者に作り上げたシン・テラ監督との撮影について質問した。

映画「7級公務員」以来の再会だった。壊れるキャラクターを好む“悪趣味な”シン・テラ監督は、今回も“チャドナム”カン・ジファンを見事に壊してくれた。シン・テラ監督との仕事が嫌になってもおかしくないはずだが、カン・ジファンのシン・テラ監督への信頼は依然として厚かった。

カン・ジファンは「シン・テラ監督とは『7級公務員』で一緒に仕事をしたことがあるし、当時の興行成績も良かったです。何よりもシン・テラ監督とは気が合います。すべて知り尽くしているスタッフたちとの撮影だったので、現場でのトラブルはまったくありませんでした。ただ太ってから痩せなければならないという僕だけの課題があったので、それについては心配していました。不本意ながらデリケートになったりして、申し訳ない気持ちでした」と明かした。

ダイエットが最も辛かったというカン・ジファンは、決まった日程内に痩せなければならないというプレッシャーでストレスが多かったと伝えた。そのため撮影現場でデリケートになったこともあり、そのことを後悔し、申し訳ない気持ちだったと話した。

「ご飯と鶏のささみをだけ、食べても良いと許されていました。最初は太ることが目標だったので、フライドチキンやピザのような脂っこい食品だけを食べるのかと思っていましたが、それも勘違いでした。後でまた痩せなければならないので、何でも食べればいいというわけにはいきませんでした。筋肉だけをものすごく増やすというか。どれだけストレスになったのか、分かりますよね? 太るのも大変でした。テンジャンチゲ(韓国の味噌汁)やキムチチゲも食べたかったです。見えるものは何でも食べたかったですよ」

人並みならぬ努力で脂肪との戦いに勝利したカン・ジファンは、日程も迫り、何も食べずにビタミンだけに頼って痩せたと当時の辛かった状況を振り返った。もう鶏ささみは見たくないというカン・ジファンに「女性ファン狙いでカン・ジファン流ダイエットの秘訣を盛り込んだ本を出してみるのはどうか」と提案すると、予想を超える率直な答えで爆笑させてくれた。

「短期間ダイエットの秘訣ですか? そんなのは絶対にないですよ。とりあえず食べないことですね。ビタミンも食べずに我慢し続けると、痩せないわけがありません。僕も経験してから気付きました。食べないことには勝てませんよ。でも、命に関わる可能性があるという……冗談です。僕の真似をしたらいけませんよ、ハハハ」


チャ刑事に出てくるバットマンのベルトに隠された裏話とは?

今回の映画で思う存分魅力をアピールしたカン・ジファンはチャ・チョルスの衣装や小物を自ら購入するという情熱も見せた。

彼は「『チャ刑事』のシナリオは基本的に面白かったです。この映画のキーポイントは、“ビジュアル”にあったけど、その部分に僕も気を配りました。“ファッションテロリスト”と“イケメン”の間の対照的な一面を存分に見せたかったんです」と説明した。

大学でデザインを専攻していたほど、ずば抜けたセンスの持ち主であるカン・ジファンは、彼の知識を十分に活かした。観客も大きく頷ける小物や衣装を随所に使い、高い評価を得た。チャ・チョルスがこの上なく汚い男ではなく、ダサいが愛らしい男性に映っている理由は、カン・ジファンの光るセンスがあったおかげだ。

キャラクターへの熱い愛情をアピールしたカン・ジファンは、「全体的なチャ・チョルスのルックスは、ソウル駅や永登浦(ヨンドゥンポ)でよく見るホームレスの姿を参考にしました。夕方、帽子を深く被って彼らの人生やスタイル、匂いまで感じ取るために、ソウル駅や永登浦駅を駆け回りました」とエピソードを聞かせてくれた。

「『チャ刑事』が初上映するとき、このキャラクターをビジュアルで説明できたらいいと思っていました。“Dライン”がポイントでしたが、どうすればこの“Dライン”を表現できるのだろうかと悩み、ベルトで視線を引き付けようと決めました。ドクロ模様からおばさん向けのスカーフまで、すべて合わせてみました。本当に汚くて好感の持てない人なのに、憎めない愛らしさを表現したくてバットマンのベルトをすることになりました。だけど、バットマンは商標権の問題で使えないということでした。結局、マイナスドライバーでバットマンの片方の翼を壊しましたが、それがまたビンテージな魅力がありました。今見てもとてもセンスのあるベルトです。ハハハ」

色々と険しい道を経験した今回の作品。カン・ジファンに“脂肪との戦争”と“キャラクターの役作り”という課題以外に大変だったことを聞いた。カン・ジファンはしばらく考え、「脂肪との戦いがあまりにも大変だったので、今振り返ってみると他の部分はあまり辛かったとは思えません。でも、手の毛や爪の汚れのような細かい部分にも気を配ることが大変でした。それなのに、スクリーンではあまり目立たず、少し残念です」と打ち明けた。

特にチャ刑事の太りに太って揺れるお腹を表現したかったが、自分の体でそれほどのビジュアルを表現することはできず、大変だったという。

「観客にチャ刑事のお腹でまず衝撃を与えたかったのですが、僕のお腹ではそのビジュアルを表現できませんでした。ある日、周りを見ていると撮影スタッフの中に揺れるお腹を表現できるお腹の持ち主がいました。その後、映画会社の代表とシン・テラ監督が彼を“飼育”したんですよ(笑) だけど、もっと驚いたのは、エキストラの方の中で完璧なチャ刑事のお腹を持っている方が、彗星のように現れたのです。結局その方のお腹を借りて撮影をしたので、スタッフの方には申し訳ない気持ちです(笑)」

記者 : チョ・ジヨン、写真 : キム・ジェチャン