キム・スヒョン「優秀?平凡な25歳の青年にすぎない」

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秀でるの「秀」(韓国式の読みで「ス」)に賢いの「賢」(韓国式の読みで「ヒョン」)、キム・スヒョン(金秀賢)。

初恋の傷を背負っている純愛派の王様をこの上なく魅力的に演じた俳優キム・スヒョンの名前が持つ意味だ。昨年の初め、KBS 2TVドラマ「ドリームハイ」のソン・サムドン役で誰かの子役ではなく最初から最後まで、一人前の成人役を演じきった彼は、1年後にはかけがえのない主演俳優として成長し、その名の意味を再現していた。

3月初め、視聴率40%を突破し韓国全土にブームを巻き起こして最終回を迎えたMBC水木ドラマ「太陽を抱く月」(脚本:チン・スワン、演出:キム・ドフン)のヒーロー、キム・スヒョンに忠武路(チュンムロ)で会った。彼は自らを「どこにでもいそうな25歳の平凡な青年」と紹介し、“フォンアリ(恋の病で寝込むような状態)”を発症させた「太陽を抱く月」を終えたばかりの感想を淡々と述べた。

―「太陽を抱く月」で国民的な人気を博した。人気を肌で感じているのか?

キム・スヒョン:まだ実感がない。「太陽を抱く月」の人気を肌で感じられるような機会はなかった。ただ、ドラマの撮影中にはすごく感じていた。ファンが撮影現場に応援に来ていたが、特に母親世代のファンの方々がよくいらしていた。

―お母様の反応も変わったと聞いたが。

キム・スヒョン:撮影を終えて家に帰ると、テレビにはいつも「太陽を抱く月」が流れていて、母が歓迎しながら迎えてくれた。ドラマにハマってしまったのか、まるでヨヌになったかのように僕を見つめたりした。「太陽を抱く月」は大ヒットしたが、その中で最も熱烈的なファンを挙げるとしたら僕の母だと思う。

―ヒョンソン役のチョン・ウンピョや、巫女の張氏役のチョン・ミソン、脚本家のチン・スワン先生までキム・スヒョンに高い評価をしている。

キム・スヒョン:ドラマがヒットしたからだと思う。本当に有難いのは、先輩たちが僕を信頼してくださったことだ。本当に力になった。先輩からの褒め言葉や信頼は、僕が自信を持って演技をする糧となった。
(共演俳優のチョン・ウンピョとチョン・ミソンはキム・スヒョンについて「信じられない俳優」と褒め称え、脚本家チン・スワンは「大人の男でありながらも少年で、気高くても子供のような、純粋さとセクシーさ、クールさと温かさが共存する両面性が必要なイ・フォン役をキム・スヒョンが“詰め合わせギフトセット”のように表現した」と高く評価した)

―フォンを演じながら最も力を入れたのは?

キム・スヒョン:“傷”だ。フォンがどんな行動を取ろうとも、その中には“傷”があるという前提で表現した。その傷とは初恋を失ったことだけによるものではない。フォンは信頼していた人々に疑念を感じるようになり、その疑念が確信に変わっていく過程の中でより一層傷が深くなった。

―御駕行列(朝鮮時代の王たちが祭祀を行う建物へ向かう行列)で成人になったヨヌ(ハン・ガイン)と再会するシーンが印象的だった。

キム・スヒョン:フォンはその時、冷たくて冷静な表情をしていた。苦しい記憶の中で心に傷が残ってしまい、冷静な表情はその傷に耐えるための防御措置とも言えるだろう。表面的には冷静になるしかなかったのだと思う。また、当時のフォンは御駕行列を見るために街に出てきた国民の姿に失望していた。豊かな生活をしている顔をして、絹の服を着ている国民たちが街で王様を迎えていたのは、高官たちの仕掛けで捏造された風景だった。初恋の相手を殺した外戚のせいで心に傷ができたのに、国民の姿まで捏造されていると思うと冷たくなるしかなかったのだろう。

―初恋の傷以外にも、フォンは接する人物ごとに違う面を見せなければならなかった。

キム・スヒョン:先輩に頼りながらの演技だった。ヒョンソン役のチョン・ウンピョ先輩からは、大きな愛情を感じた。大王大妃ユン氏役のキム・ヨンエさんは僕とたくさんのエネルギーをやり取りして、対立するシーンも多かった。未熟な僕に対してキム・ヨンエさんが緊張を和らげてくださったり、心を開いて信頼してくださったので、安心して演じることができた。領議政(朝鮮時代で位の最も高い中央官職)役のキム・ウンス先輩とは政治を語り、迫力ある対決シーンがあったが、その時、僕はまだまだ未熟だと感じた。

―寒波やハードスケジュールとも戦わなければならなかったが。

キム・スヒョン:昼も夜も撮影が続いたので、十分に睡眠をとることもできず、お腹も空いていたし、すごく寒かった。厳しい環境だったが、逆にスタッフ全員が苦労を共にしながら自然に仲良くなって、親しくなることができた。他の作品をやっていた時は「どうすればあの人と仲良くなれるだろう」と思ったりもしたが、「太陽を抱く月」ではそんな心配は全くなかった。撮影現場の雰囲気がとても温かく、みんな仲が良かった。

―ある芸能情報番組で「太陽を抱く月」を終える感想を述べながらウルッとしている場面が放送されたが。

キム・スヒョン:実は最後の撮影を終えた後、すごく泣いてしまった。僕だけじゃない。共演したチョン・ウンピョ先輩やソン・ジェリムと3人で抱き合って泣いた。恥ずかしいので、泣く前にヤンミョン(チョン・イル)が死ぬシーンを撮影したせいだったと言っておこう(笑) 僕がとても頼りにしていた人たちとの別れや、無事に撮影を終えたことへの感謝の涙だったと思う。

―多くのメディアが存在する時代に視聴率40%突破は意味のある記録だ。

キム・スヒョン:作品がとても素晴らしかったとしか言いようがない。だから僕も出演を決めたのだと思う。「太陽を抱く月」の原作小説を読んだが、とても魅力的だと思った。その物語がドラマ化されると知って、とても興奮した。

―「ドリームハイ」以来、1年で40%という成果を上げた。

キム・スヒョン:胸がいっぱいになるような反響だ。光栄に思うし、良かったと思っているが、「これから頑張らないと」と強く思う。本当に頑張っていきたい。

―昨年末の授賞式をはじめ、メディアとのインタビューで10年だけ待ってほしいと言っていた。

キム・スヒョン:10年という歳月が経てば、観客に良い演技を見せられる俳優になれるし、そうなりたいと思ったので自分の望みを述べてみた。人生の計画を立てて、それに合わせて生きていくタイプではない。実際、次の作品もまだ決まってないし、決まったからってその作品がどうなるかも分からないし。

―少年と男の顔が共存するという評価が多い。

キム・スヒョン:25歳(数え年)という年齢のおかげだと思う。いつまでできるかは分からないが、両方表現できるのは良いと思う。

―現在のキム・スヒョンは少年かそれとも男なのか。

キム・スヒョン:その境目にいる。

―怖いもの知らずに見えるが、実際の性格は?

キム・スヒョン:よく分からない。コロコロと変わっているような気もする。しかし、僕が思っている僕はとても平凡。僕と同じような年齢の人が好むものに僕も熱狂するし、今を生きる人々が経験していることを同じく経験している平凡な25歳の青年だ。

―好きな女性のタイプは?

キム・スヒョン:僕と自然に息が合う人が良い。2人で絵を描いた時、背景や人物を一つずつ担当して描き、それを合わせると違和感なく一つの絵になれそうな人。「2人でいると絵になるね~」と言われるような、良く似合う2人と言われる人が理想だ。

―日本に進出するのか。

キム・スヒョン:ラブコールは受けているが、具体的にいつ、どうやって進出するかなどの計画はまだない。

―CM出演で50億ウォン(約3.7億円)を稼いだと聞いたが、実際に振り込まれたのか。

キム・スヒョン:僕もその50億ウォンの話が本当であればいいと思う。正直ね(笑) 正確な金額はまだ聞いていないし、まだ振り込まれていない。

記者 : チョン・ソナ、写真:ソン・ヒョジン