青木崇高、現場で感じた韓国エンタメのパワーとは?『犯罪都市 NO WAY OUT』マ・ドンソク&イ・サンヨン監督と3ショットインタビュー

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マ・ドンソクが拳ひとつで最狂の悪党たちを撃ち破る『犯罪都市』シリーズの最新作となる『犯罪都市 NO WAY OUT』が大ヒット上映中だ。新種薬物事件の背後で蠢く日本のヤクザと汚職刑事たちを“怪物刑事”マ・ソクトが追い詰めていく。本作にはシリーズ初となる2人の最強ヴィランが登場。敵役の一人として青木崇高が抜擢され、極悪非道な“ヤクザの殺し屋”リキ役を演じた。主演のマ・ドンソク、青木崇高、イ・サンヨン監督に話を聞いた。

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マ・ドンソクが語る『犯罪都市』シリーズ最新作の見どころ

――『犯罪都市』シリーズ最新作は日本のヤクザも登場する、新しい魅力を持つものになっていますね。

マ・ドンソク:『犯罪都市』シリーズでは実話を基にして物語を作っています。以前、韓国で日本のヤクザと台湾のギャング団が麻薬を巡って戦ったという事件がありました。その事件を中心に他の事件もいくつか織り交ぜながらアイデアを練っていきました。このシリーズは“韓国で起きている犯罪を一掃したい”という思いで撮っています。国境を越えた犯罪モノを作っているのも、そこに理由があります。

企画は私が立ち上げますが、脚本は2人の脚本家が書いてくれたものを私と監督が膝を突き合わせて脚色していきます。実話をベースにしつつ、それぞれのキャラクターを活かしたアクションやユーモア、コメディも入れて、エンターテインメントとして楽しめるものを作るのは大変ですが、『犯罪都市』を作るプロセスは自分たちの夢を叶える過程でもあるという気持ちで取り組んでいます。

――本作ならではの見どころはどの様なシーンですか?

マ・ドンソク:まずはアクションですね。私と20年間ずっと一緒にやってきたアクションチームが『犯罪都市』のアクションも担当してくれています。俳優に合ったアクションをデザインしてくれました。私は幼い頃からボクシングをやってきましたが、今回はそのボクシングアクションを1や2よりも進化させていますので、新たなボクシングアクションをご覧頂けると思います。ボクシングの専門家の方が“これをこんな風に映画で形にできるのか”とご覧になって驚かれていました。

もちろんアクションだけでなく、ストーリーにおいてもしっかりと作り上げるために長い時間をかけて努力してきました。『犯罪都市』シリーズ特有のウィットに富んだユーモアなども楽しんで頂けると思います。

――マ・ドンソクさん演じる最強のソクト刑事もヤクザたちに翻弄されますね。

マ・ドンソク:ヤクザの設定を間違えるとファンタジー映画に変わってしまうので、その部分は気をつけています。参考にした作品などはありませんが、実際に日本の俳優が演じなければならないと思いました。

――今回はソウル地方警察庁へ異動になってからのストーリーですが同僚刑事の皆さんなどとの軽妙な掛け合いがとても面白かったです。台詞は台本通りなのでしょうか、それとも随所にアドリブが盛り込まれているのでしょうか?

マ・ドンソク:アドリブのようなセリフ、セリフのようなアドリブを追求しながら脚本を書き、撮影前に撮影しながら常に監督とコミュニケーションをとってユーモアとセリフをアップグレードさせます。私と監督と作家が80回ほど打ち合わせを重ね台本を直したため、誰がどんなセリフを書いたのか覚えています。私が言うセリフの中で、アドリブのように見えるセリフのほとんどは、台本にあるセリフです。予告編に出てくる「危険だぞ、お前が」のセリフと、鏡を持って「鼻しか見えないな」というのは現場で作ったアドリブです。

――とてもキュートな小さい手鏡の持シーンは誰のアイディアでしょうか?

マ・ドンソク:あれは私のアドリブです。鏡を見ながら「この鏡、小さすぎて鼻しか見えないな」というセリフは現場で即興で作ったアドリブで、そういったシーンがところどころにあります。それでも台本に事前に入れておく方ではあると思います。

――手に汗握るアクションシーンと軽妙洒脱なコメディシーンがバランスよく配されていると感じましたが、コメディシーンを演じるに当たって、気を付けていることはありますか?

マ・ドンソク:『犯罪都市』シリーズは、まずアクション映画であることが優先で、キャラクターと事件をビルドアップさせてカタルシスを感じられるようにすることが目標です。二つ目はユーモアの部分。普段、面白いことが好きなのでユーモアに対しての欲が強いほうです。コメディ映画を目指しているわけではないが、マ・ソクトが『ダイハード』のブルース・ウィリスのように危険な瞬間になった時に、面白い言葉を投げかけたりするキャラクター性を持っているとは思います。私も脚色をして監督や作家と力を合わせて80回もの打ち合わせを経て台本を直しました。コメディアイデアの多くは私が出しました。無理やり笑わせようとしているのではなく、このキャラクターが本当に言いそうなセリフを作ろうとしました。『犯罪都市』では偽物になってはいけないということがとても大事なんです。


青木崇高の演技を絶賛「顔を取り替えたかと思うほど」

──青木崇高さん演じるリキが凄まじい迫力でした。

マ・ドンソク:ムネタカ(青木崇高)さんをキャスティングするに辺り、彼が出演された作品を全て見ました。『るろうに剣心』シリーズでは戦っていますが、ドラマでは優しく純粋な役もやっている。色々な魅力を持った俳優だと思い、監督にキャスティングの提案をしました。

今回のリキという役にもとても合うだろうなと思いました。このリキというキャラクターは、漢字では“力”=チカラという漢字を使います。以前、力道山がこの漢字を使っていたことを思いだして、この漢字を用いたのですが、リキというキャラクターが名前からしてパワフルな役であってほしいと思って私が自ら名付けました。そして青木さんは身長も高く、アクション映画の経験もあったので適役なんじゃないかと思いました。実際に会ってみるとすごく人も良くて、一緒に仕事をしたいとラブコールをしました。快く受けてくださってありがたかったです。一生に現場を共にしてとても楽しかったですし、また機会があったらぜひ一緒に共演したいと思える俳優でした。

――青木さんはこのお話を聞いていかがですか?

青木崇高:すごく嬉しいですね。もちろんお二人のことは映画などを通じて見てきましたが、同じ同志として今回作品を一緒に作れたことを本当に光栄に思っています。

――青木さんはリキという役柄にどの様なアプローチをしようと思いましたか?

青木崇高:リキは日本刀を使う殺し屋で、國村隼さんが演じる親分がいて、親分にとても忠実な子分です。とても狂気を感じさせるキャラクターで、カメラの前に立って狂気の芝居を3種類くらいやってみて、どの狂気のチャンネルでリキのベースを作るかを監督と相談しながら作っていきました。

衣装に関しては小物のピアスやサングラスは自分で日本から持っていき、監督やドンソクさんに「これはどうでしょうか?」と提案していました。お互い色々な意見を出し合って複合的にキャラクターが出来上がっていったと思います。

――日本刀アクションの迫力が凄かったです!

青木崇高:アクションに関しては『るろうに剣心』のアクションチームとトレーニングを行い、その映像を韓国のアクションチームに送ってフィードバックと指示をもらいました。日本刀の使い方が日本とは少し違ったので。『犯罪都市』シリーズは個人的にも観ていましたが、毎回ヴィランが魅力的なので、アクションが格好悪かったら話にならない。できる限りの準備をしました。現場では韓国のアクションチームが素晴らしくクリエイティブなサポートをしてくださったので、リキもとてもカッコ良いキャラクターになったと思います。

アクションもそうですが、素晴らしい役者さんが出てくるのも大きな魅力です。私としては同じ日本人パートで登場する國村隼さんの存在もすごく大きく、作品に深みを与えてくださいました。それぞれのキャラクターの魅力を楽しんでいただければと思います。

――監督とマ・ドンソクさんは青木さんにどの様な凄みを感じましたか?

イ・サンヨン監督:どうしても言語の違いがあるので、最初はコミュニケーションがちゃんと取れるか、気になっていましたがそれは余計な心配でした。青木さんは集中力が高く、相手役への気配りも素晴らしく、とてもプロフェッショナルな方でした。

リキの登場シーンで、日本刀を持って長い廊下を歩いて入ってきます。そこはかなり時間を掛けて撮りました。リキは奥深いキャラクターですから、感情のレイヤーを見たくて、青木さんに様々な要求をしてしまい、かなり負担が大きかったと思いますが、私の期待以上の演技で応えてくれました。

マ・ドンソク:廊下のシーンでは日本刀を振り回すアクションもありました。時代劇で日本刀を使ってアクションする場合は、十分な空間がある程度確保されていることが多いのですが、今回の様な廊下はとても狭かったので。アクションに慣れている自分でもかなり難しいと感じたので、現場に入るまでは心配していました。

ところが青木さんは元々日本刀を扱っていたかのように、素晴らしい手さばきを見せてくれました。演技かアクション、どちらかが上手でも素晴らしいと思いますが、青木さんはどちらも完璧にこなしてくれたので感動しました。私とのアクションシーンで危険な部分があり、少しケガをされました。それでも氷で冷やしながら演技を続けて取り組む姿に感動しました。

――本当に鬼気迫るヴィランですよね。

マ・ドンソク:素晴らしい演技をすることを韓国風に表現をすると「顔を取り替える」というのですが、まさに顔を取り替えたのではないかと思えるくらい完全に役になり切っていました。普段の青木さんの姿が何処かにあったかと思いますが、それがわからないくらい完璧なリキだったのです。映画の中にリキが登場した時点でこの作品は完成したと思うくらいです。


現場で感じた韓国エンタメのパワー「良いところはどんどん吸収していく」

――マ・ドンソクさんとの競演はいかがでしたか?

青木崇高:個人的に本当に嬉しかったですし、光栄でした。その喜びが顔に出てはいけないので(笑)、撮影中は役に入り込んで相手を倒すんだと思うことをとても意識しました。マ・ドンソクさんや監督、皆さんがワンカット、ワンカット、アクションを作り上げていく過程を目のあたりにしてとても興奮しました。何ものにも代え難い素晴らしい経験をさせてもらいました。とっても楽しかったです。

本作に参加させていただけて本当に嬉しかったですし、光栄でした。その喜びが顔に出てはいけないので(笑)、撮影中は役に入り込んで相手を倒すんだと思うことを強く意識しました。ドンソクさんや監督、みなさんがワンカットずつアクションを作り上げていく過程を目のあたりにし、とても興奮しました。何ものにも代え難い素晴らしい経験をさせていただけたと思っています。

――現場ではどの様に韓国エンターテイメントのパワーを感じられましたか?

青木崇高:韓国の作品はすごく好きで、これまでも観ていましたし、韓国の現場に興味もありましたが、今回一番驚いたのは、現場で編集作業が行われるという点です。各部署が同時にビジュアルを共有できるというのは、作業的な面でも無駄ない。しかも、その日撮ったものを繋いで、みんなで見て確認できるのは物を作る喜びみたいなものが感じられて、モチベーションにおいても大きな作用があるのではないかと思いました。

現場のスタッフのみなさんが若くてパワーがあリました。現場で思いついたアイデアもいいと分かればどんどん取り込んでいきます。その瞬間、その瞬間でのベストを探していくことに対して躊躇なくやっていく姿勢はクリエイティブにおいてとても大切だと思いました。

また、映画のプロモーションにおいては、韓国では舞台挨拶の時間こそ短いですが、できるだけ多くの映画館を回って、直接顔をお見せする。それをお客さまが動画で撮って拡散してくれる。我々出演者はその熱量をそのまま受け止めることでエンタメの力を再確認でき、次の作品のエネルギーに繋げていく。いい循環ですよね。アジアだけでなく世界を席巻していく韓国のエンタメは、良いシステムはどんどん取り込んでいくんだなと感じました。

――マ・ドンソクさんは、今後もまた海外作品へのご出演など構想はありますか?

マ・ドンソク:ハリウッドの監督と制作会社といくつか作品を企画しています。まずお話できるもので言うと、ハリウッド映画『Ashes(仮)』に制作・出演する予定があり、『悪人伝』のハリウッドリメイク制作も引き受けて進行しているところです。マーブルの次の作品も待機しています。

――『犯罪都市』の4もすでに撮影が終わっていると聞いていますが、これから毎年犯罪都市シリーズの新作を観られるような構想になっているのでしょうか? また、マ・ドンソクさんにとって本シリーズはどんな立ち位置になりますか?

マ・ドンソク:私の人生の総合薬みたいな作品です。生涯ずっとやってきたボクシングと演技をかけ合わせて、マ・ソクトというキャラクターを作るのに20年かかりました。それほど毎作品ごとに全身全霊で取り組んで努力して作っています。これからも痛快さと面白さを観客に届けられるように努力していきたいです。

(取材:中村梢)

■作品概要
『犯罪都市 NO WAY OUT』
新宿ピカデリー、グランドシネマサンシャイン 池袋ほか全国公開中

【STORY】
ベトナムでの凶悪犯一斉検挙から7年後。マフィアも恐れる“怪物刑事”マ・ソクト(マ・ドンソク)は、ソウル広域捜査隊に異動し、ある転落死事件を捜査していた。捜査を進めるうち事件の背後に新種の合成麻薬と、日本のヤクザが関わっているという情報を掴む。一方、麻薬を盗んだ組織員たちを処理するため、極悪非道な“ヤクザの解決屋”リキ(青木崇高)が、一条親分(國村隼)の指示のもと密かにソウルへ送りこまれていた。さらに消えた麻薬の奪取を目論む“汚職刑事”チュ・ソンチョル(イ・ジュニョク)も加わり、事件は三つ巴の激戦に突入、2人の最強の敵を前にマ・ソクト最大のピンチが訪れる――!

監督:イ・サンヨン『犯罪都市 THE ROUNDUP』
主演:マ・ドンソク『エターナルズ』『新感染 ファイナル・エクスプレス』
出演:イ・ジュニョク「ヴィジランテ」『神と共に 第一章&第二章』、青木崇高『ゴジラ-1.0』『るろうに剣心』シリーズ、國村隼『碁盤斬り』『哭声/コクソン』ほか

2023年/韓国/韓国語・日本語ほか/カラー/シネマスコープ/原題:범죄도시3/105分/PG-12/字幕翻訳:根本理恵
(C)ABO Entertainment presents a BIGPUNCH PICTURES & HONG FILM & B.A. ENTERTAINMENT production world sales by K-MOVIE ENTERTAINMENT

提供:ツイン、Hulu 配給:ツイン 宣伝:スキップ

『犯罪都市 NO WAY OUT』公式サイト

記者 : Kstyle編集部